表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第?章-炎竜と踊る「Dead End」-
166/503

エンディング:滅びの地と魔族 Normal End【F? Another】



 そして、この地は滅んだ。


 今日(こんにち)までに文献に残っているのは『竜炎の魔王』、あの国風に言うならば『炎熱焔の紅緋なる暴毒の魂』と勇者が激戦を繰り広げたという。

 この地に入ることが出来れば、研究が出来るものだが、前述した通り、この地は滅んでいる。

 どういうことか。


 まず街とその境目と思われる部分に壁か何かが出来たかのように、お互いを押しこむように、人々が折り重なり氷漬けになっているのだ。

 何があったのかは想像に難くない。

 隣り合わせの死。

 その氷漬けの死体を解凍させればよいと誰もが思ったが、火魔法をぶつけても解凍出来ず、あの国の魔法使いにお願いをして来て貰っても、あの国の神様の魔法だということで、解凍をして貰えなかった。

 寧ろ、溶かすことは許さないと逆に宣言された。

 で、あればつまり、あの氷漬けの死体は『竜炎の魔王』の所業だ。

 何が起きたかは分からない。

 だが『竜炎の魔王』の何かが癪に触ったお陰で、滅ぼされたと我ら研究所員は考えている。


 あの国の神様と呼ばれる『魔王』たちは、基本的に温厚なのだという。

 発生当初は"荒れ狂う神々"だったようだが、神がいなくなるその日までずうっと温厚で、あの国を守り通し、例の観光都市『カッカル』の守り神だったという。

 その温厚であったはずの神、『竜炎の魔王』の何の癪に触れてしまったのか。

 それは誰にも解けていない。


 あの国の歴史書では、人族、獣人族が手を取り、魔族を滅ぼした。

 その魔族たちの生き残りが集まった国があの国だという、眉唾ものの歴史書であった。

 妄想の物語と言えるぐらいだ。

 なにせ、魔族はどこにもいない。

 あの国以外の大陸全土が滅んだとしても、あの国ですらも滅んでしまったという。


 これでは、魔族がいたという理由がない。


 さらに言えば、その魔族も滅んだという割には、滅んだ理由を示す文献がない。

 人族と獣人族が手を取り合ったのは良しとして、理由がなく滅ぼされている。

 必ず戦争があれば、戦争のきっかけがある。

 だが、それがない。

 どこを探しても見つからない。


 建国の父と呼ばれる『聖域の魔王』は人族だという。

 人族であれば、あの国以外の国にも文献があるかと思えば、それもない。

 それっぽいものもあるにはあったが、次巻からはすっぽり抜け落ちているものも少なくはない。

 魔族のことも、同時に無くなる。


 そして最後にはしれっと、魔族と『聖域の魔王』と呼ばれていた人族らしき描写は全て消え、当り障りのない内容しか読めない。

 まるで、何かの間違いがあってその証拠を消すかのように、全て回収され焚書されたかのように、すっぱりと消える。

 

 数千年前に戻ることが出来れば、この謎が解けるのに、と何度も思ったが無理なものは無理である。

 なお、滅んだ地についてだが、氷漬けだけが原因で足を運ぶことが出来ない訳ではない。

 氷漬けの境目からどうにか抜けた後は、火山かと見紛うばかりのマグマが流れており、ところどころで有毒な蒸気が噴出する。

 更に魔力汚染によって、空気が腐っており、その地で呼吸をすれば瞬く間に体内に腐った空気が入り、身体が内部から腐り落ちる。

 そんな地を誰が研究しに入り込むか。


 だが、私は研究したい。


 作者名とアカウントネームが違うため、私の活動報告に直接飛べません。目次の下部にある「作者マイページ」から、私のアカウントの活動報告の閲覧出来ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ