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ウェリエの聖域:滅びゆく魔族たちの王  作者: 加賀良 景
第2章-歴史の分岐点- 魔力精製
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二日目 -精製方法-

※警告※

R-15描写

「こんばんは、ええと"がるがんちゅあ"さんたち」

 昨日の夜と、今日に昼間の夢のなかの例のあの場所で、やっぱり二人に会った。

「ええ、こんばんは。エレイシアさん」

 ええっと、確か魔力について教えてくれるんだよねってその前に。


「ごめんなさい、使いすぎて殺戮魔法使えなくなっちゃった」

「ええ、見てましたから知ってます。でもまぁ『心なき……』いえ、『ガルガンチュア』の特有魔法が"殺戮魔法"なだけで基本的な低級魔法は知識として持っているので、使えるようになりますよ。

これも、特殊な魔力必要ですけどね」

 また、特殊な魔力だ。

 どれぐらい必要なことなのだろうか。

「もちろん、僕も識っているもの限定ですが、使えるようになります」

「本当に……?」

「ええ、本当です」


「よかったぁ」

 思わず、夢のなかだけど涙が出てくる。

 殺戮魔法使ったことで、逆においそれと使えることが出来なくなって結局足手まといになって。使えない子認定されるかと思ったけど……。

 低級魔法だけでも使えれば、自衛は出来る。

 ……どんな魔法だろう。はやく、はやく覚えたい。


「どういった魔法が好みですか?」

 "いんぺりしゃぶるえこお"さんのことばに、現実に引き戻される。夢のなかだけど。

「どういったというと……」

「ええと、属性は」

「潜在属性のことでしたら、"水"です」

 おかあさんが、ザイエニアで私のことをそう言っていた覚えがある。

 ふと、"いんぺりしゃぶるえこお"さんを見れば、感心したように「ほう」と息を漏らしていた。


「ああ、すみません。イメージ通りだったもので」とはにかむ姿は、やっぱり顔は違えども、お兄ちゃんにしか見えない。

 きっと、この姿はお兄ちゃんに関係する姿なんだろう。


「では、水属性であれば「凍結の棺(フリーズ・コフィン)」と「氷柱の柱(アイスピラー)」が低級ですね。

イメージだけ、先にお伝えしておきます。

……こんな感じです」

 頭の中に湧き上がった"いめえじ"の、「凍結の棺」は相手を内部からガチガチに凍らせるもの。

 よく分からないけれど、周囲から霜を集いさせて氷像を作ればいいのかな?

 それと、もう一つの「氷柱の柱」は氷で出来た大きな柱を、相手の足元から出現させて打ち上げる魔法、らしい。

 これももう"いめえじ"が出来た。


「素晴らしいですね、エレイシアさんは。もうイメージ出来ましたか」

 目を細めて褒めてくれる"いんぺりしゃぶるえこお"さん。

 素直に嬉しいと思ってしまう、私。

 単純だ。私はお兄ちゃんに似ていれば、嬉しがるお馬鹿なのだろうか。

 でも、嬉しい。


「そういえば"はあとれすあるたあ"さんは……?」

「『心なき改造台』でしたら、もうおりませんよ」

「えっ」

「いえ、言い方が悪かったですね。『心なき改造台』という個体はなく、代わりに今は『ガルガンチュア』という名前でエレイシアさんの足元に潜んでいます。

我々は単純なので名付けが確定すると知識は残れど、性格や『精神の願望(ここ)』での見た目などの殆どは"リセット"……」

 リセット……? ってなんだろう。

「そうですね、まっ更な状態になります」と、直ぐに注釈が来た。


「な、なるほど……?」

「『ガルガンチュア』も攻撃としての一呑以外にも、自衛ぐらいは出来ますので任せてもいいと思いますよ。もちろん、僕の多重再生が欲しいというのであれば、使って頂いて構いませんが」

 肩を竦めて話す"いんぺりしゃぶるえこお"さん。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「さて、さて。

特殊な魔力についてなのですが……」

「う……うん」

 どんなことなんだろう……。

「……年端もいかない子に、こういうことを言うのはとても且つ非常に気が引けるのですが……」

 ……なんだろう、とても不安になってきた。

「いえ、面と向かって女性に言いたくないのですが、しかし、お伝えしないと我々も顕現出来ないのでお伝えします。

本当に非常に心苦しいんですよ……、本当ですからね……!」

「…………、」


「ええっとぉ、夜の男女の営みって分かります?」

「……子作りのこと?」

「ええ、そうですね。分かりますか、よかったよかった。

……簡単にいえばそれしてください」


「…………えっ」

 聞き間違いだろうか。


「ちゃんと理由はあるんです……。詳細聞きたいですか?

それとも、このまま行きますか?」

「ええっと、詳細は」

 いや、魔法陣たち推奨の子作りであれば大手を振って行為が出来る。

 それは嬉しい。けれども、何故そこに至るのか。


「ええっとですね。特殊な魔力というのが"管理者"限定の魔力です。よく"管理者"が仰っている"精製された魔力"というのがそれに値します。

この魔力は普通であれば譲渡は出来ないものなのですが、魔力循環という技術があると聞きます」

 魔力循環は知っている。

 お互いに触れ合い、自分の身体を一巡した魔力を相手に渡し、相手の身体を一巡した魔力を私に移すというそんな技術。

 幼学校に通ったりしていれば習うらしい。

 私はおかあさんからやりかたを教えて貰ったけど。


「それがなにか?」

「今までの経験上、触れ合うのは当然のことながら。全体的に肌と肌が触れ合うように、いわばお互い抱き合うようにして触れ合うと接地面が広範囲になったお陰で効率が良くなり、抵抗なく魔力循環させ且つ魔力の純度と濃度が高くなるようです。

更に言えば体内に近ければ近いほどに効率も増すようです」


「へ、へぇ……」

 いいことを聞いたかもしれない。今度からお兄ちゃんには裸で抱きついてみよう。あと、体内ということは口の中に舌を入れたりすることかな?


 でも、なんで。

「そういうこと、知っているの?」

「"管理者"の経験からこちらも知った形になります。我々は魔力で動くので"管理者"以上に魔力の動き方が分かるのです」

 ……なるほど。

 うん、ということは?


「実際にやった人がいる?」

「ええ、よく分かりましたね。いるのです、それも何度も」

 誰だ、と思わず心がざわめく。

 お兄ちゃんは、"私のもの"ではないのに。

 でも。


「あんまり大きな声では言えないのですが、かれこれ二年ほど"管理者"と共にいる方ですね。その方が毎夜実践しておりました」

「……へ?」

 二年というとエルリ姉さんだ。

 家族がしているのであれば、心が落ち着いた。

 なら。


「分かった、ありがとう」

 じゃあ私もやろう、今起きたら早速。


「これだけだと、あくまで魔力循環によって被対象者に循環し"精製された魔力"の残り物で動く形になってしまいます。

ということなので、魔力を循環させて獲得よりも、より良い方法があります」

「それが?」

「はい。

というよりも、体内の魔力精製能力の作り変えですね」

「作り……変え……?」

 なんだかおどろおどろしいことばが聞こえた。

 作り変え……?


「先日、この国の王という者が言っており聞いていたか存じませんが、男性の精に魔力が宿るそうです。

そして女性はその精を溜め込むと聞きました」

 そう言って言葉を切る"いんぺりしゃぶるえこお"さん。

 その言葉が続く前に。

「つまり、お兄ちゃんのものを溜め込むといいと?」

「ええ。"精製された魔力"が女性の胎内に残り、普通の魔力ではない魔力が身体に残れば、身体も自然とそれに合うように変質していくものですから。

まぁ変わらなくても、我々がその魔力を使うために母体……いわばエレイシアさんの身体経由で獲得するので、結局のところ摂取か循環による魔力獲得は必要になります」

「摂取ということは、どこからでも……?」

「ええ、でも耳の穴とか目とかから摂取は無理ですからね、念のため」

 私はそんな変態じゃない。


「でも、精を溜め込むということは私、できちゃう……?」

 確かもう子作りは出来る身体だ。

 でも、子作りして子ども出来ちゃったら、学園に行けない。

「その点は大丈夫です。我々をON、いわば『精神の願望』に魔力を通した状態にして頂ければ、注ぎ込まれた魔力は溜めさせることなくそのまま獲得します。

もちろんそのままただ獲得するのではなく、子どもが出来得るほどの精は残さずに魔力だけ残し、母体の変質化を試みます。

変質すれば、以降は循環または通常の魔力精製で"精製された魔力"だけが作れるので、子作りなどが必要無くなります」


「ということは、どちらにせよ一度は必要ということ……?」

「ええ、「凍結の棺」や「氷柱の柱」を使いたければ……、どこの強要者ですかね。もちろん、今であればまだ間に合います」

「何をだろう」


「"管理者"が仰ってました"魔王系魔法"を使わずに、この世界の一般的な魔法を使うことが出来る道がまだ残っています。

ただ、精を胎内に入れて、それを我々が獲得したら――」

「それはいいの。でなければなんで"日本語"を学んだの?

って聞いてしまうから」


「そうですか……。では、よろしくお願いします」

「うん、ありがとう」

 理由付け作ってくれて。

「ところで、やり方知ってます?」

「うん、知ってる」

「では、大丈夫そうですね」

 "いんぺりしゃぶるえこお"さんが呟く声には力がなくも、嬉しそうな声だった。


 流石にそれまで教えてもらうほど、私は恥知らずではない……。

 でも、正直に言えば少々分からない。

 ごっくんすればいいのかな……?


 そして、私は目覚めた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 まだ夜半のようで、窓から差し込む双子月の光が窓から差し込む。

 傍にはセリスおねーちゃんが、私の身体に抱きついていた。

 これも魔力循環に当たるのだろうか。

 抱きつくおねーちゃんを解いて、着の身着のままで部屋を出て、お兄ちゃんの部屋に入る。

 当然のことながら、お兄ちゃんが寝ていた。


 勝手に入っちゃ駄目と言われていたけれど、"夜這い"というものだからいいんだよね、うんきっと。

 いそいそとお布団の中に入り、腰の近くに顔を寄せたところで心地良い匂いで、私の意識は急にぷつんと。 


作者名とアカウントネームが違うため、私の活動報告に直接飛べません。目次の下部にある「作者マイページ」から、私のアカウントの活動報告の閲覧出来ます。

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