話の中心
短いですが、これで今章は終わりです。
そんなこんなで、今日の観光は終わった。
最後に回った酒蔵では、要らないと言っているのに、北東街を賑わせていたのを殺してくれたということで、お酒が入った瓶を五つも頂いた。
その五つそれぞれの商品名を見れば、どれも銘柄が違う。
どうやら、周辺の酒蔵の皆さんからのお礼らしい。
お心づけとのことなので、有り難く頂くことにした。
ちなみに『tdxklnadくん』 さんは、「ヒャッホウ」と奇声を発して喜んでいた。
本当に喜び方とか言い回しがご主人様にそっくりだ。
瓶に頬をスリスリしているところも、なんとなくご主人様を空目させる。
あんなにも怖くて、もしかしたら犯されていたり殺されていたかもしれなかった。
そこで怖いことばながらも助けてくれた『tdxklnadくん』 さん。
また会えるとはいえ、当分会えない。
ううん、会えているんだ。
ただ喋れないだけで。
でも、近くにいるのに。
近くにいて、私よりもとっても強くて。
私よりもご主人様の魔法陣を使っている人と話せないなんて、嫌だな。
セシルと喋りたくないというわけではない。
ただ、私が持っている力と似たようなのを持っていて、好敵手になりそうな人と話せなくなるなんて……。
「嫌だな」
「なにがですか?」
「えっ」
「声出てたぞ、エルリネ」
「えっ……あ、ご、ごめん」
「全く、いつもこうですから」
「全くだ、兄上の胸の中で、いつも思うがエルリネはのほほんとし過ぎだ。
もう少しシャンとしましょうね」
「うん……、ごめん」
「いつも、こうです」
「まぁ仕方がない。良くも悪くもエルリネだ」
やっぱり『tdxklnadくん』 さんは凄い。
もうセシルとの会話の輪の中に入っている。
なんて、思いながら私はずっと貴族街のご主人様との家に入り、夜が更け始めるまで『tdxklnadくん』 さんと話し続けた。
そして今章の冒頭へ。
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