女の子が降ってくるかもしれないから、空を眺めるのが日課です
「おいこら、ちょっと待て」
はい?どうしましたクロ君?
えっ、なになに?この美少女を愛している私が?よもや女性でもないクロ君を呼んでいる声が聞こえた?
あははははっ!全くさすがクロ君!冗談がお上手で!
私がクロ君を呼ぶときなんて、せいぜい戦闘時に死んでしまった時の字幕ナレーションくらいですよwwww
「えっ、何?なんで俺いきなり罵倒されてんの?なんなの?俺が悪いの?」
可憐で清楚な美しい美少女の皆さんならともかく、野郎どもはわざわざ紹介する価値すらありませんよハッハッハッ。
「いくらなんでも俺達の扱いが酷すぎるだろ。怖いんだけど、お前のその頑ななまでの信念に、最早狂気さえ感じるんだけど」
『#$%&は しんでしまった』
「おい、字幕がバグってんぞ」
やだなぁ、全部冗談に決まってるじゃないですか。まったくークロ君ってば自意識過剰だぞ☆
早く本当に力尽きないかな……。
「相変わらずテルやミキの時とは、凄い扱いの違いだよな本当に」
ふんっ!別にミキちゃんの最近の悩みが『クロ君』だからって、私は別に個人的な殺意を抱いてなんかいませんよ!……クスン。
「なんか雰囲気的に凄い可哀想な感じになってるけど、語りの内容部分だけでそれら全て打ち消してるからな?わかってる?そこのところわかってる?」
というわけで、この主人公らしい短い黒髪を携えて、さっきから的確なツッコミをしているのが『クロ』君です。
職業は一応『勇者』さんですね。
いたって冷静というか、達観しているというか、このパーティー内のツッコミ役です。このいかにもスカした感じが、なんかこう周りをイライラさせますよね。
それにしても、どうしてアニメやライトノベルの主人公って、こういうスカした性格のキャラが多いんでしょうかね?謎ですよね。あれですかね?もしかして中二病的なやつなんですかね?そういうのが格好いいとか思ってるんですかね?
「いや止めて。俺を叩くのは最悪まだいいとしても、そういう大きなところに喧嘩を売るのは止めて」
それにしても、せっかく十六歳になったというのに自称勇者は――流石にちょっと痛いですねww
「天の声、屋上行こうぜ。久々にキレちまったよ」
でも根がとってもいい子なのは、私を含めてパーティー全員がちゃんと知っています。さすが腐っても勇者ですね。
……腐っても勇者ですね☆
「なんで二回言ったんだよ」
そんな自称勇者であるクロ君の最近の悩みは、『パーティーメンバー』だそうです。これがどういう意味なのかは――まぁ、面子を見て察してください。
さてと、それでは仕方がないのでもう一人の野郎さんの紹介を―――
「はいはい、イツキさんの登場ですよ?」
……というわけで、今参上したのが『イツキ』さんです。
「相変わらず?天の声はやる気なさげだね?」
髪色はミキちゃんと同じ銀髪、長さはクロ君よりも少し長いくらいでしょうか?
職業が『剣士』とかいうバリバリな前衛タイプなのにも関わらず、このパーティーでは主に参謀役も担ってます。
ちなみに、この時点でもう薄々感づいている読者さんもいるかと思いますが、一応注釈しておくと性格は悪いです。はい。
「うん?最後の一言はいらないんじゃないかな?」
そしてこれも余談ですが、イツキさんはテルさんと幼馴染さんなんです。
あんな美少女と幼馴染なんて、全く羨ましいですね。早く死んでください。もしくは、早くクロ君と一緒に死んでください。
「本当に天の声は、男性陣には風当たり強いよね?」
「テルさーん、シズネさん呼んで来ましたよー!テルさーん?あっ、イツキさんじゃないですか」
「やぁミキちゃん?テルなら、クロと一緒に一足先に次の街に向かったよ?」
「えーそんなぁ、せっかくシズネさんを連れてきたのに……」
あっ!じゃあ丁度いいですし、シズネさんのご紹介もここでしちゃいましょうか!
「んー?どうしたのー?私の紹介なのー?」
はい、お待たせいたしましたシズネさん!この私が心を込めて、読者の皆さんにご紹介させていただきますよ!
「……相変わらず、僕たちの時とは凄い対応の差だね?」
「天の声さんですからね。もう仕方ないですよ……」
いいから外野は黙ってなさい!
さて、ようやく我らが女神『シズネ』さんの登場ですよ皆さん!
二代目の魔王討伐パーティーでは、最年長の二十一歳、会話するときに語尾に『ー』が付いちゃうゆっくりとした喋り方が特徴なゆったりとした女性です。
こちらもテルさんに負けず劣らずの、素晴らしいスタイルの持ち主でして、えぇ私には見えますよ、ミキちゃんの呪詛を含んだ呪いの視線が!
セミロングの長い紫髪を靡かせるその容姿!そこから醸し出される圧倒的な包容力!
お綺麗です!神々しい!
結婚してください!
「あれー?私求婚されるのー?」
職業は、まさに典型的に理想的な想像通りの『僧侶』さんです。
あぁ!マイシスター!
「うわぁ、見てくださいよイツキさん。今日はいつにも増して天の声さんが気持ち悪いですよ。目がぐるぐるになってます」
「じゃあ二人とも、早くクロたちを追いかけようか?このままじゃあ、僕たちが二人に置いていかれてしまうからね?それにあんまりここに長居すると、天の声に毒されてしまいそうだし?シズネさんも、僕らから離れないようにお願いしますね?」
「わかったわー」
先に次の街へ向かったお二人に追いつくために、残りの皆さんが急いで追いかけて行きます。いやぁいいですね、青春って感じですねー。
…………えっ?あれ?あの、私は放置ですか?これいいんですか?あれ?ちょっと皆さん!?皆さーん!?
あぁ、本当に皆さん行ってしまわれた。私一人を置き去りにして……。
こ、このままでは序盤のシズネさんの二の舞じゃないですか!
……仕方ないですね。
一応パーティーの皆さんの紹介も終わりましたし、私も早く皆さんの後を追いかけることとしましょうか。
この先代に比べて至って真面目な総勢五名のメンバーで、再びこの世に光臨した魔王を討伐しに向かうわけですね。
彼らの肉親たち『先代』は、見事に魔王を討伐することに成功したのですが……。
さてさて彼ら――『二代目の皆さん』は、一体どうなるのでしょうね?
私、天の声も楽しみですよ。