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ロジスティクス・サーガ ――死せる神と、外道の正義――  作者: 都P
CHAPTER1 死国へのノスタルジア
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3.酷薄たち

 冥都――トードイスムカの中心都市であり、トードイスムカ所属のプレイヤーの大多数が利用している拠点だ。


 鉄道側が手配してくれた車はネロアを乗せて、そちらを目指して荒野を走る。


(ふぅ、快適でいいですねこの車。さて、冥都に着きましたら所属の契約をして……)


「わっ!?」


 最中、ガコンッ! と、鼓膜にくる大音を立て、車は止まる。


 運転手はすぐに降りて状態を確認し、

「……どうやら故障のようです」


「故障、ですか?」


「はい。申し訳ありませんが、これでは当分は動かせません。

 もしお急ぎで冥都に行きたいのでしたら……自分の足で行った方が格段に早いです」


 運転手に言われ、ネロアは車を降り、自分の足で冥都を目指す。


「……これはこれで良いかもしれませんね。この腐乱臭といい、骨粉混じりの土といい、至る所に流れる毒の川といい……懐かしさがこみ上げてきます」


 端からすれば魔境とも言える景観を、ネロアはトコトコと歩きながら感慨深く眺める。


「今もアビスさんはいるのでしょうか? いや、ここはいると信じなくては。そして、会ってちゃんと謝らないと……」


「……奴、何モンだ。装備が弱そうだ。トードイスムカの人間じゃなさそうだ」


「俺の経験からして、あれは確実にミレアの斥候だ。のんきに俺たちのナワバリを歩いているんだよ」


「グールル……」


「そうか、なら『やる』価値は、ありそうだな……!」


 ヒソヒソ話を終えたレイス、スケルトン、ゾンビの三匹は岩陰から飛び出す。

 三人揃ってのレベル9の割にはかなりのイキリ様で、ネロアの行く先を阻む。


「おうおうおう、おぉう! そこのお嬢ちゃんよぉ、この道は一体誰の物だと思って、そうズケズケと歩いてるんだオラァ!」


「そもそも、ここ道でしたか? レイシロウさん、ホネスケさん、ゾンタさん」


 ここで一つ解説を入れるとしよう。

 ロジスティクス・サーガのプレイヤーは、他プレイヤーの名前等の情報は基本その持ち主の許可無しには見られない。

 だが彼らNPCは、攻撃力等のステータスを除いて、好き勝手閲覧できる。

 ついでに解説すると、NPCは、市民・盗賊などの善悪容姿様々な民衆が該当するピープルと、文字通り魔物であるモンスターの二種類に分類される。

 これの見分け方は非常にシンプル。『レイス』などの種族以外の個人名を持つかどうかだ。

 つまり、雑ながらも名前を持つ彼らはピープルである。アンデッドなのは、ここが死の国故のお国柄だ。


「「気安く俺達の名前を呼ぶな!!」」「グルル!」


「はい、では次からは様付けにしますので……して、皆様、そんなに邪険な顔して、僕に何用で?」


「俺達泥棒に向かって丁寧言葉とは調子狂うな……ホネスケ、お前はどうする?」


「手っ取り早く、殺るに限る……俺の経験からして、ああいう綺麗なフリをしてゲスなことをするのが、ミレアの連中の手口だからな」


「んだべ。さっさと殺して、奪えるもん奪って、今日は贅沢だ! 行け、ゾンタ!」


「グラー!」


「わっ、いきなり来ますか!?」


 ゾンビのゾンタは闇属性のオーラを纏い、ネロアめがけタックル。

 それと同時に、レイスのレイシロウは詠唱し、火魔法を三発連射。


(ゾンタの【ダーティー・タックル】と、レイスの【ファイア・バレット】三連発で相手をビビらせる。そしてそれの対応で慌ててる奴を……)


 その間、スケルトンのホネスケは、自らバラバラになり、地を転がりネロアの足元へ転がる。


(その隙に俺がグサっ! だ。さぁ、後悔しろ、ミレア人!)


「グラァッ!? アアア!」


 ゾンタが悲鳴をあげた。


「あっ、ちゃあああ!?」


 間髪入れずレイシロウも悲鳴をあげた。両方ともネロアが投擲した剣により貫かれた結果だった。


 こうなるまでの一瞬の仔細を、以下に解説する。


 まずネロアは剣に括られた紐を振り回し、ゾンタの首に巻きつける。

 次に、ネロアはゾンタの突進の勢いを遠心力に変換し、彼をハンマー投げめいて振り回し、レイシロウへとぶつける。

 そして、ネロアはもう一押しに、剣を引き戻し、即刻投げたのだ。


「グルルゥン……」

「す、すまねぇ、俺はここまでみたいだ。後は、頼む……」


 かくて、まもなく互いの全力技と、圧倒的なレベル差を持つネロアの一撃を受け、ゾンタとレイシロウは、倒れたのだった。


「やはりレベル9相手では一撃で倒せてしまいますか、可哀想に。ですが盗賊行為を働いたのは悪いことです。そこは反省してください」


「こ、これは俺の経験からして……知るか! こんなスムーズに倒されるなんて!」


 仲間二人を一瞬にして倒された故の驚きで、ホネスケは、仲間たちの遺産である奇襲作戦を蔑ろにし、バラバラ状態から人型に戻ってしまっていた。


「あ、すみません。折角のお仲間様を殺めてしまいまして……」


「いやそれはどうでもいい。

 あいつら戦利品分配の時、色々難癖付けて最終的に四・四・二ぐらいにしやがるクソだから。

 それより、お前は一体どこの人間だ?

 その堂々とした振る舞い。その奴らを容易く葬る実力。俺の経験からして明らかにミレア人じゃないぞ」


「ネロア・ルォーナピアナ。今の所はどこの国にも属していないプレイヤーです。この先の冥都で住民登録をしようかと徒歩で向かっていた所です」


「なるほど。それなら俺の経験からして、せっかくの新入りにそういう洗礼するこちらが悪かった。

 詫びと言っても何だが、まずついてきてくれ、街があるんだ」


 ネロアはお言葉に甘えホネスケについていく。

 着いた先は、崩れかけた建物がいくつも並び、彼と同じアンデッド系のピープルが住まう、寂れた街だった。


「くんくん、この死臭と退廃具合……懐かしいですね」


「元々は比較的綺麗だったんだかな……けど、ここにミレアの軍勢が攻めてきて、こんな風にズタズタにしてきたんだ」


【完】

ロジスティクス・サーガ・データベース


■用語説明

【ステータス】


 プレイヤー、モンスターなどの性能を表す、ゲームを多少かじっていれば説明はいらないであろう数値のこと。

 レベルの上昇や、装備の変更などで変化していく。これもお馴染みの話だろう。

 以下はロジスティクス・サーガ内での基本的なステータスの項目の一覧である。


・体力

 敵からどれだけのダメージを受けられるかの値。もちろんゼロになればゲームオーバーになる。

 なお、ロジスティクス・サーガではそういった略語は特に設定されていないのだが、本来の意味の体力(今日はゲームをする体力がない。の体力など)とややこしくなるため、プレイヤーも地の文ももっぱら一番この手の話でおなじみになっている『HP』と言うことが多い。

 

・物理攻撃力

 剣や拳などでの物理的攻撃の強さの値。

 ロジスティクス・サーガではこれが素のスペックで高いジョブは大概、重い装備を身に着けたり、物の破壊力に優れるため、いわゆる『筋力』と同義になっているフシがある。


・魔法攻撃力

 魔法での攻撃の強さの値。

 魔法を使うジョブじゃなくても、属性を帯びた物理攻撃などがある程度強力になったり、属性の付属効果が発生しやすくなる利点もあるため、おろそかにしてはいけない。


・物理防御力

 物理的攻撃を受けた際の耐性の値。強力な攻撃を受けた際の体制の崩れにくさなどにも影響する。


・魔法防御力

 魔法攻撃を食らったときの耐性の値。

 属性を帯びた物理攻撃もある程度軽減できたり、付属効果の発生率もある程度下げられる。


・素早さ

 文字通りどれだけ早く動けるかの値。本作はアクションRPGゲームであるため、高いに越したことはない。


・運

 いいことがどれだけ起こりやすいかの値。クリティカル(まれにダメージが数倍になる現状)の発生や、これを参照して追加効果を起こすスキルなどを狙うなら意識しといたほうがいい。

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