ファミマ通り
むかしむかしあるところに、ファミマしかない国道がありました。その国道には51店舗ものファミマが224キロメートルにわたって分布しており、歩道では揚げ鶏の中毒者がたびたび死んでおりました。
今日はそんな道を、ミーニャ=チョチョミという長距離ドライバーが大型トラックで、時速58〜59キロで走行しておりました。
「この道ファミマしかねぇやんか」
チョチョミが静かにキレると、助手席に座っていないカッパが言いました。
「今日の川、なんか臭いかも」
その呟きに、やまびこは答えませんでした。
それから2時間56分40秒ほど経った頃でしょうか。緑くないコンビニがチョチョミの目に入りました。
「えっ、この道ローソンあったの⋯⋯?」
今まで見た39個のファミマのせいで、ファミマしかない道だと思い込んでいたのです。
「さっきのローソンを見なかったことにすれば、『全部ファミマの道があった』って話の種にできるよなぁ⋯⋯」
チョチョミは後日同僚に「ファミマしかない道」の話をしましたとさ。めでたしめでたし。




