カケルの性格と大神力
〖この話し方なら届くかな?〗
ん? 動物病院の青生先生の声か?
〖目覚めたようだね〗
ええっと、、真っ暗? 夜中ですか?
俺、急患で運ばれたとか?
〖たぶん君が運ばれるとしたら人の病院だと思うよ〗くすくす♪
けど俺、犬の中に居るし。
おいショウ。寝てるのか?
青生先生に説明してくれよ。
〖混乱だけでなく記憶が……そう。やはり封じられていたんだね。
少し探らせてもらうよ〗
えっと、何を言って――
〖少し眠っていてね〗
―◦―
カケルの魂内での事も知らず、ソラの状況も分からないままの響達はクリームパンを食べた後、瞑想していた。
【王子達、執務の時間だ】
【あ♪ トリノクス様~♪】
【王が待っている。乗れ】
【は~い♪】【お願いします!】
と、ショウと力丸は行ってしまった。
響は取り残されたような気分で寂しさは当然あるが、それよりも不安が勝ってしまった。
「ソラ……」
「ん? 遅くなってゴメンね。ただいま」
「ソラだぁ~」
「うん。他の何かに見える?」
「じゃなくて!」
「不安にさせた? ゴメンね。
アミュラ様達はお兄の所。もう大丈夫だよ。
それと……」
後ろ手に隠していた箱を差し出した。
「ボクはトッピングだけになってしまったけど、誕生日おめでとう」
「あ……じゃあ7月も終わり!?」
「そこ? 元気みたいだからいいけど♪」
「あっ、えっと、ありがと!」
「響が寝てから作るつもりだったんだ。
でも向こうに行く時に頼んでしまって……」
箱からホールケーキを出した。
「そんなのいいよぉ」
「じゃあ食べよう♪ お茶を淹れるね♪」
「紅茶じゃないの?」
「ハーブティになるのかな?
お茶の葉じゃないみたいなんだよね」
「なんだか楽しみ♪
この……苺? カラフルね♪」
「うん。しかも木の実なんだよ♪」
「へぇ~♪ 虹色に並べてるのがキレイ♪
味が楽しみ~♪」
「お待たせ♪」
「待ってないない♪ 綺麗な青ね♪」
「香りも爽やかだよ♪」
「それじゃ「いただきます♪」」
ぱくっ♪
「美味し~♪ 幸せ味の苺♪」「そうだね♪」
「ね、この後は?」
「人世に行くよ」
「マーズとして?」
「それもだけどSo-χとしても」
「それなら私も! 行くべきでしょ?」
「そうだね。じゃあ一緒に。
夜には戻らないといけないけどね」
「そっか。A班として、ね?」
「うん、3交代だからね」
―・―*―・―
カケルが目を開けると大型犬達に囲まれて、心配そうに覗き込まれていた。
「ショウがダブって見える……?」
「僕はダブってないから~」
「俺は力丸」「僕はモグ♪」
「……夢で聞いたような……」
「夢じゃないと思う~」
「カケルにとっては夢なんだろうよ」
「僕も……そうだったよ」
「「モグ?」」
「うん、大丈夫だよ。
魂内に封じられると周りで起こってる事、本当なら見ている事とか全部、夢の中みたいな実体験じゃない感じになってしまうんだ。
自分が動かしてないから……」
「そっか。モグもワケアリなんだな?
けど気にすんな。俺も呪われたり狐だったりイロイロだったから仲間だ」
「ありがと、ダイ兄ちゃん」
「お兄? 聞いてる?」
「ん……」
「あ~、また寝落ちてやがる。
起きろ馬鹿者。真っ昼間だ」
犬達、少々手荒に叩き起こす。
「うっ……」ゲホッ、ゴホッ!「ったく~」
「目が覚めたか?」
「おう」
「「「浄化!」♪」」ぶおっ!
「おいっ! けど、爽やか?」
「話を進める。
カケルが夢だと思っている全てが起こった事だ。
ショウから離れたのも、大地震も、神世で戦ったのもな」
「マジか!? 奏は!?」
「落ち着け」板を差し出した。
「タブレット?」
「似たようなものだ」画面をチョン。
画面ではアップになっている奏が切々と歌っていた。
「これ……いつなんだ!?」
「いちいちウルサイ。喚くな。
今だ。今の人世。
人世は大地震で全てが瓦礫になった。
が、殆どの国が元通りになっている。
邦和だけが揉めていて遅れてるんだ。
それを鎮めようと歌ってるんだよ。
団長とソラ兄も行ってるんだ。
神世で救助活動して、人世でも心を救おうと動いてるんだ」
「だから戻るまでに、お兄は現状把握してね。
次の災厄源にされそ~だったんだから~」
「次の? 俺が? どうして!?」
「いちいちウルサイと何度も言わせるな。
そんなだから利用されそうになったんだよ」
「落ち着いて受け止めてね~」
「夢のは全部、現実なんだから」
「そっか。チョイ……その夢――記憶を整理させてくれ。
で、今日は何日だ?」
「「「7月31日」」」
「うわ……俺、1ヶ月も……」
「じゃあ渡音フェスの時は?」
「夢じゃなくて俺だったよ。
フェスの後からチョイチョイ夢みたいなのが起こって、多くなって、夢ばっかになって、1ヶ月くらいってトコだな。
けど……俺、奏と結婚したよな。うん、した。
ソラに教えてもらった小さな教会で。うん。
その後……どうなったんだ?
問題はソコだよな」
「ふ~ん。ちょっと離れとこ~」「だな」「うん」
「落ち着いて瞑想しててね~」とことことこ。
【で?】
【あんまり変わらないかも~】
【はあ?】
【僕、前の夏からずっとだと思ってたんだ。
でもフェス後だったら~そんなに違わない♪
理解力とか判断力とか記憶力なんかはボケボケのダメダメだったけど~、性格は変わってなかったみたい~♪】
【やっぱ馬鹿者なのか……】
【だからこそ超越者様に目をつけられたんだよ。
大神力持ちなのに、って点で】
【うわぁ……けど俺も、あんま言えないか。
鍛え直すしかないよな】
【ソラとサクラに頼む~♪】【うんうん♪】
揃ってカケルの方を向いた。
【真面目に瞑想してるな】【【うんうん♪】】
【正義感も強い、よな?】【【うんうん♪】】
【なんとかなるよなぁ?】【【うんうん♪】】
顔を見合せて頷き合う。
もう一度カケルを見る。
【任されたんだよな?
俺達、青身神ブルー様に……】
【アオ先生とルリ先生とサクラもソラも一緒だから大丈夫だよ~♪】
【封じられる迄の記憶の混乱は修正してもらってるから大丈夫♪
みんなで頑張ろ~♪】
【だよなっ♪】
―・―*―・―
マヌルの里が夜になってから響とソラが戻った。
送って来たガイアルフは急いでいたらしく何も言わずに消えた。
【【お兄の様子は?】】
犬達を見付けて瞬移して駆け寄った。
【夢になっちゃってる記憶を整理するって瞑想したまんま~】
【修行にもなるだろうと好きにさせている】
【変われたの?】
【性格は変わってな~い】
【へ?】【やっぱりね】【って、ソラ?】
【うん。ガイアルフ様とトリノクス様が話してるのが聞こえたんだ。
あの性格だから狙われたんだろう。
だから判断力やらを低下させていただけだろう。って】
【さっきガイアルフ様がサッサと行っちゃったのも お兄の件で?】
【うん。『子供達を集めて対処する』って。
フィアラグーナ様とも合流するって】
【じゃあキツネ様もドラグーナ様も?
お兄の為なんかに?】
【お兄の、じゃなくて地星の為にだよ。
あの邦和の不穏達と一緒になって、お兄が続けて災厄を起こしたら地星は終わってしまうからね】
【そっか。アレはマズいよね……】
【ね~ソラ、人世ど~なってるの?
揉めてるって言ってたよね?】
【うん。一度は鎮火してたんだけど、燻ってたのが再燃して大火事な状態なんだ。
今、邦和でボランティアの核になってるのは輝竜さん家で改心した元ワル達なんだよ。
つまり元ワルはマーズ側。
それにファンと土木建築業者が加わってるんだ。
対立してるのは、地震前に耐震装置を配っていたマーズを追い返した人達。
反マーズ派って呼ばれてる。
マーズは分け隔てなく復元でも新築でも選んだ方法で建物を元に戻すって言ったんだけど、建築業者は感情的に無理だって】
【その全てを裏で操ってるのは忍者だなんて思い込んで、すっかりマーズを敵視しちゃってて、地震を起こしたのもマーズだって言い張ってるのよ】
【マーズってファンいっぱいになってるよね?】
【マーズファン、中立、反マーズ派が均等くらいよ。
日和見が多いのは邦和らしいと思うわ】
【でも、このままだとマーズは邦和から去らないといけなくなるよ。
諍いの原因なんかになりたくないから。
でも、そうなると……】
【そうね。ファンはマーズを追ってしまう。
争わないでってマーズの言葉を守ってたら、残ってなんかいられなくなるでしょうから。
最終的に邦和は孤立して世界中を敵に回すわね。
マーズは邦和以外ではヒーローなんだから】
【その孤立が次の災厄に繋がると思うんだ。
その最終兵器が……】カケルを見た。
【【【うわぁ……】】】
【だから判断力とかが復活すれば十分だよ。
性格は……お義姉さんに手綱を握ってもらえば大丈夫じゃないかな?】
【それしかないわね♪】【【うんうん♪】】
【手強そうだけどなぁ】
【力丸もバステート様の言葉なら何でも聞くでしょ♪】
【ん? あ! 彩桜♪】尻尾ブンブン♪
【ね? そぉじゃない?】
【だよなぁ。聞いてしまう~】
【だから大丈夫♪】
正義感は強くて熱苦しいくらいだけど短絡的で考えるよりも先に動いてしまう。
って感じかな?
大神力を持つには相応しくないと大神様達は考えています。
どうなるカケル? ですよね。
下手をすれば封じられるか滅されるか……崖っぷちなの気づいてる?




