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カケル固まる



『な~にがフルコンプだよ?

 集まって無駄口かい?』


「ん?」一斉に声の方を向いた。

「アミュラ様だ~♪」ぴょんぴょん寄る。

「母様、どうかしましたか~?」


「交代時間になっただけさね。

 ほら、ラピスリ達も来たよ」


ラピスリの背には寿 トウゴウジ ホウジョウ。

不思議そうに首を傾げて寄って来た。

「何かあったのですか?」


「青身神様なアオが来てたんだ~♪」ぴょん♪


「えっ?」ブルー様が?

「青生先生いらっしゃるわよ?」「違うようだ」

「ああそうかい。

 また……ホント面倒見のいい神様だねぇ」


口々に驚きの声や『続きが聞きたい』等が重なって聞こえる。


「最初の崩壊の時もねぇ、母様とアタシじゃないんだよ。

 青身神(ブルー)様がご兄弟 勢揃いでいらして、復興まで面倒見てくれたのさ。

 けどねぇ、自分達は余所者(よそもの)だから何も残さないでくれ、伝えないでくれと何度も何度も念を押されちまってねぇ。


 そんならアタシとしても全てを母様にしときたかったんだが、母様が消えちまって以降は、どうにもねぇ。

 な~んにも役に立っちゃあいないのに復興はアタシが背負(しょ)い込む事になっちまったんだよ。

 ま~だまだな若い頃だったってのにねぇ。

 だから申し訳なさで修行に精を出したんだよ。

 同じかどうかは分からないと言いながらも様々な術も、修行の仕方も教えてくれたからねぇ」


「そんじゃあ、善なる人神とやらを選別したのも青身神なのかよ?」


「選別なんかしやしないよ。

 欲で動いてた邪な神達は自滅したんだ。

 自分達から出た禍に包まれてねぇ。

 その禍達が神世に拡がろうとした時に光が降ったのさ。

 禍は消えたものの、一旦は崩れるからと離れた宙に避難所を作ってくれてねぇ。

 残った神達全てをお救いくださったのさ。

 その避難所が月だよ。

 既に崩壊してた人世の残骸と、崩れ始めてた神世の一部から、神なら生きられるギリギリだと月を作ってくれたんだ。

 地が無きゃあ神だとて生きられないとねぇ。


 だからアタシは月が好きなのさ。

 青身神様の優しさの塊だからねぇ」


「二度目も月が避難所になったんですよね?

 素敵な場所ですね♪」


「嬢ちゃんも改めて行ってみるかい?

 この前のは何が何やらだったろ?」


「作業が終わったらお願いします♪」


「約束だ。任せておきな」「はい♪」


「あ♪ もしかして~♪

 避難所を月って名付けたのも青身神様かなっ?♪」


「そうだよ。そう呼んだんだよ。

 陽輝星を陽と呼んだのも青身神様さ」


「やっぱり~♪

 アオ達の星にも陽と月があるんだよね~♪

 ソックリなんだよ~♪」


「そうかい……」


 天を仰いで目を細めたアミュラの視線を追うと、沈もうと赤く染まりつつある陽の代わりに光を得ようとしている半月が淡白く浮かんでいた。


「アミュラ様って青身神様に恋してます?」

そっと寄った響が耳打ちした。


「遠い遠~~~い昔の話だよ。

 憧れも尊敬も全てが青身神様だった。

 けどねぇ、青身神様は常に青女神様と一緒。

 叶うなんて夢のまた夢の先の先だよ。


 そうそう。

 だから最強の絆が『結婚』と名付けられたんだよ。

 青身神様は女神に迫られる度に

『結婚していますので!』と逃げてたからねぇ。

 青身神様は女神達の、青女神様は男神達の恋い焦がれる憧れの的。

 兄弟の身神様達も女神達に追い掛け回されてたよ。

 特に龍神にねぇ……」



 遠い昔に想いを馳せていたアミュラだったが、ふと視線をザブダクルに向けた。

「そういやザブは何しに来たんだい?」


「ああっ! そうでした!

 初代四獣神様っ! 長く長くお護りくださっていたにも拘わらず私は――」


真四獣神は視線を交わすと逃げ消えた。


「――初代四獣神様っ!?」


「ま、十分さね。

 ほらほらB班は作業を始めるよ!

 カケル達A班は休みな!

 ザブもやらなきゃなんない事だらけだろ!」


「はいっ!」一斉! そして散り散り。



―◦―



 トリノクスに乗せてもらってマヌルの里に戻ると、イーリスタと青生と彩桜は、一緒に来ていなかった。

「瑠璃先生と発掘中かな?

 ええっと、こっちは……何時?」

マヌルの里は夜明け前だが、着いたのが屋内なのでサッパリわからないのは仕方が無い。


「とにかく食事かスイーツなんだよね?」


「うん♪」


「さっきアミュラ様と約束してたけど、また月に行くの?」


「あの話を聞いたら行きたくなっちゃって~♪

 それに壺の中身も見てないし~♪」


「じゃあまた一緒に♪

 行きたいと言えば、ボクは下空にも行きたいんだよね。

 彩桜みたく恐竜に乗りたいな♪」


「それもいいね♪」



 話しながら歩いて行くソラと響を追ってショウと力丸も歩き出した。

「「ん?」」

振り返ると、カケルが固まっていた。

「お兄ど~したの?」

「口も目も開けたままだ。何かの異常だろ」

引き返した。


 トリノクスと龍神兄弟は人神救助の担当場所に行ったらしく、神眼も使って見回したが見付けられなかった。

「兄様、僕達じゃ無理っぽいよ?」


「だな」【ソラ兄! カケルが固まってる!】


【【えっ?】】

すぐに来た。

「もうっ、お兄ったら今度は何よ」

「ショウ、誰か大神様を呼んで来て。

 力丸はお兄に治癒をお願い。

 響、解呪の御札を貼っておいてルサンティーナ様を探して連れて来て。

 ボクはアミュラ様の所に行ってみるから」


「ソラだけで?」


「少し時間は掛かるかも。でも行けるよ」術移!



「仕方ないわね。それぞれ全力で大急ぎねっ」


「うん!」「おう!」



―◦―



 ショウはカウベルルを探していた。


「おや?」「ん? あ♪」


キツネの里で見た覚えのある男女の人神が飛んで寄ってくれた。


「アフェアン様とサマルータ様~♪

 ちょっと来て来て~♪」反転♪


「「どうしたのだ?」」


「来て来て~♪ 助けて~♪」


「何を、なのだ?」「追うしかなかろうよ」



―◦―



【ルサンティーナ様! どちらですか!?】

マヌルの里の建物内には居ないので、外に出た響は都の方に向かって呼び掛け続けた。



【ヒビキ? どうかしましたか?】


【お兄――カケルが固まってるんです!】


【禍に触れてしまったのかもしれませんね】

言葉の途中で現れた。

【案内を】手を取る。


【はい!】瞬移!



――「ヒビキお帰り~♪」


「確かに禍呪もあります。解きますね」

ルサンティーナがカケルの額に手を翳し、唱え始めた。



 ルサンティーナを避ける形でショウと響の方に動いたアフェアンとサマルータの表情は、安堵ではなく険しかった。


【もしかして、呪の他にもあるんですか?】


【『鍵』については聞いているか?】


【はい。お兄は災厄前にも『鍵』になっていましたから。

 つまり、また、なんですね?】


【そう考えている】

【何の鍵なのかは不明なのだがな。

 その事象は既に起こったのだろうが、『超越者』が満足する結果にはならなかったのだろうよ。

 故に次なる事象の鍵とすべく仕掛けているのだろうと考えた】

【全ては我々の憶測に過ぎないのだがな。

 超越者にとってカケルは都合の良い存在なのだろう。

 大神力を無自覚に持っており、中途半端に使える状態であるという点でな】

【私達は本来の彼を知らぬが、あの現状がソラの相棒だとは思えぬ。

 そこを起点としての想像だ】


【そっか。トシ兄は龍神様としての自覚ができて、修行もしてるし自主的に復興にも参加してるから『鍵』からは卒業したのね。

 お兄だけになったから……】

【どこまでも困ったお兄だよね~】【だな】


【ん? 力丸、治癒は?】


【解呪し終わったからいいって。

 動けないのは呪じゃないからアミュラ様を待とうだってよ】


【今は?】まだ唱えてるけど?


【【アフターケア】だと思う~】


【そっか。今がサナギだとしたら羽化した時、どう化けるのかが怖いもんね】


【確かにアレはサナギだな】【うんうん♪】

【蛹か。言い得て妙だな】【そうだよね♪】



 アフターケアも終わったらしく、ルサンティーナが向いた。

「いかがしましょう?」


禍呪(かじゅ)で暴れる可能性は(つい)えたが、目覚めた時に何を仕出かすか知れたものではない。

 里から離し、結界で封じておこう」

「これ以上は死なぬユーレイなのだから放置しても問題無かろうよ」

アフェアンとサマルータはカケルを連れて瞬移した。



「あとは~アミュラ様待ちだね~」


「ソラ……着いたのかなぁ……」


「ソラなら大丈夫♪ ソラだも~ん♪」

「だな。俺達への指示も的確だったもんな」


「そうよね。信じなきゃね!

 あ! リーロンさんのクリームパン!

 良かったぁ、まだ温かい~♪

 食べながら待ちましょ♪

 神世なんだから陽の気が大事よね♪」

「アフェアン様とサマルータ様もクリームパン食べよ~♪」


カケルを封じて戻った二神も一緒にと、人姿になって手を繋いだ王子達だった。







ま~ったく何度も何度も! なカケルです。

で、本来のカケルって?



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