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班分け交代制に



 月から神王殿に戻ると、輝竜兄弟とソラは瑠璃(ラピスリ)に乗って人世に向かったが、響は力丸(ダイナストラ)ショウ(ショウフルル)を手伝うからと残った。


神速記(じんそっき)を強化してもらったから入力は任せてね♪」

瑠璃や彩桜のようには出来ないが、数枚を板に乗せて手を(かざ)した。

腕輪と紙が光れば入力完了なので次を乗せる。どんどん繰り返す。


「ダインとショウは記入内容の抜けを確認してもらえる?」

ティングレイスが入力済みの紙の山を指した。


「はいっ」「は~い♪」



 ティングレイス王とサティアタクス前王とマディアは、彩桜から貰った小さな物を記入用紙に乗せて手を翳しては地図上を歩かせている。


「てんとう虫?」

手持ち無沙汰なカケルが覗き込んだ。


「案内虫という異界の竜宝だそうです。

 自分の居場所を知る事も可能ですが、今は記入者の住所を示してもらっています」

「番地を定めて入力情報に加えるのですよ」


「へぇ~」「お兄、邪魔しないの!」

手を止めた響が引っ張った。

「読めなくても空欄なら見つけられるでしょっ」

座らせて、前に書類をドン!


「へいへい」

1枚目を見始めたと思ったら顔を上げた。

【ナンで響はソラと行かずに残ったんだ?】


【お兄を見張らないといけないでしょっ】

【お兄てば地雷踏まないでよ~】

【ったく馬鹿者だな】


【馬鹿者なんて言うなっ!】


【良くない言葉だとは知っている。

 だからこそ、そう呼んでいるんだ。

 その大きな神力を使いこなせないなんて、次の災厄の種でしかないんだからな】

【力丸ってサスガ王子様ね♪

 彩桜クンとの差、どのくらいなんて分からなくても大きいってくらいは気づいてるでしょ?】


【そりゃ、ま~な】


【でもね、彩桜クンは四獣神ドラグーナ様の器で、お兄は四獣神トリノクス様の器なんだから基底は大差ないのよ。たぶんね。

 つまり、あの大きな差は修行の差なの!

 そこに気づいてないから見張ってるのよ!】


【ソラは誰の器なんだ?】


【もう忘れたの?

 ソラはキツネ様とトリノクス様の父神様、ガイアルフ様の器よ。

 ガイアルフ様は先代の四獣神様なの。

 だからソラは自覚して修行に励んで彩桜クンの相棒になったのよ。

 お兄、このままだと見捨てられるよ?

 向こうの地で彩桜クンが来た時のソラの顔、見てなかった?

 お兄と組んでた間はイライラしてたのに輝きそうなくらいの笑顔だったのよ!】


【ぅ……】


【お兄てば、まだ何かに呪われてる?】

【可能性はあるよな。超越者とかにな】

【そうね。確かに可能性あるわね。

 トシ兄はマトモに働いてるもんね。

 後でアミュラ様に見てもらいましょ】




 以降は静かに――と言うか、度々中断して話し掛けるカケルを無視して作業に励んだ。


 そして王都が夕に暮れてもソラと彩桜は戻らなかったが、ユーレイ探偵団は狐便でマヌルの里に送ってもらった。


「モグ♪」「飛鳥とユーロンも来てたんだ~♪」

王子から犬に。飛鳥とユーロンを乗せて歩いていたモグに走り寄った。


「ショウとリキマルも人?」

ユーロンがビックリで首を傾げた。


「神世って姿いろいろになるよね~♪」

「だな♪ けど犬がイチバンだ♪」


「ボクもキツネになる~♪」パッ♪


「じゃあボクも♪」偽装でキツネ♪


「じゃあボールねっ♪」ポンッ♪「遊ぼ~♪」

まだ昼なのもあって元気に駆けて行った。



「お兄はコッチ!」「引っ張るなってぇ」

ズンズン進む響に引っ張られてアミュラの部屋前。

「そんな急いでも、まだまだ長~い行列じゃないか」


「手伝えばいいのよ」

使徒やら弟子やらの龍神や狐神が出入りしている関係者専用らしい扉から堂々と入った。



「おや、救世主達じゃないか。

 何かあったのかい?」

ちょうど区切りが良かったらしく小休憩中。


「お兄、まだ何か呪われてませんか?」

「お~いイキナリだろ」


というカケルの言葉は両者共が無視。

アミュラは真剣な顔でカケルの額に手を翳した。

「パッと見な~んにも見えないけどねぇ。

 このヌケてるのは元々じゃないんだね?」


「こんなお兄をお姉ちゃんが好きになるとは思えませんので」


「そうかい。

 また何かの鍵になってるのかもしれないねぇ。

 よ~く観察しつつ、探ってやるよ」


「ありがとうございます♪

 じゃあ、お兄は向こうの手伝いね。

 アミュラ様、私にも何かさせてください」


「嬢ちゃんは なかなかの使い手だからねぇ。

 助かるよ。それじゃあアタシの助手だ♪」


「はい♪ よろしくお願いします♪」


「この術を――」

アミュラが指先から飛ばした光が響の額へ。

「――量産しとくれ」


「御札にすればいいんですか?」


「何でもだよ。その『御札』とやらは術を具現化したものだからねぇ。

 よ~く鍛えてるからねぇ。何にしても便利だ♪」


「それじゃあ、紙素蝶(しそちょう)具現化――」

バララッと妖秘紙(ようひし)が響の周りの宙に展開した。

「――神速記、個魂等切(ここんとうざい)♪」

手に出した魂筆(たまふで)でサッと(くう)を撫でると、全ての妖秘紙に複雑な紋様が浮かび上がった。


「それを廊下で待ってる者達に配っとくれ」


「はい♪」回収して部屋を出た。


「これで速くなるさね♪

 で、ザブは休憩かい?」

「ああっ、申し訳ございません!」


「救世主カケル、お前さんは何をしてるんだい?」


「何したらいいのか……」


「カシス、その坊やを頼むよ」「はい母様♪」

可愛い娘神が飛んで行った。


「それじゃあ全神力(ぜんりょく)全開もうひと踏ん張りだね。

 次を入れておくれ」


「はいアミュラ様」龍神が扉を開けた。



―◦―



「あ♪ 父ちゃん♪」「マリュ♪」


マヌルの里の庭でボール遊びをしていた大型犬と子狐達が、大きな狐と(たてがみ)のある虎に駆け寄った。


「マリュ、大きくなれたんだね♪」


「やっとな♪

 ドラグーナとオフォクス、それとコイツ(トリノクス)の世話になっちまったよ♪」


「良かったね♪」「お爺様とキツネ様は?」


「人世に行っちまったぞ」

「マーズを助けると言っていた」


「「なにかあったの!?」」チビッ子マーズ2人。


「ん?」「ただの復興だが、どーしたんだ?」


「「ボクたちも行かなきゃ!」」


「マーズは神世と人世、半々で動いている。

 二人には神世を頼みたい」


「「はいっ!」」人姿、忍装束になった。


「だが明日からだ。

 今日は神世に慣れる日なのだからな」よしよし。


「「はい♪」」


「存分に遊び、よく食べて、よく寝、明日に備えよ」


「「はい♪」」


「モグも後でなっ♪」「うん♪」


トリノクスとマリュースは笑顔で中に入った。



 ボール遊びを再開したが、各々が人世に思いを向けていた。

口には出せないと思いつつ。



―◦―



 マヌルの里に夜の(とばり)が下りた頃、邦和は夜中。

そんな時間になって、ようやくソラが戻った。


「やっぱり大変な状況なのね?」


「必ず解決するから心配しないでね。

 そろそろ出発時間だから戻ったんだけど?」


「そうね。でも休憩くらいしなきゃ」


「そう思ってデザートを貰ったんだ♪

 異界レシピの『ふわふわ』だって♪」

保護珠から2皿 引き出してテーブルへ。


「生クリーム? じゃないね。マシュマロ?」


「焼き菓子らしいんだけど謎なんだ。

 だから『ふわふわ』♪

 果物ダイス入りのソースをかけて出来上がり♪

 それじゃあ一緒に「いただきます♪」」


ぱくっ♪×2。


「綿菓子っぽさもある~♪

 あ♪ 中にパンケーキも――やわらかっ♪」


「本当に謎だけど、ふわふわ美味しいね♪」


「これが異界のデザートなのね~♪

 私もブルー様に会ってみたいな~♪」


「青生先生そっくりらしいよ♪」


「輝竜さん達、皆さん同じ顔なのに?」


「話し方とか雰囲気とか、そういうのが似てるんだって♪」


「へぇ~♪ ますます会いた~い♪」




 異界スイーツを存分に楽しく味わってソラと響は集合場所に行った。

A~Cの3班に分けて、響達はA班。

他のユーレイメンバーはカケル、ショウ、力丸で、そこに龍神や狐神が加わる予定だ。

彩桜とモグは可能な時に参加するので班には属していない。


 アミュラとトリノクス、金銀の龍神が出て来た。

「それじゃあカリュー王都を頼むよ。

 他国は王族が出たら ややこしいからねぇ。

 向こうは昼だ。そのつもりで行きな」


「はい!」A班一斉。


「では乗ってもらおう。

 ゴルシャインとシルバスノーは手を繋いでおけ」


「「はい!」」


「ユーレイ達、特にカケル。

 (しか)と掴まっておけ」

トリノクスはゴルシャインの背に乗ると術移した。




――夏らしいギラリとした昼の地。

あれやこれやの呪に近い縛りが消えたので容易に一気飛びできるようになったらしい。


「ん? マリュース様は?」

「また馬鹿者か。余計な詮索はするな」

「聞いてみただけだろっ」

「兄様ぁ、お兄の相手なんかしちゃダメ~」

「だよな。行こう」


遣り取りを聞いたトリノクスが笑う。

「マリュースにはモグと子供達を頼んだ。

 速やかに始めるぞ」


「お兄、勝手に掘らないでね~」

「前みたく俺達が先に調べるからな。

 ん? 座って何を――」「「「ダメっ!!」」」


時既(ときすで)に遅しだった。

次第に大きくなっている地響きが悪しきものの接近を告げていた。

【上へ! 可能な限り離れよ!】

言い終わる前に各々が動いていた。


噴出した禍で黒々としていく中、トリノクスの指示に従ってソラは響を連れ、力丸とショウはカケルを連れて上空へと術移していた。







人世も気になりますが、自分達は神世だとユーレイ探偵団は動いています。

さて、変なモノを掘り当てたらしいカケルは まだ何か呪われているんでしょうか?


ショウが勝手に掘らないでと言ったのはカケルにだけです。

つまり他のメンバーは風雪の中で掘った最初の時も不穏と不穏の隙間にしか掌握を突っ込んではならないと分かっていたんです。

そうでなければ禍々しいオーロザウラの主城の書庫跡なんて調べられませんし、ルサンティーナ様やカシス様が保護されていた珠も見つかっていません。

あの時は『ここ掘れワンワン』で指示された場所だけをカケルは掘っていたんです。


ユーレイ外伝1で瑠璃が双子執事から預かった鏡にフィアラグーナ様が込めていた言葉『古カリュー王城跡を掘れ』というのは、双子執事が見たルサンティーナ王妃の保護珠が飛んだ場所だったんです。


桜「あ~、書き込むの忘れてたんだ~」


凜「流れが悪くなるから入れなかったの!」


桜「それを上手に入れるのがウデでしょ」


凜「う……」


その通りですよね。すみません。m(_ _)m



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