月に転送した禍も浄化
マヌルの里に戻って休憩した後、彩桜が月で封じている禍を浄滅しに行くからと立ち上がった。
「ソラ兄も行く? 元気だったらだけど~」
「行くよ♪ 浄破邪、必要だよね?」
「うんっ♪ 響お姉ちゃんは?」「行く!」
「じゃあ決まりねっ♪
ショウと力丸は王子様に戻らないとだっけ?」
「そ~なんだよね~」「月のがいいんだけどな」
「神王殿まで一緒ねっ♪」「うん♪」「おう♪」
「モグは?」
「ボク……呼ばれてるから……」
チラリと視線を向けた先ではトリノクスが微笑んでいた。
「きっと大事な用だよ♪
月は逃げないから今度ねっ♪」「うん♪」
「じゃあ行こ~♪」「おいっ! 俺は!?」
「ほえ? 行く決定でしょ?」「お、おう」
カケルを無視したのでも忘れていたのでもない。
が、浄化神力は戦力外、術浄化も無理そうなので聞かなかった。
「サイオンジさん達はお弟子さんトコ行かなきゃでしょ。
み~んなで都方面に出発しよ~♪」
龍に乗って ゆっくり飛んで――ではなく、マディアと手を繋いだ瑠璃がバシッと術移一発で王都に着いていた。
「各都へは飛んで運ぶ」
「神王殿は最後だから王子様達も乗っていてね」
「明日からは?
ユーレイ探偵団、向こうの地なんでしょ?」
先頭に乗っている彩桜が振り返る。
「そうなりそうよね。
こっちとは違う隠れてる神様を掘り出さないといけないから」
「それも悪神が掘り返さないように神様を拒絶した結界してるらしいんだよね」
「またユーレイさんじゃないとダメなんだねぇ」
「そうなんだよね。
彩桜は? 何処で何する予定?」
「人世かにゃ~ん。邦和だけ遅れてるから~」
「「どうして?」」
「外国は忍者をヒーローとして見てくれるけど、邦和だと間者、悪者でしょ?
だからだと思うのぉ。信用ナイのぉ。
ファンとファン違うヒト、喧嘩してるのぉ」
「空マーズとしては?
聞き捨てならないんじゃない?」
響がソラを指でツンツン。
紺マーズとしても聞き捨てならないらしく、聞き耳を立てている。
「そっちで呼ばないでよね。
でも……新たな災厄の火種にならないように、向こうの地の休憩時間に行こうかな」
「シフト組む?
サイオンジ達、ここで降りちゃうし」
「心話で連絡してくれたらええだぁよ」
「そうね。私達なら いつでも準備万端だから♪」
トクと一緒に西小都に降りつつのサイオンジと、まだ暫く乗るつもりな寿。
「向こうに運ぶの狐便に頼んどくねっ♪」
「そりゃあ楽チンだぁなぁよ♪」笑顔で手を振る。
「じゃまた明日~♪」「またお願いします!」
乗っている者達も振り返す。
ラピスリとマディアが上昇した。
そうして都を巡り、副都で王を拾って神王殿へ。
「グレイさん、副都にも団地を? ひとりで?」
廊下を歩きながら、マディアが待ってくれればいいのにと込めて首を傾げた。
「ダイン ショウと一緒にしたい作業があるんだ。
だから先に行っていただけだよ。
明日からは? まだザブさんの国?」
「うん。行くつもり。
シフト組んでの班行動になりそうだから時間帯は未定だけど、半日は都に居るから大都の団地は一緒に♪」
「ありがとう。そうしてもらえる?
あ、僕達はコッチだから。また後でね。
ダイン、ショウ。戸籍の入力をお願いね」
「て?」「何したらいいの?」
「入力って、これと同じ?」
月への道の部屋には向かわずに付いて行き、職域の連絡板を宙に出した。
「同じだよ」執務室の扉を開けた。
「神力入力ね」「どれだけ集まったのです?」
「姉様、手伝うの? 月は?」「一瞬だけだ」
姉弟、話しながら室内へ。
「あの、机の上の――積み上がってる……」うわぁ。
「ふむ。この板ですか?」机上の。
「はい。何枚か用意していると思いますが」
「借ります」
書類の山に板を重ねて手を翳すと、書類ごと光った。
「終わりました。月に行きませんか?」
「行こ~♪ 力丸とショウも行こ~♪」
瑠璃に並んだ彩桜も椅子の後ろに積み上げていた紙山を机に上げてピッカン☆入力した。
「本当に出来たのか?」「瑠璃姉の貰った~♪」
「拾知したのだな」「勝手に入ってきたの~♪」
「確かめるのは後にするよ。
そもそもの誤記入もあるからね。
ダイン、ショウ。一緒に行ってみよう」
「はいっ♪」「うんっ♪」
術移で一気に月へ。
扉を開けようと――「待て!」カケルが止めた。
「お兄、まさか空気が無いとか言うつもり?」
「だって無いだろ!」
「ユーレイの自覚ある?」複数。他は苦笑。
「う……火山の中と同じか……」
「へ?」「まさか中を通ったの?」「あはは~」
「やっぱ馬鹿者だな」「迂回もしなかったんだ」
響、彩桜、ショウ、力丸、ソラ。
他は引き続き苦笑中。
「そんな言うなよなぁ」「行こ~♪」
もう気にせずに彩桜が開けた。皆が出る。
「閉めちゃうよ?」「出るからっ!」
出てキョロキョロ。手を引かれて龍の背に。
「なんも無い……」
〈音は伝わりにくいから心話でね~♪〉「あ……」
〈星いっぱ~い♪〉〈瞬かないけど綺麗ね♪〉
〈だな。馬鹿者には見えないらしいけどな♪〉
「ううっ……」
〈お兄? 心話も忘れたの?〉〈違っ!〉
ラピスリとマディアは景色を楽しんでもらおうと、軽い術移を交えつつ飛んでいる。
遠くに白い神殿と透明なドーム状の何か。
ドームの上で跳ねている兎が見えた。
〈あれが目的地だ〉速度を上げた。
〈月にはマジで兎が居たのか……〉
〈マジで言ってる?〉また複数。そして他は苦笑。
〈いや、だって兎!〉
〈鳳凰神様と戦った兎神様よ。もう忘れたの?〉
〈あ~あの。で、ナンで月に居るんだ?〉
〈転送した禍と戦ってたからなの~。
四獣神様とお弟子さん達なの~。
リーダーが鳳凰兎のイーリスタ様なの~♪〉
これは探偵団の皆が知らないので彩桜が説明した。
〈じゃあ彩桜もお兄さん達と一緒にドラグーナ様の中に居たんだね?〉
〈うんっ♪ でも俺だけ出してもらったの~♪〉
到着した。
〈カケルさん、足跡とか付けないでね?
ヒト来たら大騒ぎなっちゃうから〉
神世と同じな月の地面に、普通に降りようとしていたカケルが止まった。
〈そっか〉
ふわりと浮かんだ。
〈サスガ彩桜だな。的確に止めたな〉
〈ほっといたら足跡つけたよね~♪〉
〈響まで力丸の仲間なのかよ〉
〈たぶん~、み~んなコッチ側よね~♪〉
〈トーゼンだ〉〈うんうん〉〈そうだね〉
〈サクラだけは味方なんだな♪ あれ?〉
キョロキョロ探すと、彩桜はイーリスタと話していた。
そこに皆が集まる。
〈置いてくなっ!〉
急いでカケルも行くと、大きな半球ドームの中には、黒玉ビッシリな立方体水槽のピラミッドがあった。
〈青生兄 瑠璃姉 ソラ兄♪
一緒にピッカン☆ねっ♪
お疲れ神様達はお休みしててねっ♪
囲んで~いっくよ~♪ せ~のっ!〉
一斉に滅禍浄破邪ピッカン!☆ 「うわあっ!」
〈またか馬鹿者〉〈せ~ので目を閉じないと~〉
〈う……〉
〈〈〈総解還〉♪〉〉紅火 藤慈 彩桜。
半球ドームと水槽ピラミッドが消えた。
〈もう、すっごいしか出てこないよね~♪〉
〈だからボクの目標なんだよ♪〉〈納得♪〉
〈見て見て地星~♪〉
思わず歓声!
〈ホント、青い宝石よね~♪〉
〈消滅しなくて良かったね♪〉
感慨深く暫く眺める。
〈神殿にも入る?〉
〈トーゼン♪ 探検ね♪〉探偵団長、張り切る。
〈そんな広くにゃいからぁ~〉にゃはは~♪
神眼でしか見えない神殿は宙に浮かんでいる。
純白で清楚に煌めく外観のままの、話すのすらも畏れ多いと感じてしまう程の神聖さに圧倒されつつも、見たり触れたりの寄り道満載で飛んでいると、初代四獣神が揃って姿を見せた。
〈真四獣神様♪ 見学させてく~ださい♪
アミュラ様が明日も、だそ~で~す。
朱雀様、瑠璃姉とっても元気ですから復輝降臨 受けてくださいねっ♪〉
〈ふむ。そうせねばならぬようだな。
では存分にな〉彩桜に光を放つと外へ。
〈あっりがと~ございま~す♪
奥の倉庫、楽し~よ♪〉どんどん奥へ。
〈彩桜、さっきの光って?〉
〈倉庫の物さん達の説明書♪〉
〈へぇ~♪〉〈彩桜クン不思議だらけすぎ~♪〉
〈そりゃあ彩桜だからなっ♪〉〈うんうんっ♪〉
〈ええっとぉ、俺って、やっぱり変?〉
〈じゃなくて褒めてるんだよ♪〉
〈そっか~♪〉えへへ~♪ 扉を開けた。
〈壺?〉〈壺だらけね……〉
〈たっくさん物が入る異界の壺、集縮さん達~♪
小壺さん入ってるの、だぁれ?〉
手前の壺が1つ明滅した。
寄った彩桜が壺の口に手を当てる。
〈うんうん♪ 使うからねっ♪
お土産に? ありがと♪ 貰ってく~♪
今日は1人1コね♪
うんうんお約束する~んるん♪
はい、ちっちゃ集縮くん♪〉配るの~♪
〈もしかして壺と話してた?〉
〈ただの心話なの~♪
ん? カケルさん、静かだけど大丈夫?〉
〈あ? ああ。ビックリ連続だっただけだ〉
〈そっか~♪ じゃあまた来よ~♪
マーズ、人世に行かなきゃだし、力丸とショウは忙しいもんねぇ〉
話しながら部屋の隅へ。
〈コレ1番? ん、調べるからね~♪〉
大きな壺を頭に乗せた。
〈行こ~♪〉
飛んで行った。
〈彩桜、それは?〉
〈中身さん達が人世でも使えるのか調べるの~♪〉
〈それが約束?〉
〈うんっ♪ 瑠璃姉~♪ 帰ろ~♪〉
カケル、月は二度目でしょ。
アミュラ様に連れて行ってもらったのを忘れたようです。




