団地も神力で作る
美味しい美味しいと食べ終えた後、マディアとティングレイスは建てる場所を見繕っていた。
父を観察中のダイナストラとショウフルルは静かに後ろを歩いている。
「お~い、集合住宅って団地かぁ?」
ウンディ利幸が走って来た。
「「団地?」」
「どんなの考えてるんだよ?」
「人世に沢山ある石みたいな四角いの」
「その四角いのを並べるんだろ?」
「うん」
「ソレが団地だよ。
土地は余ってるんだから高くしなくてもいいよな?
俺、土建屋でも働いてたからな♪
何でも聞いてくれ♪」
「「土建屋?」」
「石みたいなのを建てる大工だよっ」
「「へぇ~♪」」
「不満が起きたら禍が生まれるんだろ?
いいヤツ建てないとなっ♪
説明してやるから よ~く聞け♪」
「「うんっ♪」」
―◦―
「ウンディは……そうかマディアと一緒か。
楽しそうだから放っておくとするか」
戻って来ないウンディを捜したラピスリは苦笑して再建作業を再開した。
飛んで来た弟子ユーレイと話していた響が向いた。
「ラピスリ様、黒い龍神様が探してるそうですけど、こっちに呼んでいいですか?
あ、今ソラの所らしいです。
って、それならソラに直接聞くんだった~」
「オニキスだろう。構わない」
【ソラ、いいって♪】【ん。ありがと♪】
黒い龍神が現れた。
「やっと見つけた~」
「やはりオニキスか」
「気を消すなよなぁ」
「消しているのではなく再建に集中していただけだ」
「アミュラ様って婆様が呼んでるんだ。
マヌルの里に来てくれよ」
「ふむ。ならば私の代わりに再建を頼む」
「オレが!?」
「要領はゴルシャイン兄様に聞けばよい」術移。
「オレはヒマじゃねぇんだけどなぁ」
ブツブツ言いつつゴルシャインを探していると響が来た。
「なんか~、久しぶりですね♪」
「だな♪ やっとオレもコッチ来れたんだよ♪」
「そうなんですね♪
あ……レストランは?
黒瑯さんも居ないんですよね?」
「人世も復興中だからな、レストランとしては休業だが炊き出しはやってる。
少しずつ家も建ってってるからな。
で、オレ不在でも他のスタッフが居るからな♪
ユーレイ達もオレもシフト組んでやってるぞ♪」
「輝竜さん達はキリュウ夫妻の所に居るってコトに?」
「だよ。オーストリアだっけか?
そのまま滞在中ってコトにしてるよ。
神世に居るなんて言えねぇからな♪」
「ですよね~」
「オニキス、マヌルの里での手伝いは終わったのか? 他の兄弟は?」
「あっゴルシャイン兄様っ!?」
「何を驚いている?」
「サボってるんじゃねぇし!」
「そうかサボっていたのか」「違ぇし!」
「で、マヌルの里は?」
「兄弟捜しやらは だいたい終わりました。
回復した兄弟が見つけて、どんどん水晶から出してもらってます。
街やらの結界から出してもらった兄弟も半数くらいは回復したからオレ達の滋養食なんですよ♪
エメルドとユーリィは まだ治癒してました。
たぶん明日ならコッチに来れると思います」
「そうか」「そういうのも してたんですね」
「四獣神の子は即戦力だからと、水晶からの解放や解呪、人世魂の分離を急いで頂いていたのだ」
「じゃあ狐儀様とかは? 人世は人だけで?」
「神力持ちのユーレイを大勢 借りている以上、神も手分けせねばならぬ。
結界に封じられていたのは私の兄弟ばかり。
狐や猫達が人世で神マーズとして復興しているそうだ」
「狐儀と理俱も行ったり来たりだ♪」
「神世はユーレイも神様も増えたし♪
人世は神マーズ♪
これから どんどん進みますね♪」
「だなっ♪」「そう願っている」
―◦―
マヌルの里に呼ばれたラピスリは、広間で休んでいる兄弟に回復光を当てつつ、アミュラの手が空くのを待っていた。
「待たせたね。呼んだのに悪かったねぇ」
広間の外へと促す。
「いえ。兄弟をお助け頂いておりますので」
ついて行った。
「そうかい? ま、ありがとよ。
で、相談なんだがね。
明日から反対側の地を頼めないかい?」
「そうですね。
これだけ増えれば此方側は十分でしょう。
ユーレイも増えましたので救世主達も連れて行けるでしょう」
「ザブダクルとルサンティーナも連れて行くよ。いいかい?」
「それは当然と存じます。
他国の王族方々を救出した際に説得する為にも必要となりましょう」
「ラピスリは私情を挟まないんだねぇ。
アタシは親友に会いたくて急かしてるってのに……」
「親友……小夜子は望んで成仏しましたので」
「ぶつけといてもいいと思うんだがねぇ」
「小夜子が生き返る訳ではありませんので」
「確かにねぇ。それじゃあ明日、此処に――」
「ラピスリ様っ! 申し訳ございませんっ!」
現れたザブダクルが伏した。
「来ちまったのかい。
黙って聞いてなと言ったろ?
泣いたところで人は生き返れやしない。
よ~く肝に銘じて未来に目を向けな」
「この復興が終われば、もう会う事は無いでしょう。
互いに何を思っていようが知らぬ所です。
私の事なんぞ お忘れください」
「それなんだがねぇラピスリ。
古の人神にとっちゃあピュアリラは愛と平和の象徴で必要なんだよ。
アタシみたいな婆ァが愛の象徴なんざ、アタシでも笑っちまうよ。
だから真ピュアリラを継ぎたいんだ。
頼むよラピスリ。
これからもピュアリラをしておくれよ」
「……嫌です」
「向こうに住めとか言わないからさぁ。
たま~に姿を見せりゃあ平和を保つ筈だ。
王になんか会わなくてもいい。
民にだけ姿を見せてやっとくれよ」
ラピスリは顔を背けて俯いた。
「好戦的な古の神には必要なんだよ。
娘達より、弟子達より、ラピスリがずっとピュアリラなんだ。
なぁラピスリ――」
「私は……堕神とされ、欠片とされた獣神を見つけ、導かねばなりません。
小夜子の代わりに、小夜子の子供達を見守らなければなりません。
人世に戻らなければならないのです。
当面、神世に戻るつもりはありません」
「だったら数年でいいのかい?
それならアタシが誤魔化して――」
「数年では終わりません!」
サッと顔を上げたラピスリの瞳は潤んでいながら燃えていた。
「私は……」
神力が一気に高まる。
「青生と暮らしたいのです!
アミュラ様に復輝降臨!!」
叫んで消えた。
零れた涙が煌めいて落ち――
「なんて美しい……」
――アミュラを包んだ光が昇って消えた。
「やれやれ。頑固な娘を素直にさせるのは難しいねぇ」
「あの……お姿とお声に、お言葉が……そぐわないのですが……」
「おや、婆ァに戻したつもりだったのに固定されちまったねぇ。
ホント、強い娘だよ。
想いを抱え込んで、己を殺して耐えてる姿が痛々しくて仕方なかったんだよ。
吐き出せば禍も生じやしないだろ。
仕方ない。真ピュアリラに戻るよ。
戻って生き人から神や欠片を分離する術を極めないとねぇ。
ドラグーナは最後でいいと言うけど……試すとでも言って真っ先に分離してやらないとねぇ」
スッと姿勢を正すと、
「この力の湧き方……どうやら固定されたのではなく若返ったようですね。
加速できそうです。
ザブダクルも作業に戻りなさい」
苦笑して瞬移した。
「凄い……どちらも凄い……」
叱られる前に作業に戻りたかったが、ザブダクルは腰を抜かしていた。
―◦―
「ウンディ♪ コレでいいの?
斜めに並べるって、こういうコト?」
王都の高い城壁からは少し離して並べた四角い建物群の前でマディアが首を傾げた。
「そうそう♪ 間隔もイイ感じだ♪
それなら どの部屋も南向きで陽当たり良好だろ♪
で、間を公園とかにするんだよ」
「公園ね……えいっ♪ コレでいい?」
「いっぺんに!? スッゲーなっ♪」
「まっかせて~♪
壁の数字って? こう?」
建物の横っ面を指すと数字が浮かんだ。
「同じ建物ばっかだからな、それなら迷子にならないだろ?」
「そ~ゆ~コトねっ♪」
「あとは扉にも部屋番号だな。
1棟1階1号室なら1-101で、3棟2階7号室なら3-207だ♪」
「ん♪」光を連射し始めた。
「その番号を登録用紙にも書けばいいんだね?」
「だよ♪ 人もナカナカに賢いだろ?♪」
「そうですね♪」「うんうん♪」
「で、家具とかは?」
「住む人神さんに聞きながら~♪」
「僕達が倒れない程度になるけどね」
「ね、ウンディ。中も確かめてよ」
「おうよ♪」
一緒に中に入り、確かめて回る。
「扉はイイ出来だが……神なのに階段?」
「飛べない人神さん多いんだよ」
「俺よりヒドいな……」
「ウンディもナカナカだもんね~♪」
「言い返せないのがクヤシイ……」
「でも助かったよ♪
ウンディは毎日ここなの?」
「ああっ!! ラピスリに怒られる!!」
「姉様には僕から話すから、登録用紙配るのも手伝って~♪」
「助かったぁ~」
輝竜兄弟はドラグーナ様の中なんでしょうか?
鳳凰ので騒いでいた時は雲地に居たようですが。
さておき、仮設住宅的な団地は出来上がりました。
これも前進です。
ユーレイも増え、獣神様も大勢で復興作業をしていますので、
ユーレイ探偵団は明日には神世の反対側に行こうと考えています。




