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炊き出し



 翌日、カケルが副都での救助作業をしていると――


『お~い優生(ゆうき)ク~ン!』


壬上(みかみ)課長!?

 ユーレイに戻ったんですか!?」


「成仏した筈なんだけどねぇ」あはは♪


「と、春菜のオヤッサン!?」


「神様は食う必要なんざ無ぇらしいが、旨いモン食えば魂が元気になるんだとよ。

 だから避難所で炊き出しだ♪」


「そーですか♪」


「後で飲みに来るかぃ?」


「はいっ♪」『あ! 居た居た♪』


「んん? この声……おっとぉ、龍神様に乗せてもらってやがるのかぁ?」


「俺ですよオ・レ♪」着地♪


「詐欺かぁ?」


「オヤッサン、そりゃナイですよぉ。

 トシですよ♪」

銅龍、胸を叩く。


「ってぇ言われてもよぉ……」


「仕方ナイなぁ……気合いイッパーツ!!」

人姿になった。

「なっ? (トシ)だろ?」


「……見ても信じられねぇよぉ……」


「いや、だから炊き出しでしょ?

 避難所ですよね? 俺も行きますからぁ」


「そーかぃ?

 そんじゃあ壬上サン、新人クンと後でなぁ♪」


「「はい♪」」


トシがオヤッサンをヒョイと背負う。

「気合いイッパーツ!!」

龍に戻って飛んで行った。



「優生君、ユーレイの仕事、教えてもらえるかな?」


「はい♪」



―◦―



 知り合いユーレイを指名できなかった者達は、マヌルの里の広間に集められていた。


「へぇ~、こりゃあ大勢だなぁよ」


「皆、ザブダクルが起こした事故で死んだ欠片持ちだったヤツらだ。

 ――って事になってるが、その他にも大きな欠片持ち達も保魂域から連れて来た。

 潜入してたヤツらが隠してたらしくてな、記録すら無かったんだよな♪


 欠片は抜いたが神力の写しを得ている。

 短期間だが基礎修行もした。

 今日から本格的な修行を兼ねて救助班に加えて復興を加速しろ、だそうだ。

 サイオンジを指名したヤツらはナンジョウってユーレイに頼んだからな。

 また弟子だらけになっちまうが頼んだぞ。

 俺達は復活神達を押し付けられちまったからな」

サイオンジを連れて来て、ユーレイ達を会わせたフィアラグーナは笑って去った。



「さぁて、そんじゃあ救助の基礎からだなぁよ」



―◦―



「中央に王都で、東に副都、西に大都。

 その周りの東西南北に小都よね。

 街や村を加えていかないといけないのね?

 神様って地図も戸籍も無く暮らしてるのね。

 不便じゃないんですか?」

響はカウベルルに貰った地図に描き加えている。


「神の気、都や街の気を掴めば何処にでも行けるのでな。

 このような事態にでもならぬ限り、不便だ等とは感じぬのだ」

神王殿での会議に出席しているラピスリの代わりに来ているゴルシャインは困り顔だ。


「じゃあ作っても無駄になるのかな?」

乗せてもらった龍神様は皆 友達な気分の響。

「あら? ナンジョウさん、どうしたの?」


「ヒビキちゃんも2人くらい頼む!」拝む!


「そんな大勢どうしたの? お弟子さん?」


「呪付き死印で死んだヤツらだ。

 今日から救助班に――ヨシさんも助けて!

 あ! 奥様もっ!」


「丈一くん、どうしたの?」

「新人さんの指導かしら?」


「そーなんですよぉ。

 お師匠様(サイオンジ)ご指名集団なんです。

 お師匠様は その他大勢の基礎修行を押し付けられちまったんですよぉ。


 皆!

 サイオンジ様の奥様のトク様と、サイオンジ様と並ぶ高位祓い屋ヨシ様だ!

 それとヨシ様の一番弟子のヒビキちゃん!

 若いがスッゴイんだからなっ!

 サッサと戦力になってくれ!


 そんじゃ頼みます♪」

ナンジョウは逃げた。


「仕方ないわね、始めましょ」「そうね♪」

「トクちゃん楽しいの?」

「旦那様、人気者だから♪」きゃっ♡

「確かに、ね……」「始めましょ♪」



―◦―



 神力射が無くなり行き来が自由となったので、狐神達がユーレイを運んでくれるようになった。

なので人世ばかり神世ばかりではなく、主要な者達はシフトを組んで交代するように変わっていた。


 この日、東小都の担当になったトウゴウジの所には、東の街に住んでいる祓い屋ユーレイと その友達やらの大勢が集まっていた。


「サイトー君が連れて来たのね?

 まぁいいわ。

 それじゃあサイトー君は即戦力だからホウジョウと組んで蓋上げしてね♪


 他の皆さんは神力の鍛え具合を見て班分けするわ。

 並んでね」


東の街の祓い屋なサイトーをホウジョウはジッと見た後、『来い』とだけ言って地に潜った。


「サイトー君、合格だそうよ♪

 追って潜ってね♪」「はい♪」



―◦―



 神王殿では戸籍に関する会議が終わった。

「戸籍は作ると決まったけど~」

死司最高司エーデラークが人姿のマディアに戻る。


「問題山積だよね……」

ティングレイスも悩んでいる。


「ザブさんの国には戸籍なかったの?」


「全く……必要を感じず……」「あなた……」

シュンとするザブダクルをルサンティーナが慰める。


「壊す前より良くする、の一環だよね~。

 ラピスリ姉様、神世では どこまで必要だと思う?」


人世の戸籍の説明の為に呼ばれたラピスリは暫し目を閉じて考えた。

「神には姓が無い。

 夫婦、親子関係は記録しておくべきだろう。

 あとは住所だが……国名すら無いからな」


「そっか! 2国になるんだったぁ。

 グレイさん、ザブさん、どうする?」


「困ったね……」「はい……」


「候補を絞り、届け出の際に投票してもらうのはどうだ?

 釣る為には餌が必要だろうがな」


「釣るって~♪」あははっ♪


「人神は総じて遣る気が無い」


「確かに……」「そうですね……」

王達、顔を見合わせて苦笑。


「回復したならば救助に加わってもらえるものと思っていたが全くだ。

 避難所から動こうともせぬ。

 困ったものだ」


「僕、避難所に行ってみます!」「僕も!」

ティングレイスとマディアが立って頷き合い、瞬移した。



「私も作業に戻る」「では私も」


「ルサンティーナ……」


「あなた、もう心配なさらないで。

 終わりましたら帰りますから。

 あなたも頑張ってくださいね」


「ああ、頑張るよ」


各々、瞬移した。



 初めて会議に呼ばれて、ずっと静かにしていたダイナストラとショウフルルは、取り残されて『どうしよう』と顔を見合わせた。


「ごめん! 一緒に!」

戻ったティングレイスが連れて瞬移した。



―・―*―・―



 王達が復興真っ最中な王都の城壁外にある避難所に行くと、奥の方では人神の小さな塊が所狭しと場所を取り合うように(ひし)めき合っていた。


「家族で集まってるとか?」

「そうみたいだね。外にも居るよ」

「ホントだ~」 「父様コッチ」「来て来て~」



 王都の門側の出入口に行くと、天井近くに居る鳳凰神達が運び込まれたばかりの人神達に治癒や回復の光を降らせていた。


「気力という言葉が無い世界に居るみたいだね」

「向こうも見ますか?」「病院エリアね~」



 ずらりと寝台が並ぶエリアに行くと、横たえられている人神達の間をユーレイ犬が縫うように歩いていた。

「あ♪ モグ♪」「ここに居たのかぁ」


「うん♪ ダイ兄ちゃんとショウ兄ちゃんは王子様してたんだ~♪

 あ♪ こんにちは~♪」ふりふり♪ 王の方へ。


「此処で何してるの?」「モグも王子?」

王とマディア、モグラだとは気付かずに撫でる。


「僕はユーレイ犬♪

 ダイ兄ちゃんとショウ兄ちゃんの弟にしてもらったの♪

 今は支配を消してるの~♪」てってって♪


「あ……そっか」

「皆さん支配を受けているんですね?」


「そ~なの~。

 でも ちょっとずつだから僕でも消せるの♪

 だから頑張るの♪」


「モグは こんなにも頑張ってるのに……」

振り返って溜め息。


「だから動いてもらわないとね。

 マディア、外に家族用の集合住宅を建てない?

 ちょっと大変だけど」


「そこに住む為に家族を仮登録してもらうのはどう?

 やってみて これからを考えない?」


「あ、いいね♪

 元気になってるなら人神を運ぶだけでもしてもらわないとね。

 医者が居るなら、此処に獣神様を縛らないように働いてもらわないとね。

 報酬も出すと話すよ。

 獣神様にも相応の事をしないといけないけど……それは後で考えるよ」


「うん。たぶん種族ごとに好き勝手言うと思うから、後がいい筈~」

「ユーレイは、ちゃんと人世で生きていけたら な~んにもいらな~い♪」


「それもユーレイの皆さんと話さないとね」


「うん♪ じゃあ僕は行くね♪

 兄ちゃん達もガンバ♪」


「僕達も頑張ろう」「「「うんっ♪」」」




 外に出ると、人神(ヒト)(だか)りが出来ていた。

「「何だろね?」」「行ってみよ~♪」「だな♪」


〈並んで……向こうで何か食べてる?〉

〈何か配っているよね。並んでみよう〉



 列に並んで待つこと暫し――

「あっ! マディア!♪」「ウンディ!?」


「おいトシ、ナ~ニ騒いでやがるんでぃ?」


「俺の弟! ナンで並んでんだよっ♪」


「この列、何かな~? って思って♪」


「ま、食えよ♪

 人世じゃあな、避難所と言えば炊き出しなんだ。

 あったかいモン食えば人心地ついて落ち着くからなっ♪

 弟のダチも食え♪ ほらよ♪」


「ダチってティングレイス王様だよ?」「え"?」

「昨日も会ったよね?」「湯気で見えなくてなぁ」

「それに前から知ってたよね?」「だったけどな」


と兄弟が話している間に、(なら)んでいた人神達は波が引くように離れていた。


「あ……紛れ込んで ごめんなさい。

 まずは列に戻ってください。

 これから僕達は家族用の住宅を建てます。

 都が元に戻るまでの仮のもので、集合住宅なんですけど、たくさん用意しますので食べながら ゆっくりお待ちください。


 ご家族のお名前を書いて頂くだけで入居できますので、先を争わないでくださいね?

 僕達が呼ぶまでは列んだりしないでくださいね?」



 驚いてキョトンとしていた人神達から拍手がチラホラと聞こえ始め、じんわりと解ったらしく拍手は大きくなっていった。


「それとっ、元気な皆さんには!

 お仕事も! お願いしたいんです!

 報酬は!

 神世が全て! この状態ですので!

 少なくなりますけど!

 考えてますのでっ!!」


叫ばなければならないくらいの拍手と大歓声になっていた。







神様は食べなくても生きていけるそうですが、食べると無駄なく神力に変わるそうで、修行代わりにもなんるだとか。

いいな~。私は効率よく贅肉に変わるのにぃ。



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