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兎の里で



 兎の里に近付いた。


【父様! 兎神様達、逃げてます!】

【そうだね。隠れてしまったね……】


【僕が行くよ。

 きっと鳳凰が見えたんだ。

 僕だけなら大丈夫だから。

 お嫁ちゃん達♪ 行くよ!】【【うん!】】



―◦―



「長老様~、兎の長老様ぁ~!」


『誰じゃ?』


「イーラスタとアリティアの子、イーリスタです♪」


『親は?』


「父は今日から鳳凰の里長になりました♪

 ちゃんと長老様から認めて頂いて、前の里長様から継いだんです♪

 ですので兎の里が襲われるコトはありません♪

 ソレをお知らせに参りました♪」


『信じて……よいものじゃろうか……』


「友達のドラグーナも来てるんです♪」


『ドラグーナ王様じゃと!?』


「そのドラグーナです♪ 僕の友達♪」


〈ドラグーナ王様じゃ!

 皆、出てくるのじゃ!〉


ぴょこん、ぴょこんと兎達が顔を出す。


「呼んでいいですよねっ♪」


『呼んでくだされ』


【まずはドラグーナだけねっ♪

 オフォクスも兎するなら来ていいよ♪】

【行かぬ!】


「あ♪ エーデラークも来てますけど?」


「彼の高名な!?」びよっ!


「あ♪ 長老様、はじめまして~♪

 はい♪ エーデラークもドラグーナの子ですから~♪」


「王子様でしたのでっ!?」


「王子王女なら千いるよ?

 僕のお嫁ちゃん達もドラグーナの子♪」

「「はい♪」」


「ええっ!?」


「とにかく~、父が里長になったって証神ですので~、お話 聞いてくださいます?」


「はいっ! はいっ!」


【ドラグーナとマディアねっ♪

 エーデラークにも会いたいんだって~♪】

【うん。見てた~】


上空に父子龍が現れ、ゆっくり降下した。

「大きくて すみません」父子ぺこり。


「いえいえいえいえっ!」


【父様……拝まれてません?】

【拝まれてしまっているね】苦笑。

「同じ獣神ですので、お気を楽になさってください。

 確かに今日マヌルの里にてイーラスタ様が鳳凰の里長を継がれました。

 ですので今後、鳳凰が兎を襲うなんて非道は起こり得ません。

 そもそも同じ神ですので、そんな事は許しませんよ」


「ああああ~、ドラグーナ王様ぁ~」

もっと拝む~!


「ですから、あの……」


【父様、無理そうですよ?】

「私も政の中枢に戻れましたので目を光らせておきます。

 大きな獣神を小さな獣神が恐れず暮らせるよう、解き続けますので」


「エーデラーク王子様ぁ~~」

ありがたや~、ありがたや~。


「「父様~♪」」

ぴょん♪ 途中で龍に♪


ドラグーナが娘達を受け止める。


「龍で兎な娘達も受け入れて頂けますか?」


「勿論ですとも勿論ですとも~」


「鳳凰で兎な親友も?」


「イーリスタの事じゃな?

 勿論ですとも!」


「兎と結婚した鳳凰も?」


「もう恐れずともよいのですじゃな?

 ならば勿論ですとも!」


【父様母様♪ 来て~♪】


橙色の炎を纏った朱鳳凰が降下した。

「ありがとうございます、長老様。

 鳳凰は兎を襲うなんぞ致しません。

 兎の里を護らせて頂きます」


「そうか そうか~。

 して、アリティアは?」


「ここです! お祖父様!♪」

イーラスタの背で手を振っている。


「「「お祖父様!?」」」


【イーリスタ父様、見えてなかった? 共鳴は?】

【いろいろ緊張してて~】


【イーリスタ様でも緊張するんですね♪】

【ドラグーナぁ~】


「それと、鳳凰の長老様が謝罪をなさりたいと、いらしているんです。

 此方を襲うと言った長老様ではないんですけどね。

 長く苦しめてしまったと」


「謝罪のぅ……ま、よかろうぞ。

 対等になったのじゃからの」


「鳳凰vs兎3連戦で兎3勝ですから~♪

 対等どころか上ですよ~ん♪」


「対等のみですよ、イーリスタ様。

 上も下もないんです。

 同じ獣神なんですから」


「あ、そっか~♪

 兎が上になっちゃったら、父様は母様の尻に敷かれちゃうんだね~♪」


「なんだか意味が……まぁいいですけど。

 とにかく鳳凰の長老様をお連れしますね」



―◦―



「兎さん達、ドラグーナ様を撫でてる~♪」

「響、落ちるよ?」

ソラと響はフィアラグーナの背に乗っている。


「古来、龍と鳳凰は巨大獣神の2大柱として互いを尊び、支え合ってたそうだ。

 ドラグーナが言う『認め合う』は、そこから来ている。

 ドラグーナの遣り方は人の目には如何に映るんだ?」


「とても優しいと思います。

 腰の低い王様だな~って」


「当のドラグーナは王だなんぞと認めちゃいないがな。

 人世には『お人好し』って言葉があるんだろ?

 神には無かった言葉だ。

 ドラグーナは俺の子なんだが、いろんな龍を混ぜたせいか俺にとっちゃあ不可解な性格になっちまった。

 その『お人好し』を具現化して飛ばしたらドラグーナになるんだろーよ」


「確かに~♪」「響、失礼だってば」


「いや。ま、事実だ。

 お人好しの度が過ぎて千もの子を作り、シッカリ育てやがった。

 これからの神世はドラグーナの子らが支えてくれるだろーよ」


「そうですね♪」

「ドラグーナ様ご自身は? 神世に残るんでしょうか?

 輝竜さん達……どうなっているんですか?」


「ドラグーナの中に居るんだろーよ。

 あのドラグーナが消すなんざぁ考えられねぇ。

 切り離すか、自分も降りるかはこれからの話だが、輝竜兄弟は分身くらいに思ってるだろーから心配すんな」


「良かったねソラ♪」「うん」


「ん? ソラ、元気ねぇぞ?」


「ボクはユーレイになって3年くらい意識が無かったんです。

 ぼんやりしてて眠ってばかりで」


「そりゃあ欠片が大きかったからな。

 ガイアルフのせいだ♪」「おい」


「それは、まあいいんですけど、その ぼんやりの間、よくフラフラ出掛けてたらしくて、地縛されないように彩桜が何度も助けてくれたそうなんです。

 話し相手もしてくれて。


 その記憶は消えてしまったけど、ほんの少しだけ……彩桜の笑顔とかが断片的に浮かぶんです。

 だから、なんだか特別な友達って感じで、会えなくなったら どうしようって不安だったんです」


「おい、ガイアルフ。

 尾に入ってねぇのか?

 欠片が合わさった時に確かめもせずにアレコレ入れてただろ?」


「う~む……あ、見つけたぞ。

 ソラの記憶だ。返す」

ガイアルフが尾を大きく振ると、光が飛んでソラの額に入った。


「あ……これ……目覚める前日?

 お兄と手を繋いでる?

 彩桜がボクを支えて……繋がせてくれたんだ……」


「どうして前日だと?」「よく分かったな」


「なんか今、逆再生みたいになってるんです」


「その時の共鳴で俺もトリノクスも目覚めたんだよ。

 だからソラもカケルも目覚めるに至った」


「やっぱり彩桜はボクの特別だよ」


「帰ったら お礼言わないとね♪」


「そうだね♪ あ……」


「どうしたの?」


「彩桜とお兄さん達、神世に居る……」


「神世のどこに?」


「雲地。彩桜は恐竜に乗ってるよ」


「そりゃあ絶滅種保護区域だな」

「イーラスタ様が居るんなら誰が管理神してるんだ?

 これからは誰が――「俺達かっ!?」」


「「え?」」


「いやぁ、獣神狩りから隠れるのに丁度いいと思ってな、引き継ぐ約束してたんだよなぁ」

「けど行けなくてなぁ」


「ドラグーナ様のお子様も大勢、王子様も大勢なんですから鍛える場にもして皆様で交代に、ってどうですか?」


「修行場か……」「鍛練場なぁ……「そりゃいいな♪」」



「楽しそうですね♪」

ドラグーナとマディアが背に兎神達を乗せて上昇して来た。


「「イーラスタ様は?」」


「長老様と一緒に鳳凰の里に行かれましたよ」

「これから一緒に王都に行くんです♪」


「協力してくれるんだな?」「「はい♪」」


「イーリスタは兎で乗ってるのかと思ったが、イーラスタ様と一緒に行ったんだな?」


「イーリスタ父様は、ちゃんと友達になってもらうと言ってました♪」


「そうか、マディアは龍兎なのか」

「ミルチェリと同じなんだな?」


「そうなりますね♪

 復活するのにイーリスタ父様からも欠片をたくさん足してもらいましたから兎にもなれますよ♪

 今は乗せてますから なりませんけどね♪」

『王子様は兎にも』『それはそれは』と兎神達が喜んでいる。


「ああ、見えましたね」


「「こんな時でも飛ぶのかよ。瞬移しろよな」」

呆れ声が揃った。



嵩高(かさだか)い鳳凰達の塊が近付いている。







鳳凰神と兎神が仲直りして、これにて一件落着~ですね。



ドラグーナの子、双子のミルキィとチェリーはザブダクルの禍呪を受けて再誕する際にイーリスタの欠片を貰っているので兎にもなれるんです。

マディアは生まれる時の補助神力としてイーリスタの欠片を込めていたので、龍で鳳凰兎なんです。



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