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マディアとグレイを元に戻す



 マリュースとモグがカウベルルに案内された部屋に入るとアミュラが笑い、奥を向いた。

奥ではダグラナタンとザブダクルが様々な動物の形をした水晶を仕分けしていた。


「ダグラナタン、支配の持ち主が来たよ。

 こっちに来な」


「はい」


「ザブダクル、その写しは必要かい?

 モグに託したらどうだい?」


「そうさせて頂きます」


「それじゃあ並んで座りな。

 ダグラナタン、神力は引き千切るモンじゃない。

 無茶をするから合わせるのが大変になる。

 そのパズルでも嫌という程 分かったろ?

 何にせよ大抵の事象は そういうモンだよ。

 よ~く覚えときな」


「はい」


「ザブダクルにも言ってるんだよ。

 バラバラにされた神達は、お前さんがボロボロにした神世と同じだ。

 壊すのは容易いが、元通りに戻すなんて出来やしないんだよ。

 大変な思いをしても、元に近くするのが精一杯なんだよ」

「でも~」

「なんだい? モグ、言ってみな」


「元より もっと良くできると思う~♪

 だって最悪を知った後だから♪」


「モグは優しいねぇ。

 酷い事をした者にまで、そんな言葉を言ってやれるなんてねぇ」


「お前らっ! トーヤに何しやがった!?

 ヒドい事って何だよっ!?」

牙を剥いて唸る。


「怨霊にして……」「操りました……」


「許せねぇ……赦さねぇぞっ!!

 覚悟しやがれっ!! わわっ!??」

飛び掛かろうとしたマリュースの尻尾をモグが踏んでいた。


「マリュ、ダ~メ。

 僕は大丈夫だし、おかげで今は幸せだし♪

 とっても反省してるでしょ?

 早く調整してもらって復興に戻らなきゃ。

 でしょ?

 アミュラ様、よろしくお願いします♪」



―◦―



 神王殿では政を担うべき主要な者達が修行をしている為、王としての務めは前王サティアタクスが担い、その補佐をカイダームとクウダームがしていた。



 エーデリリィとユーチャリスは夫の母親代わりをしながら執務に専念していた。

「なんだか今日は見る度に成長していない?」


「そうですね♪

 変わらないのは仲良しなことですよね♪」


「そうね♪」


 執務と言っても、政として大きな事が出来る状況ではないので、救出された神達の名簿を作ったり、今後の希望を聞き取ったものを纏めたりといった雑務に近い事をしているだけだった。


「それじゃあ私は死司(しし)の執務室に戻るわね。

 マディアが最高司(さいこうし)し易くしておきたいから」

お昼寝中の夫達の髪を撫でる。

「また離せそうにないから、お願いしていいかしら?」

エーデラークになる。


「はい♪」



―◦―



 禍龍が破壊の限りを尽くしていた当時、エーデラークは封じられており、ナターダグラルが乗っていた龍は術で成したものだったと、サティアタクスが神世中に伝えたので、死司域では新たな最高司はエーデラークしかいないと満場一致で決まってしまったのだった。

その為エーデリリィは行ったり来たりしているのだった。


「お帰りなさいませ最高司様」


「ルロザムール様、少し休憩なさっては?

 またずっと執務なさっていたのでしょう?」


「好きでしているだけですので」


「それでも適度な休憩は必要ですよ。

 お茶を用意しますね」


「最高司様に、そのような――あ……」


入口扉が開いており、ディルムとハーリィが立っていた。

ディルムはニヤニヤしている。


「ノックくらい――」「しましたよ」


「ディルムもハーリィも座ってください。

 これから休憩なのですから」



 ルロザムールも談話卓に移り、お茶が並んだ。

「早速ですが最高司様、弟のハーリィも死司域に移りたいそうなのです」


「再生域から……そうですか。

 ではルロザムール様、手続きをお願いしますね」


「はい。……ありがとうございます」


「ハーリィはルロザムール様の補佐とします。

 最高司補長付きの最高司補です。

 共に死司域を良くしましょう」


「「「はい(♪)」」」

ルロザムールとハーリィの瞳が嬉しそうに潤んでいた。


〈相棒復活だなっ♪〉


〈ディルム……ありがとう〉感極まる。


〈死司の仕事は再生より簡単だ♪

 ハーリィなら すぐ慣れるよ♪〉


〈その点は心配も憂いもしていない。

 ディルムに出来ているのだからな〉


〈言ったなっ〉あはははっ♪


ノック音がし、半獣姿の男神が入って来た。


「リグーリ、爺様姿は?」


「何故その必要があるのかを説明してもらいたいものだな」


「面白いから?」リグーリに睨まれた。



 エーデラークがリグーリの前にもお茶を置く。

「人世に居たのに呼んでしまってすみませんでした。

 リグーリとエィムにも補佐をお願いしたいのです。

 リグーリにはルロザムール様の実務の補佐を。

 執務の補佐はハーリィがしますので。

 エィムにはディルムの補佐を。

 チャムは……エィムの補佐で」


「畏まりました」「私に補佐ですか?」


「目を掛けるのでしょう?」ふふっ♪


「あ……」思い出したらしい。


「ルロザムール様とディルムが私の補佐です。

 私は留守が多くなりますので、協力してお願いしますね?」


「「はい!」」


「リグーリ、ハーリィ。

 ルロザムール様の修行もお願いしますね」


「「はい!」」


「四獣神の子は、親が違えど皆 兄弟なのです。

 弟達ばかりを近くに置く訳には参りません。

 ルロザムール様、人神様を鍛え、神力だけでなく地位も引き上げてください。

 お願い致します」


「はい!」うるっ――



―◦―



 モグとマリュースがアミュラの部屋から出ると、力丸とショウだけでなくドラグーナとカツェリスも待っていた。


「グレイとマディアを元に戻そうと思ってね。

 アミュラ様、如何でしょう?」

持っていた鏡で仲良く眠っている赤子達を見せた。


「ふむ。良さそうだねぇ。

 行くとしよう。

 ダグラナタン、ザブダクル。来な」



 一瞬の浮遊感の後、神王殿の広間。

〈ユーチャリス、エーデリリィ。グレイとマディアを連れて来てくれるかな?〉



 ティングレイスとマディアが くっついて眠っている小さな籠ベッドに手を当てたユーチャリスが現れ、続けてエーデラークがディルム達を連れて現れた。


「「あっ……」」

懐かしかったのか、意外だったのか、声を上げてしまった元ナターダグラル達をアミュラが睨む。



 ダンディ中年神ディルムがエーデラークの前に立ち両手を広げる。

「最高司様に何か御用でしょうか?」


「「えっ?」」


「やめてよディルム。恥ずかしいわ」


「はい、最高司様」フッ。

笑みを浮かべたディルムが下がると、エーデリリィが苦笑していた。



「都や街を破壊したのはマディア――つまりエーデラークじゃない。

 その通りだよねぇ? ザブダクル。

 だからエーデラークは死司域に復帰したんだよ。最高司としてね。

 言っとくけど、決めたのは死司神達でエーデリリィじゃないからね。

 ほらほら始めるよ」



―◦―



 響とルサンティーナとラピスリは王都で神達を地下から出していた。


「始まったみたいね……」

強い神力が集まっていると感じた響が神王殿の方を見た。

「ルサンティーナ様とラピスリ様は行かなくていいんですか?」


「ザブダクルが居るから……」

「呼ばれたならば行――」〈ラピスリ!〉


「アミュラ様に呼ばれましたね♪」

〈ルサンティーナも連れておいで!

 集まってるのは気づいてるんだろ!〉


「行こう」苦笑。

ルサンティーナと響を連れて瞬移した。



―◦―



 ドラグーナの気へと瞬移すると――

「ラピスリはアタシの正面!」

――半龍半狐なアミュラの怒鳴り声が乱暴に迎えてくれた。


ラピスリは次の怒鳴り声が飛んでくる前に半龍半狐姿となって向かいに立った。


「やれば出来るじゃないか♪

 ドラグーナはラピスリの隣。

 ルサンティーナはアタシの隣だよ。

 モグもコッチにおいで。

 猫夫婦はドラグーナ側にね。


 左右は妻達だ。

 犬っ子達、ユーチャリスの両側だよ。

 ああ、前王達も来たんだね。

 丁度いい。王妃の近くにね。


 エーデリリィの両側はマディアと仲いいのが囲みゃいいさね。

 そういやダグラナタンは子になったんだったね?

 それじゃあエーデリリィの横だ。


 他は間を埋めとくれ。

 そうそう、い~い感じだよ。


 ザブダクル!

 神力の弱いトコは見えてるんだろ!

 サッサと補いなっ!

 皆でアンタの尻拭いしてやるんだからね!


 さ、気合い入れて始めるよ!」







マディアとティングレイスを元に戻す時が来ました。

アミュラ様、パワフルです。



死司最高司(ししさいこうし)は死神のトップです。

エーデラークの前はナターダグラルでした。

ナターダグラルという偽名を使っていたダグラナタン→ダグラナタンの身体を奪ったザブダクル→エーデラーク(マディア)です。


ディルムとハーリィは兄弟で、ルロザムールとハーリィは再生神として相棒でした。

今度は死司神として相棒に戻ったんです。



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