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月で奮闘



 美女神アミュラの超高速な長い詠唱が終わると、魔法円からの強い輝きが収束し、光に包まれていた真四獣神の姿が見えてきた。


流石のカケルや力丸も、この間は無駄口を叩くなど出来ず、ただただ目と口を開けたまま見ていただけだった。



「すっご~い♪ 真四獣神様 復活~♪

 これでもう器は必要ナイねっ♪」

兎イーリスタ、ぴょんぴょんと真四獣神に寄って行く♪



「さて、ここからが大変なんだ。

 アンタ達には、水晶に閉じ籠った古~い神達を出してもらいたいんだよ。

 この中にゃあ真実を知る神が入ってるんだからねぇ」


「あれれ? 戻っちゃってる~」

ショウがアミュラに寄って見上げる。

モグも並んで見上げる。


「さ、アンタ達も手伝っておくれ。

 この水晶を運んでおくれよ。慎重にね。

 唱えられそうなのは……さっきの4神と後から来た狐と龍、それと兎の坊やだけだねぇ。

 他は助手だね。

 だから7ヶ所に分けておくれ」


「「は~い♪」」

袋を咥えて、てってって♪

力丸も追いかける。


「ラピスリ、アンタは こっちだよ。

 それと救世主達。おいで」


呼ばれた青龍女神(ラピスリ)とユーレイ達が集まる。


「ラピスリ、なかなかに鍛えてるねぇ。

 気に入ったよ。修行好きな娘は大好きだ。

 アタシの弟子にしてあげよう」


「あ……ありがとうございます!」


「まずは世をマトモにしなきゃなんないけどねぇ。

 そうしなきゃあ、ゆ~っくり じ~っくり修行なんて、したくても出来やしないからねぇ。


 で、切り札のルサンティーナが入ってるのが、この水晶玉(ひなんじょ)なんだ。

 封じたのはアタシなんだよ。

 だから解くのは容易い。

 問題は、ルサンティーナを出した後だ。

 この最強の娘神は、悪を全て取り込んで己を滅そうとしていたんだよ。

 だから意識があれば、その続きをしようとするだろうねぇ。

 意識がなければ、その悪が噴出しちまうだろうよ。

 つまり、いずれにせよ出た瞬間が、この世の全てを賭けた大勝負なんだよ。

 出すのはアタシしか出来ない。

 だからラピスリには出た瞬間のルサンティーナの動きを封じてもらう。

 捕縛の術は、これだよ」

ラピスリの尾へと光を放つ。


「解りました」


「姿は私と同じに――」「化けた!?」


ソラはカケルを組み伏せ、響はポカポカ叩いている。


「――私と共に水晶を掲げ、同時に唱え始めなければならないの。いい?」


「はい」半龍半狐姿に。


「救世主達」「「はいっ!」」


「この強い女神が唱えようが、捕縛の効果は一瞬しか()たないでしょう。

 ですから あなた方は、己を滅そうとする女神ルサンティーナに対抗して具現化を。

 彼女は神に対して様々に封じているの。

 防護壁で囲んでいると思えばいいわ。

 直接な神力や、術なんかに対してのね。

 同じく神力でも人だからこそ、あなた方のものは有効。

 彼女が消えてしまわないよう、具現化を最大限に発動し、保ちなさい。


 悪が噴出した場合は破邪を。

 暴れるのならば斬り捨てても構わないわ。

 こちらも、人だからこそ有効よ。

 瞬時の判断を(あやま)たないでね」


「「「はい!」」」


水晶玉を配り終えた犬達も集まった。


「動きの素早い あなた方は、逃げようとするものなら何でもいいわ。捕らえてね」


「「「は~い♪」」」


 美女神アミュラ(継承ピュアリラ)が自身で描いた魔法円にラピスリと共に入り、水晶玉を掲げた。

カケル達は、人・犬交互に その円周を囲んで身構える。


詠唱が始まった。


高音域で歌うように流れる継承ピュアリラの声。

低めで朗々と支えるようなラピスリの声。

どちらも聴き惚れる程の美しさだった。



〈転調?〉〈したわね〉

〈つまり〉〈もうすぐね〉

ソラと響の やり取りで皆が気合いを入れ直し、身を低くする。


水晶玉に亀裂が走り、閃光が迸る――


〈出たわ!〉「全封捕縛浄!!」

流れる詠唱が終わった刹那、皆が動いた。


解放された瞬間のルサンティーナは意識が無かったらしく、黒い塊が幾つも飛び出した。


ショウ達は黒塊を捕らえようと跳び、カケルとソラは具現化した破邪の剣で戦う為に飛び込んだ。


直ぐに意識が戻ったルサンティーナは己を滅さなければと動く。


ラピスリが術の最後の言葉で その動きを封じる。

そこに響が抱き着いてルサンティーナを強く具現化した。

ここまで真に一瞬の出来事だった。


「ルサンティーナ様! 世界を救って!」


継承ピュアリラはカケル達に加勢して、斬り捨てられた黒塊や、犬達が噛みついている黒塊を滅し始めた。


「お願いです! ルサンティーナ様っ!

 神世を滅ぼそうと暴れているザブダクル様を止めてください!!」


アミュラの予想通り、強く効いたのが一瞬でしかなかったラピスリの捕縛を弾き返そうとしていたルサンティーナの詠唱が止まった。


「ザブダクル様が……?」


真っ黒な装束(ローブ)で身を包み、小さな穴から燃えるような真っ赤な瞳しか見せていないルサンティーナだったが、抱き着いている響には、もう落ち着いたから大丈夫だと思えた。


「今のザブダクル様は憎しみの塊なんです。

 誰彼なく滅そうとしているんです。

 巻き込まれた神様の力を奪って大暴れしているんです」


「あの……優しかったザブダクル様が……」


「その優しかったザブダクル様に戻せるのはルサンティーナ様だけです。

 どうか お願いいたします。

 ザブダクル様を説得してください」


「ザブダクル様は我を失っているのですね?」


「はい。誰の声も届かないんです」


「そうですか……ですが隠したままの この姿では私の声も届かないでしょう。

 それは分かりますが……もしも私の姿を見せたならば、ザブダクル様の心の炎に油を注いでしまいます。

 私はザブダクル様が知っていた頃の姿ではないのですから……」


「それを解く為にも、アタシ達は全てを知らなきゃなんないんだ。

 厄介極まりない その状態を元に戻すには、知った上で術を選ばなきゃなんないからね」


「アミュラ様……」


「覚えていてくれたかい。

 嬉しいねぇ。

 それじゃあ話してくれるかい?」


「ですが……この状態を元に戻すなどと……」


「人神と獣神が存在する理由、知ってるかい?

 昔々大昔、神とは混沌だったんだ。

 その頂であり象徴的な存在が『ピュアリラ』だったんだよ。

 太古の混沌神達にとっちゃあ世は神世だけだった。内側は無だったんだよ。

 其処に新たな世を作ったんだ。

 混沌神達はその2つの世を神世と人世に分け、人世に様々な生き物を作った。

 人も、犬も、そうして生まれたんだよ。


 そして混沌神達は、2つの神を作った。

 相反する力を持つ神をね。

 いずれかが(あやま)ちを犯せば、もう一方が道を正す。

 そう、役割を担わせてねぇ。


 ルサンティーナをそんな姿にしたのはオーロザウラだ。

 オーロザウラは獣神を蔑んでいた純粋なる人神だ。

 だから獣神なアタシらなら、それらを全て解けるんだよ。

 時間は掛かるだろうし、神力も相当に必要だろうけどねぇ。


 さ、話しておくれよ。

 お前さんの魂が封じられて、見ていなかった場面はアタシの娘に見させていたから、後で聞くからね」


「その娘神様が、あの水晶の どれかに入っているんですね?」


「そうだよソラ、賢いねぇ。

 ルサンティーナがサミルから連れて行った侍女カシスがアタシの娘だよ。

 ルサンティーナがオーロザウラと無理矢理 結婚させられた時に、神力封じの縄を掛けられて、玉牢に封じられたけどね、強い()だから神眼だけは使えていたんだ。

 だから辛いだろうけど見させていたんだよ。

 その記憶が、いずれルサンティーナを救う事になると言ってね」


「母様っ」

まだ幼さの残る娘神がアミュラの背に抱き付いた。


「そうかい。無事で何よりだ」

胸元に回し、微笑んで頭を撫でた。


母に笑顔を向けていたカシスの視界に黒ずくめの女神が見えたらしく、目を見開き、飛んで寄った。

「ルサンティーナ様! ご無事で……」

後は言葉にならず、ルサンティーナの胸に顔を埋めて泣いた。


「カシスも無事で……良かったわ……」


「……お護りできず……申し訳ございません」


「カシス……辛い思いをさせてしまったわね」


「ルサンティーナ様のお辛さに比べれば私なんて……私は大丈夫です」



 そんな女神達の やり取りを微笑ましく眺めていたが、アミュラがサッと神世の方を向き、目を細めて睨み据えた。

「マズいね……予定変更せざるを得ないねぇ。

 猶予は全く無くなっちまったよ。

 ルサンティーナ、悪いんだけどね……その姿すらもザブダクルを誘き寄せる餌にさせてもらわなきゃなんないだろうねぇ」

【皆! 区切りのいい所で集まりな!

 神世に乗り込むよ!】


離れて詠唱中の者達も向いて頷いた。


「アミュラ様、この醜い姿をとは……何が起こってしまったのですか?」


「ザブダクルは子碧龍の魂を封じて その身体を操り、破壊の限りを尽くしていたんだ。

 父子ってぇのは、ここまで同じ事をしてしまうものなのかねぇ。


 ついさっき、その子龍の神力を使って獣神の隠れ里を見つけて、何重もの防壁を突破しちまったんだよ。

 聞く耳を失っちまったザブダクルを止められるのはルサンティーナの気しかないと思うんだ。

 だからザブダクルの城に行くよ。

 よし、揃ったね!」







ルサンティーナ王妃と侍女カシスを見つけたのは良かったのですが、神世ではザブダクルの暴走が続いていました。


次章に移ります。



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