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急いで次へ



 ダイナストラ王子と子犬(カケル)が軍神に連れられてティングレイス王の居室に入ると、王はベッドに横たわっており、老医神が付き添っていた。


「父様……それに侍医?」


「陛下は臥せっておられるのです。

 医師長殿、ダイナストラ王子様が御面会で御座います。

 離れられましょうか?」


「では、廊下でお待ち致しますので、お話が終わられましたら、お声をお願い致します」

どっこいしょと椅子から立ち、軍神と共に出て行った。


【父様……じゃないな。人形か?

 隣に行こう】素通りした。


【人形? どうして?】


【知らん。おい、そろそろ人に戻れよな】

カケルに添えていた手を離して、扉を開けた。


【おいコノッ!】尻餅状態で人に。


【早く来いよな。水晶 集めるぞ】


各々が『麻袋』を出して素早く回収し始めた。


【なぁ力丸、全部なんだよな?】


【今さら何聞いてるんだよ】


【すぐバレるんじゃないのか?】


【誰が入れるんだよ】


【あ……】


【無駄口 叩いてないで早く集めろよな】


【はいはい王子様】



―◦―



 北昇降通路を昇り始めた響とモグは、穴の縁、両側から伸びてきた手に捕まってしまった。


「貴様ら!!」「何奴だっ!!」


【もうっ、神眼でも見えないなんて!】

【かくれんぼ上手だね♪】


流石に神王殿勤めの軍神は修行している。


【イキナリ戦闘だねっ♪ 偽装♪】

【今どうして偽装なのっ!?】

【楽しいから~♪】

【えええっ!? どーしてセーラー服!?】

【わっかんな~い♪ 出ちゃった~♪】

【私、人妻なんだけどっ!!】


心話で騒ぎつつも、剣を合わせたり躱したり。

好位置を取って、廊下と同じく響が背後から剣を喉元に。モグが正面から赤い瞳を向けた。


モグの背後から襲いかかった衛兵の方は、鎧の両脇腹をモグが後ろに突き出し伸ばした双剣に貫かれてグンッと後ろへ。壁に(はりつけ)にされていた。


「不審な者なんて居りませんよ。

 異常無しです。よろしいですね?」


「はい。本日も神王殿は異常ありません」

壁に入った。


剣を縮めつつ壁に。

「貴方も。そろそろお休みなさい」


「はい」

剣を抜くと、床に座って眠ってしまった。


響とモグは笑って昇り続けた。



―◦―



「ソーラサロン王子様、ショウフルル王子様。

 如何なさいましたか?」

階段を上がって来る帽子に気付いていた扉前の衛兵は既に姿勢を正していた。


「父様が臥せっていて日課ができていないと貴神殿に来た大臣から聞いたんです。

 それで代わりに日課をしなければと思って来たんです」


「しかし、この扉は陛下にしか開けられないと伺っておりますが……」


「ですので鍵も預かっています。

 見えないでしょうけど」持ってるフリ~♪


「はあ……」


「弟の言葉を疑っているのですか?」


「はっ、いえ!」扉の横に!


「開けますね」すんなり♪


王子達は優雅に入って行った。



―◦―



 響とモグは、ようやく扉の前に立った。

【あとは開くかどうかだけよね】【開いた~♪】


【ショウのシッポ効果、凄いわね♪

 それじゃ大急ぎで集めましょ♪】


暗い部屋にサッと入った。



 棚にビッシリな水晶達が光を帯びる。


【これからマヌルの里にお連れしますね♪】

【集めよ~♪】


〖その声……トーヤか?〗


【え? まさかマリュ?】

一瞬だけ手が止まったが、集め続けた。


〖やっぱトーヤなんだな♪

 来てくれたか~♪〗


【マリュどこ?】


〖な~んも見えねぇ〗


【光ってよ】


〖あ~~、今がMAXだな。

 ま、婆様に出してもらう迄の辛抱だろ♪

 も~チョイ待っててくれ♪〗


【うん♪ マリュが元気で良かった~♪】


〖おう♪ 狐と蛇と龍は?〗


【人世で元気だよ♪】


〖そっか♪ 無事で何よりだ♪

 皆! 俺は四獣神マリュースだ。

 マブのトーヤが助けに来てくれたからな♪

 安心して連れてってもらおーぜ♪〗


返事が出来る者は声を上げたり、鳴いたり吠えたりし、彼方此方(あちらこちら)で嬉しそうな光が瞬いた。



【この袋……膨らまないのね♪】


【だね~♪ まだまだ入るんだね♪】


〖ま、魂専用袋らしいからな。

 この中だと、今は魂のみと同等な俺達には(かさ)なんて無ぇんだよ。

 この水晶に見えるヤツもマジな物質じゃねぇしなっ。

 けど詳しいコト聞きたきゃ、俺なんかに求めてくれるなよ?

 物知りマヌルの婆様に聞いてくれよな♪〗


【マリュも入ってる? 残ってない?】


〖入ってるよ♪

 もう部屋に残ってねぇか皆で確かめてくれ!〗


また様々な鳴き声が聞こえる。


〖あ~、1つ転がってるらしいな。

 窓際、棚と壁の間に落ちてるんだと〗


【あったわ♪

 猫? みたいな動物の形のでいい?】


〖ソレだ♪ 嬢ちゃん、共鳴してねぇか?〗


【あ……確かに震えてる……うん♪

 キャティス様の記憶なのかも♪

 マリュース様ありがと♪】


〖そっか。嬢ちゃん、キャティスの、か……〗


【お知り合い?】


〖妻の妹だ♪〗〖義兄(にい)様♪〗

〖お♪ 話せるのか♪〗


〖私自身は人世なの。

 話せるんだけど、その場所、繋がりにくいのよね~〗

【あっ、出ますねっ♪】



―◦―



 最奥の開かずの間を出て、往きと同じく身を潜めつつ南庭園を目指していた響とモグだったが――


【誰にも出会わないわね……】


【もしかして、おやすみなさいしたかな?】


【そんなに遅い時間?】


【ど~だろ~ねっ♪】


【モグ、ご機嫌ね♪】


【マリュと話せたから~♪】


【そっか♪ ね、もう見つかったら戦えばいいんだし、普通に飛ばない?】


【そ~しよ~♪ 乗って♪】


【ありがと♪】



 結局、誰にも出会わずに外に出た。

南庭園に戻ると、想定通り他の探偵団員達は先に戻っていた。


【みんな無事で何よりね♪】


【モグ~♪ マリュース様とお話ししたよ♪】


【えっ? ボクも話したよ?】


【それならきっとマリュース様も分けられてしまっているんだね。

 トリノクス様もいらっしゃったから】

ソラがモグの背を撫でた。


【そっか……マリュ、見えないって言ってた。

 ボクが話したの、目がない部分だったんだね】


【合体できるねっ♪】


【あ……そっか。うんっ♪】


【なぁ。父様、部屋で寝てたんだけど、人形だったんだよ。

 けど侍医ですら気づいてなかったんだ】


【人形?】【どゆコト?】


【それは私から説明しよう】

黄金と白銀の龍が降りて来た。

【ティングレイス王は魂を抜かれて封じられている。

 その身体はマヌルの里で保っているのだ。

 騒ぎが起こらぬ様、偽装具現化体を臥せっていると信じさせ、横たえている】


【そっか~♪】【父様、無事なんですか?】


【何とも言えぬが……復活して頂ける様、皆で動いている。

 王は父達四獣神の友なのだからな】


【ホントの本っ当に友達だったんだ……】

【ありがと~ございます♪】

【あっ! ありがとーございます!】


【もしかして神王殿の皆さんが寝静まっているのも?】

【やっぱり寝てるのね?】【うん】


【私が眠らせた。

 大臣やら大勢は王の指示に従い、王都への攻撃が始まった時点で地下室に避難していた。

 城内に残っていたのは衛兵のみ。

 少数ならばと眠りを降らせてみたのだ。

 脱出途上であると見えたのでな】


【【すっご~い♪】】

【あの~、エメルド様とユーリィ様は?】


【交替しただけ。マヌルの里に居る。

 サイオンジ殿達もエメルドとユーリィが連れて来ていた】


【そうですか♪】

【ボク達、このまま古のカリュー王国に向かいます。

 ワル神を止められる神様捜しを急ぐべきだと思いますので。

 ですので水晶に封じられている皆様をお願いします】

ソラは麻袋を差し出した。


【うんうん行こ~♪】【だなっ♪】

皆、次々と差し出した。


【ならば袋はシルバスノーの背に。

 シルバスノー、急ぎマヌルの里へ】【おう】

【私は皆を龍の里まで送り届けよう。

 共に行けぬのは申し訳ないばかりなのだが】


【龍神様はワル神と戦うんですよね?

 私達ユーレイ探偵団は調べたり探したりが得意だから、そっちをするだけです。

 だから、ありがとうございます♪

 あと……サイオンジ達、よろしくお願いします】


【ん?】


【都が……随分と壊されてるから……】

ソラ、ショウ、モグも頷いた。


【気付いていたのか。

 軽度の負傷だ。数日で回復するだろう。

 では乗ってもらおう】


【ありがとうございます!】一斉。







奪還には成功しましたが王都は破壊され、サイオンジ達は負傷していました。

だからこそ急げとユーレイ探偵団は神世の反対側へと移動を始めました。



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