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神世の最果てへ



 ソラと響は、瓦礫の山と化した街跡の近くを飛んでいた。

何となく禍臭(かしゅう)らしきものを感じていたので、瞬移すれば見つかるだろうと、気と姿を消して逃げるように飛んでいるのだった。



 随分と飛び、次の瓦礫の山が見えたので、休憩も兼ねて様子を見ようと頷き合って降下した。

通過した街跡に向かって盾となる煉瓦の壁が残っていたので、そこに身を隠した。


【ね、さっきの所、敵神が居たんじゃない?】


【そうだと思うよ。龍神様が囲んでいたよね】


【やっぱり? そんな気はしたけど神眼を向けるのも怖かったのよね】


【響でも怖いってあるの?】


【あのねぇ】


【ごめん!

 こういう時――えっと戦う時とかの響って何事にも動じないと思ってたよ】


【そう? ま、いいけど~。

 こっちには来そうにもないわね】


【そうだね。なんか……この下、大勢いる?】


【あ……言われてみれば、って感じだけど、もしかして地下シェルター?】


【だから敵神が壊すがまま、好きにさせているのかもね。

 神世でも予知を持つ神様が備えていたのかもね。

 とにかく急いで手紙を渡そう。

 避難してる神様達が耐えられるうちに解決しないとね】

避難所での言い争いやらを思い浮かべていた。


【そうね。行きましょ】


【ね、響】腕を掴んで止めた。


【え?】


【何処だろうと、何があろうと、ボクが響を護るからね。

 一緒に戦うにしてもボクは響を護るからね】


決意を込めた眼差しで見詰めたソラは響を引き寄せて抱き締め、口づけた。



―◦―



 力丸とショウは宙をひた走っていた。

カケルは交互に乗せてもらっていて、今は力丸の背に跨がっている。


【なぁ、瞬移は神世じゃ無理なのか?】


【けっこう神力使うんだよ。

 乗せてもらっといて疲れさせるな】


【疲れるのは力丸だけだろ♪】【っせー!】

【ショウなら疲れないよな♪】【降りろ!】

【ショウ? ど~した?】【無視かよっ!】


【ちょっと考え事してた~♪】


【【何を?】】


【揃った~♪】【【誤魔化すなっ!】】


【ん? えっとね~、クッキーかカリカリ持って来たら良かったかな~って】


【あ……】【そっか。メシなぁ】

【確かにソレも大問題だが、違うだろ】

力丸がショウをチラリと見た。


【ん~~~と、じゃあ兄様の大好きなプリン?】


【だから誤魔化すなっ!】


【兄様ってば~。

 あのね……モグ……元気なかった……】


【だな。けどサイ様に任せるしかナイだろ】


【だよね……】【で、メシどーするんだ?】


【飯屋なんか都にしかナイ!

 だいたいな、神はフツー食わないんだよ!】


【ユーレイと同じなんだな?】


【一緒にすんなっ!】


【具現化してないのに身体があるのは?】


【神世だからだ!】


【どーして? あ~、説明できないんだな♪】


【っせー!!】



―◦―



【サイ、あれ……】


モグが指した副都の北方の空に様子がおかしい黒龍神が見えた。

【行くぞ!】【うん!】瞬移!



――苦し気に暴れ飛ぶ黒龍神の前に浮かんだ。

〈何事だぁよ?〉


一緒に居た灰龍神が顔を向けた。

〈あの……僕はサーブル。ドラグーナの子です。

 このコは弟のマディア。

 悪いものを込められて苦しいのから逃げようとしてて……此処、何処です?〉


〈副都の北、もう少し行きゃあ次の都だぁよ〉

《おい孫、マディアは無事に生きてるのか?》


〈えっ? フィアラグーナ様ですか?〉


《だよ。答えろ。見えねぇんだよ》


〈生きてはいますけど……無事とは……〉言えない。


《悪神は?》


〈あのオジサンですか?

 落ちましたけど……〉


《神なのに落ちただと?》


〈たぶん神眼も使えないみたいでしたから、とても消耗してたんだと思います〉


《ふむ。マディアをマヌルの婆様トコに連れてってくれ》


〈はい!〉

フィアラグーナには返事をした灰龍神サーブルだったが、瞬移せずにサイオンジを見ていた。


〈オイラかぁ? フィアラグーナ様の器。

 ユーレイだぁよ。

 コイツはマリュース様の器だったモグラだぁ〉


〈ええっ!?〉


〈ま、ちゃんとな挨拶は後でだぁな。

 今は急ぐんだろ? おやぁ?

 また龍神様だなぁよ。

 今度はドラグーナ様そっくりだなぁよ♪〉


〈父も知って――あ、ゴルシャイン兄様〉


ゴルシャインは治癒光で包んだザブダクルを爪で引っ掛けて連れて来ていた。


それが見えたらしいマディアが激しく暴れる。


「マディア! 苦しいの出してもらお?

 ね? おとなしくしてよ」


「早くマディアから支配を出せ!」

ゴルシャインがザブダクルをマディアの背に投げた。


〔イヤーーーーーーッ!!〕

意思のある咆哮を轟かせ、周りの皆を衝撃波で弾き飛ばしたマディアは瞬移した。



〈追うぞサーブル!〉〈はい!〉



 龍神達が消えた空でモグを抱いたサイオンジは宙に座り直して暫く待った。

しかし龍神達の気配は一向に感じられず、次に聞こえた咆哮は遠かったので副都上空に戻った。



―◦―



 王都上空、神王殿の真上に浮かんでいるナンジョウとトクの目の前に、白と緑の龍神達が現れた。


「龍神様っ!?」ナンジョウが宙で飛び上がる。


トクは そんなナンジョウを見て神世なのだから神様が居て当然だと、可笑しさが堪えきれずに笑っていた。


「人神?」「ではなさそうだね」


「私達、ユーレイなの♪」


「「ユーレイ!?」」


「人世から来たの~♪」

「ええっとぉ、オフォクス様とか、ドラグーナさ――」「「父様!?」」


「ドラグーナ様のお子様なのね♪」

「その神様達の指示で動いてるんですよ」


「そうですか♪」「父様、元気なんです?」


「地震と津波を消せるくらいには。

 んで、ニコニコしてましたよ」


「良かったぁ」

「それで、貴殿方は此処で悪神を待ち伏せですか?」


「待ち伏せ、つーか待機かな?

 何かあったら動くつもりなんですよ」

「旦那様とモグちゃんが副都なの~♪」


「大勢なんですか?」


「え~とぉ、人6犬3です」指折り数える。


「そうですか。協力したいんですけど僕達も動いている最中ですので……」

「あ、そ~だ♪

 何かあったらコレ振ってください」


「神呼びの鈴ね♪」


「「知ってたんですか!?」」


「響ちゃんが死神様から貰ってたの~♪」


「ユーレイが?」「死司神に?」顔見合わせる。


「ええっとぉ~、エィム様だ♪」

ナンジョウ、ポンと手を打つ。


「エィムでしたら納得です♪ 弟ですので♪」


〈オパール兄様、どの代のコ?〉〈末代だよ〉

〈へぇ~♪〉〈エメルドも会ったじゃないか〉

〈あ~そっか♪ 思い出した♪

 ルビーナ姉様を――〉〈もういいからっ!〉

「それでは僕達はこれで」「またね♪」瞬移。



「可愛らしい龍神様だったわね♪」


「ですよねぇ」


『見た目はイカツイって!』と思いつつ苦笑するばかりのナンジョウだった。



―◦―



【これが最果て?

 右も左も ずーーーっと岩の壁ね……】


【そうだね。だから手前にマヌルの里がある筈だよね】


【なんにも見えないけどね~】


ソラと響が(そび)える岩壁を見上げていると、少し離れた場所に濃淡緑の2龍神が現れて扉を閉める仕草をして上昇し、瞬移した。


【あれがマヌルの里の入口ね♪】


【行こう】【うん♪】



―◦―



 ショウ達が緑豊かな森の前に着いた時、濃淡緑の2龍神が現れて森に突入した。


「あ~、行っちゃったね~」


「進もうぜ」「ん♪」


草が途絶えた所に1歩。枝が伸びて来た。


「「ゲ……」」「兄様、下がってみて?」

また力丸がカケルを乗せている。


「お、おう」後退(あとずさ)る。枝が戻った。


「僕だけで行ってみる~♪

 手紙ちょ~だい♪」


「俺がショウと行けばいいのか?」

カケルがショウに乗ろうと進むと、また枝が伸びて来た。


「戻れよな」上着の裾を咥えて引っ張った。


「投~げて♪」「ほらよ」

受け取った龍形の水晶を背に乗せて、ショウは駆け飛んで森に入った。







響とソラが見た濃淡緑の2龍神も、ショウ達が見た濃淡緑の2龍神もエメルドとユーリィです。

ティングレイス王姿の人形を神王殿に置いて、王都からマヌルの里に行ったエメルドと、マヌルの里で王に命の欠片を込めていたユーリィは、ゴルシャインの指示で滝の兄弟を全てマヌルの里に連れて行こうとしているんです。



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