喋る犬達も探偵団員
力丸とショウはキツネの社のオモテ側はよく知っている。
ショウは隠し社に入った事があるのだが、いつも連れて瞬移してもらうのでオモテ社の壁の向こうだとは思っていない。
拡張空間である隠し社はキツネが結界で見えなくしているので、響とソラの気も感じ取れていなかった。
【ん~~~~? でもコッチかなっ♪】
【ショウには見えてるのか?】
【見えてな~い♪ でもソラの匂いする~♪】
【へぇ~ってソッチ行ったらダメだと言われてるぞ!】
【そ~なんだ~♪】壁の向こうに消えた。
【ボクも入る~♪】モグも。でも出て来た。
【ど~した?】
【呼ばれた~♪】瞬移♪
【ったく自由なヤツラだなっ】【兄様コッチ~♪】
【あ~~~~ったく!】壁の向こうへ。
【ほらほら入れるよ♪】次の壁に手を入れている。
「ダメだって!」ショウの手を引っ張り出した。
「だってソラのカワイイ匂いするも~ん♪
ヒビキの匂いもする~♪ サイオンジも~♪」
「戻るぞショウ。モグも どっか行ったんだよ」
謎の部屋に背を向けてオモテに戻ろうとした。
『ほら~♪ やっぱりコッチにもお部屋あった~♪
ヒビキ居た~♪
兄様コッチだよ~♪』ワン♪
『ほら~♪』で慌てて振り向くとショウが首を突っ込んでいるのが見えたが、引き戻そうとした手は空振りしてスルリと壁を抜けた尻尾すらも掴めなかった。
「ショウが悪いんだからなっ」
怒りながら入った。
「ったく先に先に行くなっ!」
「力丸も話せるのね♪」
「姉ちゃん達にガッツリ鍛えてもらったからなっ♪」エヘン♪
褒められるのは素直に嬉しい。
相変わらず美人に弱い力丸だった。
「それでずっと姿見せなかったのね?
モグは?」
「あれれ?」「さっきまで居たんだけどなぁ」
「話せた~♪」駆け込んで来てワン♪
「モグは神様じゃないのよね?」
「写しいっぱいあるんだって~♪
タォ様が引き出してくれた~♪」
「良かったわね♪」「うんっ♪」
【でも今は静かにしないといけないから、ここからは心話でね?】
【うんっ♪】【サイオンジ何してるの?】
【ユーレイ引きか? ほら引っ張りっこ】
【サイオンジの龍神様を引き出すそうよ。
あの黒い狐様は、ソラから出したの】
【【【へぇ~】♪】】
【それでね、ユーレイ探偵団は神世に行こうと思ってるの。
災厄を防ぐ――になるのか、神世を護るなのか復旧なのかは、まだ分からないんだけどね】
【父様と戦うのか?】
【そうじゃなさそうだけど……災厄が何なのかも分からないのよね】
【そっか。何にせよ俺も行くぞ】
【僕も行く~♪】【ボクも~♪】
【今は神様は行けないらしいんだけど……】
【神力射?】【あ~アレな】【なぁに?】
【サイオンジのが終わったら聞いてみましょ】
【おう】【【うんっ♪】】
―◦―
寝落ちそうになってバランスを崩し、カケルが思わず目を開けると、犬達は居なかった。
「んん?」窓を見る。「夕方の散歩か?」
少しだけ思案。奏へと瞬移した。
――奏&響の居住ブース。
奏はノートに向かって真剣に考え込んでいた。
「奏?」
「あ……修行は? もういいの?」
「休憩。何書いてるんだ?」
「今日、ミニライブをしたの。
明日もとリクエストしてもらえたから曲を増やしたくて歌詞を考えていたの」
「そっか。奏は偉いな」
「そんなこと……。
響とソラ君が居ないと明日のセットリストも決められなくて……」
「そんじゃあ探してやる。待っててくれ」瞬移。
――相棒を目指しただけなのでカケルの知らない部屋。
「揃ってるのかよ。置いてくなよな」
「あ~忘れてたわ」「お兄も座って~♪」
「おう。ん? ・・・ショウが喋った!?」
「うんっ♪」「ったくウルサイ奴だよな」
「力丸まで!?」「ボクも~♪」「モグも!?」
「あ~、ウッサイって叱られるよ、お兄」
「「だよね~♪」」「コイツ、ムリだろ」
確かに、厳つい神達が睨んでいる。
「ゲ……」
【それで? 何しに来たの?】
【奏が捜してたんだよ。
明日のライブどうしようってな】
【それじゃあ戻るわ。
まだ暫くかかりそうだし。
ソラ、必要なら呼んでね♪】
カケルを残して瞬移した。
【おいっ】【待ってお兄!】
追って瞬移しようとしたらソラ達に掴まれて引き留められてしまった。
【何すんだよ?】
【お兄にも話さないといけないから。
お兄の場合、行く行かないも選んでもらわないといけないし】
【はあ?】
【ユーレイ探偵団は神世に行くんだ。
お兄は行けるけど、義姉さんは行けないから】
【か、神世って……】天を指す。
【うん。その神世。
また災厄が降るから誰かが行かないといけないんだ。
でも神様は行けなくされてるから、ボク達ユーレイ探偵団が行くんだよ。
他にはサイオンジとトクさんも】
【俺も行くぞ。
奏を危険なトコなんかに連れてくもんか。
もし能力があったとしても奏は響と違って戦い向きじゃない。だから残す。
俺は行って戦って奏を護る】
【じゃあ決まりだね】
【で、アレは何やってるんだ?】
【サイオンジとボクから分離した神様が身体を成そうとしてるんだ。
分離と言っても完全には切れてないんだけどね】
【ふ~ん。俺のは?】
【トリノクス様は、お兄達がバラバラになった時に離れたんだって。
だからお兄は行けるんだよ。
響もヨシさんが離れた時にね】
【飛翔さんは?】
【ボクの神様が、こんな乱暴な方法を他の神様に使ったら、その神様が消えてしまうかもだから、もう使うなって。
だから飛翔さんの神様は出せない。
トクさんの神様は大きな欠片が保魂されてたから吸い寄せられるだろう、だって】
【そっか。
けどコッチも誰かが残って護らないといけないんだよな?
だったら飛翔さんも家族と一緒の方が護れていいよな】
【そうだね】
―◦―
響は瞬移用の部屋から自分達の居住ブースに戻った。
「お姉ちゃん♪
明日のライブ、今日作ったのと『Fly on the tomorrow window』と『虹の絆』は入れようね♪
あと次のシングル3曲も♪」
「翔に会ったの?」
「うん♪ あ、練習場所、欲しいよね?
中学生達と話してみるねっ♪」
サッと出て行った。
「張りきってるわね♪」ふふ♪
すぐに戻った響と一緒にレンタル会議室へ。
「輝竜さんが借りてくれてたのよ~♪」
「楽器は……?」
「楽器も貸してくれるって♪
So-χなら練習場所が必要だろうって♪
皆さんの為には音楽が必要だろうって♪
輝竜さん達、オーストリアだから私達に頼むって♪
でもね……私とソラ、次の災厄を防ぐ為に遠くに行かないといけないのよね~」
「そんな……どうして響が?」
「私だけじゃないの。
ユーレイ探偵団が神様からの依頼を受けたのよ♪
お姉ちゃんは心配してる暇なんてないよ。
歌って皆さんの心を癒さないといけないんだからね♪」
「そう……」
「あ~、伴奏がリーダーさんだけかぁ。
お姉ちゃんの歌声に負けちゃうね。
困ったな……」『では私共にお任せください』
声に続いて姉妹の前に小さな白狐が浮かんだ。
「あら?」「あ♪ 狐儀様♪」
「はい♪」
小さな白狐はソラの姿になった。
「ええっ!?」「お姉ちゃん慣れてね~♪」
「神ですので」にっこり。
「神様……」「あ、お狐様が増えた~♪」
「妻の梅華です」にこにこ打ち合わせ。
白銀狐の梅華は響の姿になった。
「うわぁ……」なんだか恥ずかしい。
何処から取り出したのか、ギターとベースを構え、弾き始めた。
「お姉ちゃん、これなら!♪」
「そうね……これなら……そうよね」
「ドラム、募集する?」
「その問題もあったわね……」
「それでしたら――」狐儀が分身した。
新たなソラは、これまた何処から出したのやらなドラムセットに着いてリズムを刻み始めた。
演奏が余韻を残して終わった。
「如何でしょう?」
響に続いて、少し落ち着いたらしい奏も思いっきり拍手を送る。
「では、合格という事で。
私共の代わりに神世に行って頂くのですから、不在の代わりはさせて頂きます」
「ありがとうございます!
でも……ソラが2人?」
「では、ドラムは――」姿が変わった。
「彩桜クンの先生!?」
「この姿で彩桜様を見守っているのです」
「いいんですか? 先生がドラム……」
「何も不都合はありませんよ」ふふっ♪
「またよろしくお願いします」奏にっこり。
「お姉ちゃん知ってたの!?」
「この前のシングル選曲の時に――響と翔君が居なかったから演奏をお願いしたのだったわね」
「そうだったんだぁ」なんだか笑ってしまった。
釣られて皆で笑っていると、ドアが開く音がしたので響は慌てて瞬移した。
「ん? 一瞬、響がダブってなかったか?」
「爽さんお疲れですか?」
奏が笑いを堪えている。
「ま、ソレはあるよな。
普段 料理なんてしないのに、ずっと炊き出し班してるんだからなぁ。
けどバンド練習はシッカリやるからな。
先生、ベースじゃなくてドラム?」
「So-χサポートメンバーズは皆マルチプレイヤーですよ♪」
「へぇ~♪ この階 来たら聞こえて走ったんだ。
上手くてビックリ!♪
またヨロシクお願いします!」
カケルを除け者にしてはならないのは続いているのでは?
ちゃんと仲間に入れてあげてね~。




