第1話 疲弊
幼い頃、俺は疲弊の能力で友達が出来なかった。そんなことも気にせず彼は俺と友達になってくれた。そして今は能力者が通っている学校へ登校している。俺の名前は、赤夜 怠斗 (あかや たいと)疲弊の能力を持った今日から高校生だ。
「怠斗!おはよう!」
俺に挨拶してきたこいつは明賀 元魔 (あかが げんま)元気の能力を持っている同じく今日から高校生だ。怠斗は、
「朝から疲れてるんだ、あんまり大きな声ださんでくれ」
「昨日何時に寝たんだ?」
「9時だよ、9時間は寝た」
怠斗の能力「疲弊」は、どんなに寝ても食べても疲労が溜まっている状態である。そのせいで寝ても朝は疲れたまんまだった。2人は、談笑しながら通学路を歩いていた。桜並木を歩いていると校門が見えてきた。佐々川高校、能力者が集まる高校である。桜並木の通学路には、入学する生徒達が歩いていた。そして、2人は校門をくぐり体育館へ向かった。校長先生が、
「君たち、入学おめでとう」
その後、クラス表を貰い元魔が、
「俺達、一緒のクラスだぜ」
「あぁ、良かったな」
「なんだよ、もうちょっと喜べよ」
2人は、自分達のクラスへ向かうと席に座って先生を待っていた。しかし、3人組の男子たちが怠斗に話しかけてきた。1人が、
「お前顔色悪くないか?」
「こいつ、酒谷様の前で顔色悪いとか何してるんですかね」
3人組の真ん中は酒谷という生徒らしい、そんなことを考えていると顔の目の前に拳が飛んできた。ぶつかる寸前に担任の先生がやってきて、
「何やってるんだ!?」
酒谷は、出した拳を引っ込め、「後で覚えとけ」と呟いたあと席に帰っていった。怠斗はあいつは何を考えてるんだと思っていると隣の席の元魔が俺に向かって、「大丈夫か?」と聞いてきた。俺は、
「うん、全然大丈夫だよ」
「それならいいけど」
そして、朝のホームルームが始まった。そしてそれが終わると自己紹介が始まった。そして、怠斗の番がきた。
「赤夜怠斗です、よろしくお願いします」
怠斗は、自分の自己紹介が終わると席に座った。そして、午前中の授業が終わり怠斗と元魔は屋上で弁当を食べていた。元魔が、
「あいつ、なんだなんだよな怠斗?」
「うん」
「入学早々から大変だな」
2人が談笑している頃には弁当を食べ終えていた。そして午後の授業も終わり、終礼の時間になると元魔が
「一緒に帰ろうぜ」
「もちろん!」
終礼が終わり、怠斗は下駄箱で元魔を待っていた。しかし、20分ぐらい待っていても元魔は来なかった。怠斗は不思議に思ってると、昼休みの話を思い出した。元魔は、酒谷に一泡吹かせようと言っていた。それか!と思った怠斗は、体育館裏へと駆けていった。怠斗が体育館裏へ着くと元魔と酒谷とその仲間達が喧嘩をしていた。元魔が押しているように見えたが数の差には勝てずに囲まれていた。元魔は、怠斗に気づくと言った。
「大丈夫だ、逃げといていいぞ!」
しかし、その言葉とは裏腹に酒谷が掛け声をかけると一斉に元魔に襲いかかった。元魔は、抵抗するも虚しく酒谷が最後に殴ろうとしたがその瞬間!怠斗が、
「お前ら!それ以上、元魔に近づくな!!」
すると、取り巻きの1人が近づいて来て怠斗に殴りかかってきたが、それを怠斗は左手で相手の腕を握りそして、右手で腹を一発殴った。相手はすぐに逃げ、怠斗は言った。
「疲れてんだ、早くかかってこい!」
その声を聞いた取り巻きたちは一目散に逃げた。そして、酒谷だけは逃げずに怠斗に向かっていったが、怠斗はそれを右足の回し蹴りで倒してしまった。酒谷はふらふらとよろめきながら逃げていった。元魔が、
「怠斗、ありがとな」
「いいよ、お互い様だろ」
それを言うと怠斗は続けて
「早く帰ろうぜ、俺腹減ったからさ」
「そうだな、ラーメン奢ってやるよ」
「マジで!ありがとう」
そうして2人は、学校から帰った。