目覚めたらそこは
物書き初心者なのでお手柔らかにお願いします。楽しんでいただければ幸いです。
私は、湯川透子、19歳。温泉屋の一人娘で、毎日一人で温泉を管理していた。
今日も、うるさい目覚まし時計をひっ叩いて起きるつもりだった。
けれど、起きて私が最初に目にしたのは…
知らない天井に、知らない布団の感触。部屋の壁は黒寄りの赤…ワインレッド?って感じの色で、家具も主に茶色か黒で統一されている。
「ここどこよ…?」
なんで…?こんな場所、私は知らない。
まだ夢の中にいるなら起きなきゃ。病気で手足が不自由なお父さんの介護をしなくちゃいけないし、お母さんのご飯も作らなきゃだし、なぜか母さんが拾ってきたインコと犬とフェレットのお世話もしなくちゃなのに…!
そう思い、頬をつねる。その瞬間頬にとてつもない痛みが走る。
「ふぁぁぁっ!いった!なんなん!?」
どんな怪力だったらほっぺたつねるだけでこんな激痛味わえるのよ!?
けれど、少なくとも夢では無い事とはわかった。
ひとまずベッドから勢いよく起き上がる。が、あまりにもベッドが柔らかいせいで後ろに転がってしまった。
……まずい、このベッド、快適すぎる。
このままもう一眠りしたいという自分の欲望をかき消して、ベッドから這いずる。
それにしても、本当にお洒落な部屋ね。この間アニメで見た部屋にそっくりだわね。
そこで私はハッとした。
これ、噂の「異世界転生」ってやつじゃ無いわよね?
自分の容姿を確かめるべく、近くにあった小さな三面鏡を覗き込む。
美しくサラサラな黒髪に、瞳の奥まで覗けそうなほどの澄んだ青い目。真っ白つやつやの綺麗な卵肌。少し幼さの残ったものすんごい整った顔。
「うっわ!私めちゃんこ美女!?当たりくじ引いちゃった!?主人公ポジ!?」
ごとんっ。
一人でわいわい騒いでいたら、部屋の隅で変な音がした。
「ふぉぉぉぉぉおおお、おばけぇぇぇ!?そういう世界!?」
「………」
物音を立てたであろう犯人は、私の方を見るなり固まっていた。
「ちょっと、何か言ってよ…」
「…失礼。気分の方はどうですか、ベラ様」
ベラ。それが私の名前らしい。よくわかんないけど…。とりあえずゴリゴリのよくわからない外国だって事はよく分かったわ。
ここから私の異世界★転生ライフ!が始まる!
…わけでは、なかった…。