ギルドの秘密とギルドマスターの秘密の仕事
ポーションを作っている元聖女はギルドに守られていました
おれはギルド長だ。ここのギルドに来てから、10年になる。
穏やかな10年だ。ギルドは街の人たちから親しまれ、ちょっとして手間仕事の依頼がたくさんあり、初心者冒険者がうまく育つし、ダンジョンも初心者用で冒険者が安全に育つ。彼らは初心者を脱して次のダンジョンを目指してこの街を去っていく。
若手の成長を見守れるいい場所だ。
だが、ここにはどこからの依頼かわからない、極秘の仕事があった。
ギルド長だけが知る任務、ギルド長だけの任務だ。
それはある女を監視するというものだ。その女は王太子の婚約者だったが妹と王太子によって悪行をあばかれ、断罪されて家との縁を切られ、死刑になるところを妹がそれだけはと訴え、この地に追放されたというやつだ。
とんでもない任務だったが、出世の為だ。
女は普通に暮らしていた。ただの平民とかわりない生活をしている。ただ、ギルドにポーションを納品していた。
ポーションのことは依頼者に秘密にするよう上層部から命令されている。依頼よりもこちらが優先だ。そうやって来たからギルドの独立性が保たれている。
ギルドは国の上位に位置する組織なのだ。
まぁつまりギルドをあげて女を保護しているってことだ。ただ最近ちょっとまずいことが起きていた。
女のポーションの効き目が冒険者の間で高まっていったのだ。
おれもそれを知ったのは、あいつらのおしゃべりからだった。ここを飛び立っていく奴等がポーションを買っていたのだった。体を整えるのは大切だからな・・・・と思って聞いていたら
「これってこんなに安くていいのか?」
「疲労回復ってうそだよな。おれの怪我が治ったもんな」
「あぁあれはやばかったな、怪我をしたお前を前にしておれは・・・・」
「せめて痛みだけでも、なにもしないのはと思っておまえの口に瓶をねじ込んだんだよな」
「そしたら傷が治っておまえ、けろっと・・・・」
「おれの骨折ももな・・・あんまり痛いから見てもらったら骨折って言われて、安静してろってなぁ
それでポーション飲んでみたら治ったんだよな」
冗談じゃないとおもった。
結局あいつらはポーションを買い占めて行った。それとなく女に確認したら薬草の状態かなとか言っていた。
目立つと面倒なことになると注意したらうなづいていた。賢い女でよかった。