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第七話 リザルト

「今日はいろいろなことがあったな……」


 ゲームのやりすぎで死んだかと思ったら、いきなりメルロンの姿になっていて、勇者になってヘキナスを従えたかと思ったら、大勇者に出世してしまった。


 激動だったな。

 

 俺に用意された、王城の近くにある建物の一室。

 しばらく寝泊まりすることになるその部屋に設置されている全身鏡を見てみた。

 ざっくり言うと、銀髪ロングで赤目、色白、低身長、幼い、若干高貴そう、クール、物静かそう、無表情、少し小さめの普乳、ゴスロリ衣装を着ている。そしてありえないほどに美しい。そんな感じの容姿だった。

 いや、『美しい』というよりは『可愛い』かな。


 本来のメルロンの容姿は、俺を10歳くらい大人にした感じだ。

 胸も大きかった。


 顔立ちは今のヘキナスにも少し似ているが、表情やらなんやらもあって印象は全然違う。


 自分で見ておいて、あまりにも可愛すぎて心臓がバクバクして顔が真っ赤に染まってしまう。

 二次元ならともかく、三次元においてはロリコンのケはないはずなのに。

 他人にそういう場面を見られたくないので、鏡は一人のとき以外見ないようにしないと。

 ロリコン云々ではなく、ナルシストだと思われたくない。


 魔槍、レレンメガルドを召喚して、『いつもの』ルーティンを行い気を鎮める。

 ……落ち着いてきた。


 ルーティンによって床に傷がつけられたが、回復魔法で直しておいた。


 極まった回復魔法はこんなことまでできるんだから便利だよな。

 他の者、物を治す場合はサザエさん頭の某スタンド使いほど便利ではないが、それでも十分すぎるほどに有用だ。


「さて、することもないし……眠るか」


 いやまて、そういえば忘れていた。思い出したのでヘキナスを召喚する。


「御主殿……なんの御用ですかな?くひひっ」


 相変わらず狂気の張り付いた笑みだ。

 しかし可愛い。

 メルロンの容姿の特徴を若干引き継いでいるからだろうか、俺の目には自分と同じくらい可愛く見える。

 まあ、このレベルに可愛いとどっちのほうが美しいかなんてわからないけどな、自分には。

 地球にはこのレベルの美少女は存在しないと思うし。

 どっちのほうが好みかはあるとしても。


「人類至上主義者どもの不正の証拠を集めておけ。自分では潔癖だと思っていても、忘れていた不正などいくらでも出てくる。あのような、自分を正当化している下衆共ならば特にな。……お前なら、容易いだろう?」

 

 奴らの不正の証拠を探り出すのは、普通なら難航する。

 それでも、他国より少し優れているという程度の普通の暗部が、原作では証拠を見つけることができるのだ。

 説明した以外にも有用スキル持ちで知、政あたりの能力がずば抜けて高いヘキナスなら余裕だろう。

 統、知、政。これらの能力は、軍団を率いる側に立った者のみステータス欄に表示される能力値なのだが、別に今でも表示されないだけで存在はしているし有効だ。


 ネット掲示板で、闇忍プレイ(要するに忍者とかスパイとかそういうプレイ)で一番頼りになる配下は誰か、という非公式ランキングで9位だっただけのことはある。

 1800人くらいいるキャラの中でその順位だ。とんでもない。


 単なる実力で言えば二番目くらいだ。評価をここまで下げた要因は、一度勇者にならないと絶対死んでしまうという面倒くささにあるからな。

 勇者は辞めづらいので、助けることは難しい。


 ともかく、そんな高い実力を持った人物なのだから、簡単に見つけられると思う。


「ひひひひっ、承りました」


 受け入れてくれた。良かった。……でも、しかしなぁ。


「……少し気になることがある。その表情はなんとかならないのか?」


「『生まれつき』こうでございますが、やめろと言われたならばやめましょう」


 少ししょぼんとした雰囲気。うん、なんか罪悪感湧いてきた。でも取り消しはしない。


「私はその笑顔を可愛らしいと思う。しかし、他の方々からすれば、魔族であるという偏見も相まって良くは見られないだろう。……すまないが、普通の人間と同じような表情にするよう心がけてくれ」

 

 こんな狂気的な表情を常に浮かべていたら恐怖感マックスだろう。

 いつ自分たちに牙を剥くかとヒヤヒヤものだ。

 俺もヘキナスの性格をある程度理解していなければ、怖くて配下になんてできなかった。


「ええ、承りました。時折出てしまうとは思いますが、それはお許しを」


 その後、軽く会話したあと送還して眠りについた。

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