第二話 まにあくすくろにくる
死んで目覚めたら男の象徴がなくなってるってどういうことだよ……!
とりあえず、人目の付きにくい場所に移動してみた。
「あー、あー、マイクノテストチュウ」
とりあえず発声練習をしてみた。かわいい。あ、うん、これ確実に女性の体になってるわ。
甘ったるいロリ声。でも高貴。涼やか!不思議!
……というかこの街、イセテン4のミストルディの城下街じゃないか?
あの王城とかモロにミストルディ城だし。
となると、ここはネット小説でよくあるゲーム世界転生ってやつ?
そういう場合は自キャラで転生するのがセオリーだけど……。
いやいや、ありえんよな。壮大なドッキリだろこれ。
……でも、自分の二の腕とか触ってみるとすごく柔らかいんスよ。
もとはそれなりに鍛えてたから細マッチョだったのにだぞ?
……現実逃避してる暇なんてねぇ!
ここがゲームと同じ世界ならステータスは見れるはずだ。よし、やってみよう。
「ステータスオープン……あれ?」
なんか出てきませんね?
「ステータス、能力値、能力、能力値表示、でてこい。……来たれ深淵の観測魔、微風を呼びて現れよ」
職業:無職
姓名:キルヒフィード・メルロンディア
性別:女 年齢:14
種族:超人 ジョブ:魔槍術師
出自:公爵令嬢(340年前)
称号:なし
レベル:67
力:31 魔:30
防:24 速:36
運:18 魅:70
武:レレンメガルド
頭:焦炎のへッドドレス
腕:優美血戦の手包
体:無尽闇の姫装束(上)
脚:無尽闇の姫装束(下)
靴:真紅血戦のヒール
装:我が為に泣け(使用不可)
説明:神魔王キルヒフィード・メルロンディアと、地球に住む少年、遊佐明が高次元にて融合した人物。
人格は明がベースだが、肉体面はメルロンディアそのものである。
ただし、神なる王座を簒奪した直後どころか、聖勇者ミメレルを倒した際よりはるかに弱い状態。
かつては美の究極とも称された容姿も、ミニマムサイズとなっている。
しかしそれでも、その美貌は呪いの域。その黄金比はいつの時代においても変わらないだろう。
ゲーム時代にいつも(脳内妄想で)使っていたこっぱずかしい詠唱を唱えたらやっと出てきた。
ゲーム時代はボタン押せばパッと出てきたのに。
しかしチートだなぁ……。
ゲーム時代は0から成り上がりたいということで、レベルは当然1からだったし初期のジョブもしょぼかった。
魅力だけは最初からめちゃんこ高めに設定しといたけど。
力や魔と言った戦闘系ステータスなんて普通にやってりゃ50でカンストなのにもうこんな能力だぜ。
頭おかしい。
装備もこんな終盤まで通用するようなものじゃなかった。
絶世属性以外の全属性を無効化できるアクセサリ、『我が為に泣け』は使用できないっぽいけど、それでも強すぎるほどに強い。
しかし、高次元で融合?つまり、メルロンは別の世界で実在していたとかそういうのがあるのか?
しかし、なぜ遊佐明(俺)と融合させた?
なんのため?
意味がない気がする。遊佐明(俺)のせいで全盛期より弱くなってる可能性だってあるし。
なら、プレイヤーとしての知識が必要だった?
では別のプレイヤーとその自キャラでいいのでは?
……考えていても仕方ない気がする。
そう言えば当座のお金はどうなんだろうか。
「レジストリ。箱。どうぐ。でてこい。……深淵の底を見せよ」
おっ、出てきた出てきた。
というかステータスといいレジストリといいまんまゲーム風に表示されるんだな。
どうなってんの?
あと詠唱がすげー痛痛しいんだけど。この現場見られたくねぇなぁ。
でも、厨二的なの結構好きなんだよ俺。やめられない止まらない。
とりあえず残金チェック。……20000ゴルドぽっちか。しけてやがるぜ。
ただ生きるだけなら凄まじい大金ではあるが、どうせなら死ぬまで贅沢して生きたいので全然足りない。
うーん、手っ取り早く米相場で儲けたいんだけど、これ実在世界だとどうなるんだ?
ゲーム世界では米を安い時期に大量に買うと、次の月には高騰する。そして先月買った米を売ることにより大儲けできるんだけど、現実になったっぽいこの世界だとCPU特有の考え方が人間の考え方になっている可能性が高い。
(この世界の住民目線で)大量の初期資金さえあれば簡単にできる方法なので、既に対策されていて儲けられない可能性は高い。
できたとしても、恨まれるだろう普通に。
そうじゃなきゃ米騒動なんて起きない。
俺は目立つのは好きだが、民の恨みは買いたくない。
武将系プレイ、勇者系プレイ、魔王軍系プレイではモロに影響が出てくるし、そもそもゲームの世界に来てまで日野富子プレイなんてやりたくない。
この世界の住民たちが素直に可哀そうだ。
となると……貴族に召抱えてもらう?
ゲームでは女にしかない武器……要するにシモで成り上がるプレイなんてのも存在していた。
18禁のゲームではない、おふざけで入れられた要素なのでテキストは薄味だけど。
ただ効率は結構良かった。でも俺は男とはヤりたくない。
現実になったこの世界では普通に枕強要されそうで怖いな。
魅力70だし。
それに、伝手も貴族と仲良くなるための贈呈品もないから今すぐには無理だな。
というか女の子相手だとしても、誰でもいいわけではない。
これは遊佐明としての見解。
この際だから肉体の方の趣向も話す。前回プレイ時のメルロンは未婚だったが、設定的には男でも女でもイケる感じだ。
無感動に、ただ自分が一番うまく動かせるから、自分や他者にとっての幸福につながるから、という理由だけで世界を支配したがるような性格のメルロン。
でも意外と乙女な部分もあってこの人と決めたらその人物一筋というか超が付くほどの一途。
そしてそう言う感情が生まれるまでは不犯を貫き通す硬派でもある。……という設定だ。
というわけなのだが、総合的な見解を発表しよう。
まず恋人を作るのなら相手は女の子確定。
ゲーム中ですら同性結婚オーケーだったんだからこの世界でも行けるだろうということで。無理なら一生独身を貫こう。
まあ、同性で子供作れる魔法がある世界だしどうとでもなるんじゃないですか。
そして次が非常に心苦しかった。
ハーレムを作るのはアリかナシか。
人格は明としての意識が強い、というよりほぼ完全に明そのものだ。、
しかし、肉体に関してはほぼ完全にメルロンのそれだ。
つまりだよ、ハーレムを作るとしたら俺の理想としていた愛が重くて超絶一途なメルロンが可哀想なんだよ。ついでにそのメルロンを作り出した俺も可哀想。
俺という邪魔な憑依者のせいで、人格捻じ曲げられまくりじゃん。
悪質で出来の悪い憑依もの二次創作かっつーの。
でも、俺は苦渋の決断を下した。ハーレムを作るのは『アリ』だと思う。
この世界には物凄く可愛い女の子がたくさんいる。
彼女らは皆魅力的で、とても一人には絞れない。
最初はそんな浅ましい欲のためだけに、メルロンの人格を犠牲にするのか、なんて思いましたよ、ええ。
だけど、多くの美少女に愛されて頭が沸騰しそうになっているメルロンに似た美少女という絵面、これはこれでアリなんじゃないか?と。
別人として考えたら、自分はメルロンの妹であるとして考えたら、それはアリと言えるだろう。
あくまで見た目が似てるだけのニセモノなんだから、許せる。
もちろん中身は俺だからまったく尊くないし、そんないっぱいの女の子を落とすコミュニケーション能力も持ち合わせていない。
だから、実現できるならばの話にはなってしまうが。
しかし本題はそれではない。話がずれた。
他の手っ取り早い金稼ぎ……何がいいんだろうか。なんて言っても答えはほぼ決まっている。
他にも選択肢はあるけど、まあとにかく早いのはやっぱりアレだよな。
その後の職業選択の自由が制限されるけど、まあいいか。
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主人公の容姿描写についてはあとから細かく出てきますが、無表情で銀髪ロングなゴスロリ衣装の少女、あるいは人によってはロリと形容するような感じだと思っていただけると相違ないです。
もともと若い肉体の年齢と比べても、外見は少し幼いです。
そして一生、見た目年齢が成長することはありません。合法ロリとなります。
また、前世の影響が大きいので主人公の恋愛対象は女性のみ、これはブレないものとします。
つまり、男性との恋愛要素はなしということになります。