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第十九話 ふぁーすときす

「ねぇ、もう行くの?」


「……ああ。私は魔王を滅ぼさなくてはならないという義務がある」


 悲しげな瞳でミメレルに見つめられる。

 だけど、いつまでもミメレルと一緒にいても仕方がない。

 俺は廻国修行の旅に出ることにした。


 このまま一緒にいても、ミメレルが俺という心残りを持つことで魔王に完全敗北するという未来もある。

 戦いにおいて、精神状態というのはなかなか重要だ、実力が近い場合にはな。……ってイセテン4のキャラが言ってた。

 誰だったかは忘れたが。


 ミメレルは『洗礼』によって一気に強くなれるけど、俺の場合はある程度の時間と努力が必要なわけだし。

 来たるべき大戦の時に魔王とまともに戦えるだけの力を持たないというのは嫌だ。


 今の俺の力はアレだ。ゲームが元ネタの某名作漫画においての大魔道士みたいなものだ。

 いるのならば最終決戦でも役に立つけど、ラスボスが第三形態になって以降はほとんど戦力にならない的な。


 魔王、名をバルガロームと名乗るあいつはヘタレだ。

 王としての気概にも欠けている。

 だが、確かにめちゃくちゃに強いし、魔王軍に属している状態で起こるイベントでとある選択肢を選ぶと、威厳も兼ね備えた名君になるくらいには素質がある。


 それになんと言っても、レードガログの力を吸収して邪聖剣を手にした状態の奴は本当に半端ない強さだ。


 まあ、ゲーム主人公なら特に苦労もせず倒せるわけだが……それでも、今の俺と覚醒したミメレルが組んでも相打ちがせいぜいだ。

 俺は死にたくないし、ミメレルが死ぬなんてのはもっと嫌だ。


 融和の道もあるのではないか?と考えたけど、一旦はどっちかがどっちかをぶちのめさない限り、認められないだろう。

 矜持とかプライドとか。大昔からの因縁とかで。


 だから、一旦離れるのは辛いけれど修行の旅に出ることにした。

 いずれは魔王を簡単に倒せるくらいには強くなりたい。


 そのうち、ステータス限界突破……狙わないとなぁ。


「そんなに悲しむな。別に今生の別れというわけでもない」


「……私も一緒に行くとかは駄目なの?」


 ああ、悲しむ顔も可愛いな。


「私はいろんな国を回るつもりだ。魔王を倒せるほどに強くなるために。だが、その過程でこの国が侵略でも受けたらどうする」


「そのくらい、ロウ一人でどうにかなるじゃない……!」


「大体の驚異はなんとかなるだろうな。しかし、言ってはなんだがロウ様はミメレルよりは多少劣るだろう。それ故に、無用な混乱を招く可能性がある」


 ミメレルはしばらく考え込み、それからはぁ、と息を吐いた。

 わかってくれたのだろう。

 ロウとその他大勢の勇者程度ならばなんとかなる、と考える馬鹿な国が現れるかもしれないし、国民が不安に感じる可能性もある。


 実際は国軍だけでもどうにでもなる脅威ばかりなのだが、それでも相手になんとかなるという希望を持たせては駄目だ。

 国民に被害は必ず出てしまう。

 まあいずれ、我が国も他国に侵略戦争を仕掛けるのだろうが、それでも受け身であるよりは攻めの思考に身をおけるようにしたほうが良いだろう。


「……仕方ないわね。でも、せめて最後に……わかってるでしょう?」


 目の前で目を瞑って待たれたら恋愛経験が少ない、ミメレルとするまで女の子と手をつないだことすらない俺でもわかる。

 愛おしむように、そっと唇を重ねた。


「ファーストキス、なんだからね」


「……私もだ」


 頬を染めながら、二人して打ち明けた。


「ふふっ、おそろいね。……浮気はしないで、と言いたいけど、メルは移り気だからしちゃうんだろうね」


「な、なんのことだ……」


「幼馴染の女の子のことを話してるとき、ずっと楽しそうだったもの。わかるよ、これでも恋人なんだし」


 異世界人だとバレない程度に、昔の話もしてきたけど『あいつ』のことを話しているときが楽しそうだった?

 まあ、あいつといる時間は楽しかったのは認めるけど、そういう感情は薄かったぞ。


「そこまで想ってる子がいるのに、私のことも大好きだなんて、酷いひとよね。メルは」


 その口調は責めていると同時に、どこか楽しげで、またどこか寂しげだった。


「でも、忘れないで。私はメルだけを想ってるんだから。あなたが他の人に気移りするのは……辛いけどまあ許す。でも、私を捨てたりなんかしたら許さないんだからね?他の全生物を殺して、世界を私とあなただけにしてでも取り戻すんだから」


「ふふっ、それは怖いな」


 怖いというのは本心だが、そこまで想ってもらえるというのは素直に嬉しい。

 愛おしさが止まらなくなってくる。


「あ、でも、男には走らないでよね?」


「あ、ないない。それだけはない。想像するだけで怖気が走る」


 ゲイとかそういう人たちを否定する気はないし、そういう愛の形もアリだとは思っているし認められるべきだとも思っているが、俺は女の子相手じゃないと無理だ。

 しかし、TSものの定番では精神が肉体に引っ張られるとかそういうのがあるけど……俺にも起こりうるのか?


 この世界で最初に温泉に入ったときに心配したのは杞憂だったみたいだけど……このまま起こらなければいいなぁ……。


 あったとしても、男を好きになるとかそういう方向のは絶対にないことを願う。

これで第一章は終わりです。

次章以降はもうちょっと話数が短いかもしれません。

まあ、超大まかな流れ以外は決まっていないのでどうなるかはわかりませんが。

また、試験的に三人称を取り入れてみる可能性が高いです。

TSもので一人称だと自分の書きたいものが書きづらいんですよね。


ところでタイトルってこれでいいですかね?


なんか良い案があったら感想かなんかで教えてくださると助かります。

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