タコ焼き
タコ焼きである。
丸くて、熱くて、舌をやけどしないように転がすようにハフハフしながら食べるアレである。
このタコ焼き、今や全国どころか世界で食べられている。
タコを以前にはデビルフィッシュと呼び、食べるなんてとんでもないと言い放っていた国も、今や昔である。
確かにタコの、その外見はあらためて見ても奇妙なモノである。
骨は無く、足が八本あり、目より上の部分が胴体で、血が青く、脳は複数ある。
地球外生物と言われても、違和感と言うものが発生しない。
そのようなタコを食べるのは、日本か地中海の一部の地方だけだったらしい。
このタコ、下ごしらえは少し面倒である。
はじめに塩もみしてヌメリを取り。
大根などで叩いてから柔らかくしておき。
塩を加えた沸騰したお湯に足から茹でていく。
足がクルンと巻き上がった状態が上手に茹であがった証拠だ。
ここで初めて刺身などの料理に使えるのだ。
どこかの国では、生のタコの足を吸盤が付いたまま食べるらしいが、胃壁に吸盤がくっつき病院送りになったりするらしく、年間数名がお亡くなりになるらしいので、タコの生足はオススメしない。
それともう一つ、ヌメリ取りにおいて、ある人物は塩もみがめんどくさいからと洗濯機にタコを放り込んだらしい、ヌメリはしっかり取れたみたいだが、悲鳴と共に嫁さんにしっかり怒られたらしい。
下ごしらえは細心の注意が必要である。
とにもかくもタコ焼きである。
タコの1番美味しい食べ方はタコ焼きである。
異論はあるであろうがタコ焼きである。
このタコ焼き、1番旨いタコ焼きはどこにあるのであろうか?
言わずと知れた大阪である。
では旨いタコ焼き屋は大阪のどこにあるのか?
それの答えは「無い」である。
大阪近郊の人はもうお気付きであろう。
そう「1番旨いタコ焼きはウチにある」のである。
ここで旨いタコ焼きと言うものについて語ろう。
旨いタコ焼きの条件
・形は丸で一口サイズでなければならない。
・外側はカリカリで爪楊枝か竹櫛を刺した時、プスっとした音が鳴らなければならない。
・内側はトロトロのアツアツである。
・上に乗せた削り節は躍らせるべし。
・ソースはオタフクに限る。(イカリも捨てがたい………)
・焼き上がって口に入れるまで3秒ルール適用
このほかにも旨いタコ焼きの条件はあるのだが基本は以上の事だろう。
人によっては粉から選別するし、具はキャベツのみが旨いと人もいるし、天カスが無ければ認めないと言う人もいるであろう。
だが旨いタコ焼きの根本的な条件とは「焼き立て」であることだ。
お店のタコ焼きも焼き立てだ!と答える人もいるであろう。
しかしその答えは否である。
お店で焼いたタコ焼きは船に、あるいはお皿に盛り付けられる。
そしてソースをたっぷりとかけられた状態で提供されるのだ。
するとタコ焼きの表面がしなっとなるのだ。
カリカリ感が無くなってしまうのだ。
最初の2、3個までなら残っているかもしれない。
しかし、盛られたタコ焼きは最後の方はソースの水分、あるいは内部の水分を含んでしまう。
これでは表面がのカリカリ感が無くなってしまう。
これがお店の限界なのだ。
確かにダシで食べる「明石焼き」なら問題は無いだろう。
しかし、ここではタコ焼きである。
アツアツのホコホコを舌で転がすように食べるタコ焼きである。
そう、タコ焼きの旨い条件は絶対的に「焼き立てを食べる」なのだ。
これはもはや正義であり真理である。
ここで一つ断りを言っておくが、この内容では大阪だけで無く何処でも旨いタコ焼きが食えるでは無いか!と言った意見が出てくると思う。
確かにその通りなのだが、ご存知だろうか?
大阪近郊では嫁入り道具の中に「たこ焼きプレート」がもれなく付いてくるのだ。
これは大阪ではタコ焼きが「文化」として、擁立している事を意味する。
私はその文化に敬意を持って、半生を持ってたどり着いた「タコ焼き」をここに書き記す。
スキル「タコ焼き」がなかなか上がらぬ。