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仲間


拙い文章ですが楽しんでいただけたら嬉しいです。


 

「ジル、カレル、イダ! 早く来いよ!」


 大きな声で叫ぶのは短い赤茶の髪をボサボサにした子だ。まだ十歳くらいだろうか。


 その子を追いかけるのは子供たちだ。二人は走っているが一人は後ろから見守るように二人を見ている。


「待って~」


 赤茶の髪の子がパン屋の裏口のゴミ箱を開ける。そこから何かを取り出すと懐に隠す。そしてやっとやって来たうちの一人の子が「あった?」と瞳をキラキラさせて問いかける。

 赤茶の髪の子は懐に隠したものを取り出してニイッと笑った。


「やったー!」

「ルイありがとう!」

「やっとご飯が食べられるな」


 三人に笑いかけた後、真面目な顔になって諭す。


「いいか、もっと速く走れるようにならないと他の奴らに取られる可能性が増えるんだからな」


「頑張る!」


 一番小さい女の子が手を挙げて大きな声で返事をする。その子にの頭を撫でると四人は揃って何処かに歩いていった。







 ルイーゼ・ティスは三人が眠るのを微笑ましく見守る。そこは壊れた小屋のギリギリ雨風を凌げる場所だ。


 はあ、明日もご飯を見つけられるかな。明日はあのレストランに行ってみるか。


 元々私は母と二人で小さな家に住んでいた。しかし、母が流行り病にかかってしまい、なけなしのお金で薬を買い看病をしていたが、結局冬を越すことができなかった。そして不幸はそれだけではなかった。天涯孤独となったルイーゼは生きるために働こうと思ったが、まだ子どもの私を雇ってくれる人はいなかった。その内にお金がつき、家を問答無用で追い出されてしまった。そして夜宛もなくさ迷っていたとき恐ろしいことが起こった。暗い道を歩いていたら急に誰かに暗闇に引き込まれたのだ。叫ぼうとしたが口を押さえられて叫ぶこともできない。相手は私を地面に仰向けに押し倒すと私の服を脱がそうとしてきた。嫌で怖くて、もう口も押さえられていないから叫べると思ったのに声がでなかった。体はガクガクと震えてきて涙が一滴溢れた。男は荒い息を吐きながら私の体を見回している。そんな現実から目を逸らしたくて目を瞑った。しかしいくらたっても何も起こらない。おずおずと目を開くと棒を持った男の子が男を殴り倒していた。


「大丈夫か!」


 自分より少しだけ大きい子はダニと名乗った。だから震えながら私はルイーゼと名乗ると怒られてしまった。


「いいか、女がふらふらなんてしてたら襲われるぞ。これからは男の振りをしろ。名前も……ルイって言え。暫くは俺が面倒を見てやる」


 そう言うと手を引いて彼の隠れ家まで連れていってもらった。


 暫く一緒に過ごしたあと、ダニに気になっていたことを聞いた。


「どうして俺を助けたの?」


 ダニは悲しげな顔をしながら黙ってしまう。聞いてはいけなかったのかと慌てたとき、小さい声が聞こえた。


「妹が……いたんだ。妹も男に襲われて死んじまった。俺があいつを守れてたら……」


 憎しみを瞳に宿らせて地面を睨むダニに何て声をかけたらいいか分からずに下を向くと頭を撫でられた。


「ごめんな、怖がらせたな……」


 私は首を振ることしかできなかった。


 そしてそんな生活の中、親に捨てられたジルに出会い仲間になった。


 しかし三人の生活も長くは続かなかった。ある日からダニが帰ってこなくなったのだ。

 ジルは俺達が邪魔になったんだと言ったが、私は信じられずダニを探し回った。そしてやっとダニのしていたネックレスを頼りにダニを見つけることができた。ただし冷たくなってもう誰か分からないくらいの姿になっていたが。


 他のグループの子どもが教えてくれたが、ダニは妹の敵を見つけて復讐をしようとして返り討ちにあったそうだ。


 私はそのことをジルに伝えると、ジルは一滴だけ涙を流したあと「俺がルイを守るから」と言ってきた。だから「馬鹿! 俺がお前を守るんだよ」と言ったらむすっとしていた。


 そしてそのあと他のグループから追い出されたカレルとイダを仲間に入れた。ジルは最初は嫌がっていたが、その内に打ち解けていった。


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