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「私が5番目ってことは、三の妃と四の妃もいるんでしょう?どんな方なの?」
鈴蘭の君の部屋を出てから、騎士とだらだら話をしながら歩く。
「三妃は、菫の君という方で薔薇の君や鈴蘭の君とはまた違ったタイプの方ですね。素朴というか。いや…、夜は娼婦ってタイプなのか?」
後半ぶつぶつ呟く騎士。いや、聞こえてますよ。
「まあ、菫の君は王様の1番の寵愛を受けてる奥方ですね。元々官僚だったのを王様が惚れ込んで娶ったんです。ブイブイ言わせてますね。」
「ふぉっ!?」
寵愛、とか聞くと後宮っぽい。やはり妻同士の争いとかあるんだろうか。
「じゃあさ、気に入られたほうがいいよね?なんか袖の下とかさぁ。」
「どうでしょうねぇ。王様が嫉妬して面倒になりそうです。当たり障りない感じでよろしいかと。」
あ、そっちか。
「あ、ちょっとここで待っててください。」
長い長い廊下につながる広間に出たところで騎士がどこかへ行ってしまった。
今、お城のどこらへんにいるんだろう。歩いていたのでさっぱりわからない。
ちょっと待っててくださいって言われたものの、結構待ってる気がする。待つのは苦手だ。数分とかならいいんだけど…。少しだけトラウマのようなものがあって待たされるとお腹の底がひんやりしてきて…。それからだんだんお腹が痛くなってくる。じっとしているとそればかり気をとられてしまうので少し歩くことにした。
長い長い廊下をそろそろと歩く。
しばらくして、少し開けたところに出た。
天井が高くなっている。上を見ると一面絵が描いてあった。教会にあるような天使とか神様とかいっぱいいるような絵だ。そういやこの世界にと神様いるっていってたけど、それかなぁなんて思いながら上を見ていたら。
ガタガタ、っていう音と、っはぁっていう人の呼吸音。
だれか具合悪い人でもいるのかと思った。
や、本当に善意だったんです。
大丈夫ですか?って物陰を覗いた。
目に入った光景に、思わずフラッシュバックした。
ああ、思ったよりトラウマになってたらしい。
いやはや私もなかなか繊細だなぁと他人事のように思いながら気が遠くなるのを感じた。
物陰では、王様と男の人がくんずほぐれつしていた。
この世界に来るきっかけを思い出した。