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 ダンジョンには薔薇ねえさまと牡丹にいさまは入ったことがあるらしい。危ないから本当は私とアザミは入らないほうがいいらしいんだけど、外も安全とは言えないからってことで四人でダンジョンに入ることになった。

 村長曰く、剣を持ってる間は大丈夫なんだって。だから行きは大丈夫だし、人によっては大したことないからって言っててほっとした。けど、薔薇ねえさまは険しい顔をして、逆に人によっては恐ろしい目に合うってことだって言ってた。ちょっとドギマギする。


 ダンジョンの最奥まではサクサクと進んだ。祭壇みたいなのがあって剣はそこに置いた。

 その帰り道。

 ダンジョンの中は洞窟って感じだったんだけど、急に景色が変わった。薔薇ねえさまと牡丹にいさまが私とアザミを庇うように立つ。

「…ここは?蔵?」

 アザミの呟き。確かに。さっきまで洞窟だったんだけど、いつの間にか人工的な壁になってて、確かに蔵って感じがする。薄暗いのはさっきの洞窟の中と変わらないのに、なんだか不気味。


「っ、ひぃ、」

 変な声が聞こえたかと思うと牡丹にいさまだった。

「どうしたんじゃ?」

「ここ、実家のお仕置き蔵だ…」

 牡丹にいさまは顔を真っ青にしている。

 牡丹にいさまはだんだん息が荒くなって、

「大丈夫?」ってアザミが肩を叩いた瞬間、

「もう、ムリ、」

 牡丹にいさまはそれだけ言うとひっくり返ってしまった。

 慌てて寄ったけどどうやら気を失ってしまったみたい。牡丹にいさまはどうしちゃったんだろう。


 薔薇ねえさまが考えるに、このダンジョンは人のトラウマを再現しているんじゃないかということだった。

 そういえばこの前牡丹にいさまがお城の物置に閉じ込められちゃって大騒ぎになったことがあった。牡丹にいさまは暗いところと閉ざされてるところがダメだって言ってた。

 何をどうすればクリアになるかは薔薇ねえさまもわからないらしい。牡丹にいさまは起きる気配ないし、様子見でしばらくその場に留まることになった。


「薔薇は、何かトラウマとかある?」

 気絶してる牡丹にいさまの髪を撫でてるアザミ。そばに寄るとアザミは私のことも撫でてくれた。えへへ。

「…実はな、」

 薔薇ねえさまが話しだそうとしたときまた景色が変わった。


 今度は何だろう。どこかの国のお城?でも雰囲気がなんだか怖い。物語でみた悪魔のお城みたい。

「…ふん、次は我のようじゃな。」

 薔薇ねえさまを見るとみたことないほど怖い顔をしていた。

「…薔薇の?ここは?」

「…魔王城じゃ。」

 薔薇ねえさまの言葉にアザミと思わず顔を見合わせた。


 なんと、薔薇ねえさまは昔、王様と一緒に魔王退治をしたんだって。魔王って本当にいたんだってびっくりしてるアザミ。


「…便宜上魔王と呼んでるが、アレが何なのかは我には分からぬ。賢王とは言いがたいが穏やかな前王が突然虐殺を始めた。その原因がどこからかやって来たアレだった。神様がリズクに力を授けアレを倒すように言ってきた。我は幼馴染を放っておけず共にアレを倒した。」

 ちなみにリズクっていうのは王様の名前。薔薇ねえさまくらいしか呼んでない。

「…まさか、薔薇のトラウマって」

 顔を青ざめさせるアザミ。

「ああ。アレにな、止めを刺すとき我は爆散魔法を使ったんだが、それがまずかった。」

「…ん?」

「内側から爆発させたんじゃが、肉片がその辺中に飛び散って、」

「…うわぁ。」

「そしたらな、一つ一つが芋虫になりよった。」

 薔薇ねえさまは見たこともないほど顔を歪ませてる。

 アザミはちょっとキョトンとしてる。

「あの時、アレの周りに結界を張ってからやるべきじゃった… 」

 悔しそうに顔を歪ませる薔薇ねえさま。

「薔薇、リベンジだね。」

 薔薇ねえさまの肩を叩いて励ますアザミ。

 薔薇ねえさまは神妙に頷いた。


 結果的に薔薇ねえさまは気絶した。

 結界を張ってから爆散魔法を唱えたんだけど、結界の中で蠢く芋虫を見てそのまま倒れちゃった。

「…爆散魔法を使わなきゃ良かったね?」

 アザミにこっそり耳打ちすると、アザミはあって顔をした。


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