7-1話 2つと2つと戦闘準備
前回までのあらすじ:
決勝で強い人にあった。敵の大群がこの街を攻撃しようと街に向かっている。
『今の街の状況はどんな感じ?』
陽がそう言うと、闇は答えた。
「城壁に常駐している兵士の数が約30人。全員弓を使用可能。指揮を執る人は5人って感じだね」
なるほど。ちなみに今は【飛行】で正門の方へ向かっている。光を肩車して闇をおんぶしながら。
体の疲労がすごい。魔法で強化をかけているからまだマシだけど。
二人に会った経緯を今から話そう。
昨日の夜。宿に着いて一息すると視界にチャット欄が表れて光に呼ばれた。光は俺の妹だ。
いままでチャットが存在することすら知らなかった。もうほぼゲームだな。
呼ばれた先はギルドの屋根の上。行かない訳がないのでいった。ちなみに陽は寝ていた。睡眠が必要ないとしても寝ることはできる。アラームを設定したらその時間に目が覚めるようになっている。
別に【飛行】でもいいけど屋根の上を跳んで行った。ちなみに通常のジャンプ力では届かないので跳躍強化をつけている。
宿から5分くらいで着いた。
「久しぶり、兄さん」
「久しぶりだね、闇」
先に話しかけてきたのは陽の弟の闇だった。
「もう、お兄ちゃんに先に話しかけようと思ったのに」
「早い者勝ちだよ。それにに光はいつも話しているからたまにはいいじゃない」
「あれは家に私とお兄ちゃんしかいないから話そうと思ったらそうなるだけ」
この二人はしょっちゅう喧嘩している。血がつながっていないのに兄妹げんかみたいだ。ちなみに生まれた年は同じだが日は違う。さすがにまた二人同じ生年月日にはならなかった。闇の方が生まれは早い。
なぜ二人にあっても驚かなかったかのには理由がある。
そう。今日の最初の試合でマップに反応があった。光と闇が観客席にいたのだ。
そのことからもう二人がこの世界にいることはしていた。
まさかこんな呼ばれ方をするとは思ってなかったけど
「まあまあ落ち着いて」
「そういえば兄さん」
闇は俺のことを兄さんと呼んでいる。光が陽のことをお姉ちゃんと呼んでいるのと同じ感じだ。いつからその呼び方が浸透したっけな?まあいっか。
「明日当たり気を付けてね」
「どういう事?」
「それは私から説明するね」
なんだか長くなりそうだな。
「ちょっと待って。陽を起こすから」
「姉さん寝てたんだ」
おーい、陽。起きてくれ。
もう起こし始めてから10分は経ったぞ。
『うーん。あれ?ここはどこ?』
「やっと起きたね、姉さん」
『あれ?何で闇がいるの?』
こいつ寝ぼけてるって思ってるな。これは現実ですよ。
というか二人には陽の声が聞こえているのか。
『え!?これ現実なの!?』
うるさい。陽の声の大きさがダイレクトに来るから普通よりうるさいんだ。
『ごめんごめん。ところで何で起こしたの?』
「うん実はね」
光の説明はわかりやすかった。でもわかりやすくするために説明が長くなった。
要約すると―
最近時空が歪む回数が多いらしい。そして歪んだ場所には巨大な敵が出現するという。
それがこの街の周辺に発生する確率がほぼ100%らしい。
今までは防衛がガッチガチの場所の周辺だったからよかったらしくて対処できたが、この街の周辺に発生すると防衛できなくなり街がなくなるかもしれないという。
歪みが発生することは確定ではないが高いのでもし発生したら殲滅するのを手伝ってほしい。
とのことだ。もちろん手を貸すことにしたが気になったことがあった。
「その時空の歪みで俺たちはこの世界に来たってこと?」
これが一番気になった。まだこの世界に来た理由がわからない。手がかりすらない状況だったからだ。
そして二人が言った言葉は―
「「わからない」」
「『え?』」
俺たちは驚いてしまった。めちゃくちゃ関係ありそうなのにわからないといわれたからね。
「確かに関係はあるかもしれない。でも今のところそのことに関しては何もわからない」
「お兄ちゃんたちがやってきたのはあの隕石のせいかもしれないって説もあるけどね」
「そういえばあの後地球はどうなったんだ?」
「生物は絶滅したよ。隕石が地球に衝突してね。でも―」
でも?この後に何かあるのか?
「こっちの世界で大きな変化があったらあっちの世界にも変化が起きるらしい。だからこっちの世界で何かをすれば生物が復活するかもしれない。今までの生活が復活するかもしれない。でもできたとしても俺たちはあちらの世界には帰れない」
・・・もう帰れないのか。なんか悲しいな。でも
「俺たちが何とかすれば復活するかもしれないんでしょ」
「そういう事だね」
じゃあこの世界から変えていってあっちの世界でも変化を起こせばいいのか!
「ちなみにお兄ちゃん。二人の心は読めるからね」
『え?』
「だから姉さんが考えていることがわかる訳だよ」
この二人にも隠し事ができないのかよ。
こんなことがあった。昨夜で驚きすぎたから今日は何も驚かない感じかな。
「とりあえず俺たちは兄さんたちの援護って形で戦闘に参加するから思いっきり倒していけばいいよ」
なるほど、簡単だな。よし、速度を上げるよ。
「はーい」
リミッター解除!
『まだ心の準備が!』
遅い!
『ひゃあーーーーーーーーー』
まだ慣れないのかよ。慣れてくれよ。
「姉さんは怖がりだね」
『うるさい!』
これが本当の姉弟喧嘩だね。
「『うるさいよ、陰/兄さん』」
息もぴったりだこと。
城壁を見渡せる場所に着いたが・・・
「これはひどいね」
兵士が全員応急処置を受けていた。
「時空の歪みが発生すると独特な空気の波が伝わってくる。街の中は城壁で大丈夫だったけど城壁に立っていた兵士たちは食らったみたいだね」
回復させてあげたいが今はまずい。何故なら急に回復したら魔法師がいるのを疑ってしまう。今ばれると後々面倒なことになる。ばれていいのは戦闘が始まってからだ。
これから何をすればいい?
「とりあえず門をロックしてしまおうか。市民が逃げ出したら元も子もない」
『どうやってロックすればいいの?』
創造魔法で何とかなると言ったら今の状態ではそう簡単にはいかない。今のままだとあまり創造魔法は物質を出すのは得意だけど魔法で作っていない物質を変化させるのは向いていない。
ロックできたとしても足でけられると簡単に破られてしまう感じだ。
「門に物質をつければいい」
うん?どういうこと?
「例えば門に鉄の板をくっつけて開かないようにするとかだね」
ああ。でもそんな創造魔法のタイプは持ってないぞ。
「作ればいい」
そういえばそんな便利な機能がありましたね。
スキル作成。創造魔法タイプ選択スキル。タイプ新規作成。タイプ:物体召喚。
―作成確認。作成開始。所要時間、30分。
長くない?敵がきちゃうよ。
「その心配はしなくていいと思うよ」
何か策があるの、光。
「策も何も、待ってるだけでいいと思う」
はい?
「あの集団はそろそろ休憩に入らなければ歩けなくなるころ。だから何もしなくても1時間後くらいに来ると思うよ」
そういう事でしたか。
さあ敵が目視できるくらいまで接近しましたよ。
『門は塞いだし、兵士も応急処置が完了したよ』
準備はいいね。それじゃあ敵を向かい打ちましょうかね。
いくよ!
「「『了解!』」」
わざと光がしゃべっているのか闇がしゃべっているのかわかりにくくしている場所があります。
そこは皆さんのご想像にお任せいたします。




