シスメモ1:私(にとっては)の普通の休日のある一日
溜める気でいましたがやっぱり辞めました
ってことで進捗は今回に限り当てになっていません
誤字脱字があったらすいません
これは本編より少し先の話
「ピヨピヨ、ピーピヨヨ、ピピピーヨーピヨヨ」
ん、ううん。もう朝なのね。
「ZZZZZZZzzzzzz.......」
私の一日は寝ている陰を起こすことから始まる。
「おはようなのだぁ。ふわぁ・・・眠いのだー」
「おはよう。しっかりしてよ、ミハ」
ミハミフはいつも陰を起こそうとしたら先に起きてくる。
楽でいいんだけど。
「ミフが朝強すぎなだけなのだー」
「顔洗ってきたら?」
「そうするのだー」
今だからこそこうやって実体として長時間居れて毎日一回は実態になれるようになったけど、前は一回実体になったら数週間はまた実体になれなかったし長時間実体を維持することは無理だった。
でも闇が夜通し解析・改良をしてくれたから今こうやって、
「すぅ、起きろー!」
「ぎゃぁぁぁぁああああ!」
起こすことが出来る。
幸せー。
「って、シスか。おはよう」
「おはよう。早く準備して。遅れるよ? 朝ごはん出来ているから早く食べてね」
「もうそんな時間?」
「そんなに遅くはないけど早いに越したことはないでしょ?」
「はぁ」
そう言って陰は寝室を後にした。
ちなみに、朝ごはんは毎日私が作っているのではなく、私・アラン・ゼーシャ・ラーサで交代交代でやっている。
なぜかって?
そっちの方が楽じゃん。
楽に超したことはないよ。
『毎日四人分作ることになりますけどね』
一回でガッと作る方が楽じゃん。
ねえ、アラン。
『何故そこで自分が出てくるのですか?』
一番料理が上手いから。
『そんなに上手じゃありませんよ』
『自分を過小評価し過ぎです。褒められたのですから素直に受け取ってください』
『・・・。じゃあそうします』
素直でよろしい。
『今日はどうします?』
今日は休日なので陰たちの先生の仕事がない。
四人でお出かけするらしいので私たち、援護チームは暇。
『どこか行きたいです! 美味しいものが食べたいです! スイーツなら尚更!』
実はアランは甘党なんだよね。
ちなみに、『アランが甘党なのは私がそうした訳じゃなくて最初っからこうだったんだよね。何故か分からないけど』と、陽は言っていたから、生まれつきこうだった確率が高いんだよね。
じゃなかったら一体何なの?って話になっちゃう。
もしかしたら陽から来ているのかも。
聞く話によると陽は前の世界では暇だったら闇を連れて有名なスイーツ屋さんに(無理やり)連れて行っていたらしいからね。
いやー、私が言うのもあれだけど、私達って不思議だね~。
私が言うのもあれだけど。
「んじゃ、行ってきますね」
「行ってらっしゃい」
あれから朝ごはんを食べ終わった陰に陽と光から(強制)招集がかかったからドタバタして家を出ていった。
学校は基本的に私たちは行くのだけれど、今日は別行動。
「どっか行くのだー?」
「お出かけしたい?」
「したいのだー!」
ぴょんぴょん飛び跳ねながら言っている。可愛いね。
「どこ行きたい?」
「どっか!」
「ミハ、行きたいのなら意見出してね」
「ないから何も言っていないのだ」
この二人は結構喧嘩している。でも喧嘩しているときに出てくる意見が似たり寄ったりで全然結論が出てこない。
しょうがないと思いながらいつも見ている。
たまに戦争になるけど。
「コンコン」
「うん? 誰なのだ?」
「ゼーシャです」
「どうぞどうぞ」
そう美春が言うと、ゼーシャはドアを開けて入ってきた。
「お出かけしたいですか?」
「したいのだ!」
ありがとう、ゼーシャ!
『シスも行きますよ?』
え? 私も行くの?
『もちろんです。皆行きます』
そして、気づいたらアランとラーサも入っていた。
すると、ゼーシャは懐からタブレットを取り出し、この街のマップを表示させた。
「どこ行きます?」
「はいはいはい!」
それに一番最初に反応したのはアランだった。
「自分、こことこことこことこことこことこことここに行きたいです」
「「「?????????」」」
「そのコース、私も行きたいのだ!」
「あ、私も行きたい」
速すぎて何が何だかわからなかったけど美春と美冬はわかったみたい。
すごい。古代竜ってこんなこともできるんだ。
私も勉強不足だね。
『これは勉強で何とかなるものではありませんよ』
ってことはゼーシャも?
『もちろん何言っているかわかりませんでした』
本気って恐ろしいね。
「先ずはここに行ってそのあとこっちに」
「先にここ行った方が行きやすいしお口直し的にも丁度良いんじゃない?」
「確かに。じゃあここにして、その次にここに行った方がいいかな」
「先にここ行きたいのだー!」
「じゃあ先行く?」
「いく!」
話についていけないまま時間だけが過ぎて行った。
そしてお昼前頃になり、プランが決定した。
こういう時はアランが先導してくれるから楽でいいけどたまに凄くハードなお出かけプランを立ててくることもあるからいつも警戒はしている。
今回はそんなことは無かったようだね。
外に出ると街は活気に溢れていた。
「今日は大特価だよ! そこの奥さんもよってみてはいかがかね?」
「今日は美味しい果物が揃っているよ!」
月に一度の大特価日ということもあっていつも以上に人で溢れていた。
その一角に、見覚えのある人が。
「あら、シスちゃんじゃない」
「あ、グロウのお母さん!」
そこに居たのは買い物をしていたグロウのお母さんだった。
実は、前にグロウのお母さんから私たちのもとへ訪ねてきたこのがあってそれから仲良くなっていって今に至っている。
「いつもグロウをありがとうね」
「いえいえ、それに私はあまり何もしていませんから」
「そんなこと言って、裏では大活躍でしょう」
「本当に褒められるようなことはしていませんって」
「あ、そうだ。今度うちの店に来てくれない? いい武器作ってあげるからさ」
「いいんですか? じゃあその時はよろしくお願いします」
「定休日じゃなければいつでも来ていいからね」
「はい、ありがとうございます」
そう言ってグロウのお母さんと別れた。
「シスはいつから仲良くなっていたの?」
と、グロウが尋ねてきた。
「うーん、いつからだろうね? 気づいたら顔を覚えていて仲良くなったんだよね」
本当はそんなことないんだけどね。乙女の秘密ってやつ。
「人間関係って難しい」
「私たちは人間って言っていいのでしょうか?」
ミハミフを見ていたラーサが口を開いて、それについてゼーシャが答えた。
「他の人から見たら人間なんですから人間でいいんじゃないですか?」
「そういうものなんですかね?」
そういえば、このメンツでいると他の人からはどういうふうに見られるんだろう?
『なかなか難しいことを思っているね』
あ、陰! まさか盗み聞きしてたの?
『い、いや、そういう訳では、なくて、ですね』
本当は?
『してました。ごめんなさい』
正直でよろしい。それで、私の疑問に対して何かあるの?
『体型だけで見ると大人四人と少し雰囲気が違う子供二人じゃん』
少し雰囲気が違う?
『美春と美冬は古代龍じゃん。魔法に長けた冒険者が見たら「人間っぽい外見だけど何かが人間と違う」と見えてもおかしくないんだよね。詳細は分からないだろうけど』
要するに人によっては人間ではない人を保護しているようにも見えるってこと?
『簡単に言えばそうだね。でもそう見える人は極めて少ない数だと思うよ』
じゃあ私たちは?
『シスたちはしっかり偽装をして魔力とかオーラも人間に見えるようにしているから大丈夫。魔族は別かもしれないけど』
"魔族は別"ってどういうこと?
『まだ魔族はどう言った能力があるかが未知数だからね。もしかしたらステータスを見るやつも存在するかもしれない』
なるほどね。
『それに、実体はまだ解析が全て終わった訳では無い。解析結果によっては「誰が見ても人間」の状態になれるかもしれない』
要するに解析を頑張ってもらうしかないと。
『まあそういうこと。っと、呼ばれたから行くね』
はーい。
・・・そういえば結局質問の答え言ってくれなかった。
「シスー? ぼーっとしてどうしたのだ? もう着いたのだ」
「ごめんごめん。少し考え事をしてて」
「最近考え事多いですね」
「最近色々ありすぎてさ」
そんなことを言いながら店内へ入ると女性の店員さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ! 何名様でしょうか?」
「あ、六人です」
「かしこまりました! こちらへどうぞ!」
店内に入ると明るいきれいなテーブルや床が目に入ってくる。
そうとう清潔にする意識を持たないとここまできれいにはならない。
うちの主とは段違いだね。
『よんだ?』
いや、呼んでません。
『あっそう』
・・・あっぶねー。ばれるとこだった。
「こちらの席でお願いします。ご注文がお決まり次第お呼びください。それでは」
お客さんは女性が多いかと思いきや意外と男性もいる。
それぐらいおいしいってことだね。
もうおなかペコペコ!
そして、各々食べたいものを注文した。
そして届いたものを見て私たちは声が出なかった。
「な、なにこれ」
ゼーシャがこんな驚いているということは相当すごいもの。
ゼーシャは感情はあまり外には出さないタイプなので嬉しいのか悲しいのか楽しいのかがわかりずらい。
本人曰くこれでも外に出しているつもりらしいけど。
目の前のパンケーキは想像の何倍、いや、何乗も上に行くほど食欲をそそるものだった。
輝くメープルシロップにふわふわの生クリーム、見るからにモフモフしているパンケーキ。
人気なわけだね。
ちなみにアランはというと、
「・・・」
無言で目をキラキラさせている。
ミハミフは口が開きっぱなしでよだれが垂れている。
それに気づいたラーサは懐からハンカチを取り出し拭いている。
「た、食べてもいいのだ?」
「いいよ」
「い、いただきます」
うん? 美春なのに語尾に『なのだ』がない?
よく見ると手が震えていた。
目の前のこのきれいすぎるパンケーキを恐る恐る食べている感じだね。
そして、そのパンケーキが口に入り、噛んでいる様子が見えると、急に下を向いた。
「ど、どうしたの」
「お、お、おいしいのだ!!!!!!」
今まで見たことないくらい目が輝いていて顔からは満面の笑みが見える。
語尾が普通になっていたのもきっとパンケーキのせいだったのでしょう。
それを隣で見ていた美冬もパンケーキを一口。
すると、声は出していないけど目が輝いていた。
きっとおいしかったんでしょう。
かわいい顔を堪能したところで私も口にパンケーキを入れてみる。
すると、香ばしい匂いが口の中で広がってまるで私を包んでいるような感覚に陥った。
噛めば噛むほど香りは増していき、パンケーキの甘さも甘すぎず甘すぎなず飽きない味だった。
それからこのほかにもいろいろなお店を回り、一通り食べあたりは暗くなってきた。
私たちは少し高台にあるファステストを眺めるのには打ってつけの場所に向かっていた。
「どれもこれもおいしかったのだ」
「満足した?」
「うん!」
「よかったです。プランを組んだのは無駄ではありませんでしたね」
そして余韻につかりながら足を進めて、その高台に到着した。
「ちょうど夕日が沈むころでよかったですね」
「うん。すごくきれいだね」
「はい。ちょうどいい時間でしたね」
だんだん夕日が沈むのを見て沈み切ったころ、街に悲鳴が鳴り響いた。
「キャー! 誰か助けて!」
「「「「「「!?」」」」」」
声がした方を向くと、女性が魔物に襲われている・・・かと思いきや、引ったくりにあってた。
魔物ではなかったので一安心かと思いきや、そもそも女性が襲われているのは変わらないことは置いておいて。
さらに、街の警備をかいくぐったであろう魔物が街をうろついていた。
しかも五か所にわたって。
まだ私たち以外は気づいていない。
その五か所の中に一つだけ強そうな魔物が混ざっているグループがあった。
私は一番手薄そうな場所に指をさし、
「美春はあそこの魔物を倒してきて」
「わかったのだ!」
そう言って美春は飛んで行った。
「美冬はあっちね」
「了解」
美冬も飛んで行った。
「アランは引ったくりを、ゼーシャとラーサはそれぞれ正面左右のグループを」
「了解。シス姉は?」
「私はリーダーをたたいてくる」
「わかりました。お気をつけて」
「そっちもね」
そう告げた後、私たちは戦闘に向かった。
「ただいま」
無事、殲滅し終わり家に帰ると、陰が寝ていた。
「ふふ、良い寝顔だね。可愛い」
そう言って、私は陰の腕を抱き枕にして眠った。
俺、実は起きてるんだよな。
何ちゃっかり俺の腕を枕にしているのやら。
『まあ、たまにはいいんじゃない?』
あ、闇。まだ起きてたんだ。
『この時間に解析するのが日課みたいなものだから』
あっそう。
話を戻すけど、たまにって言ってもさ、なんというかさ、
『なんというか?』
恥ずかしいじゃん。
『意外と些細なことだった』
意外とってなんだよ意外とって。
『兄さんならもっと重大なことを言っても不思議じゃないからさ』
俺の事をなんだと思っている?
『頼り甲斐があって人間性も良くて性格は微妙でSかMで言ったらMのいい兄さん』
なんかめちゃくちゃ余計な言葉が混ざってた気がするけど。
『気のせい気のせい』
「いーーんーー、そんなところ触らないでよーー」
シスは一体どんな夢を見ているんだ?
『そういう夢でしょ』
どういう夢だよ。
「いーーんーー、おーしーおーきーだー!」
え、一体何を?
「おりゃー!」
シスは俺の事を大胆に抱き締めてきた。
き、キツい。
『あーあ、やっちゃったね』
いや俺何もしてませんけど。
―やってしまいましたね。
何でゼーシャも?
―なにか面白そうな予感がしたので。それに私はいつでもご主人様について行きますから。
それはついて行くと意味違くないですかね?
た、助けてくれ〜。
『助けなくても大丈夫そうだね。おやすみ』
―おやすみなさい。
あ、ちょっと!
・・・
誰か助けてー!
「はなさないぞー、うへへ」
俺はこのまま眠ることになったとさ。
そして、朝になって起きたら筋肉痛がやばかった。
次回はゼーシャです




