26-1&2話 Tonight(男&陰)
前回のあらすじ:
色々あったけどチェックインを済ませた。いったいハッキングは誰が?
誤字報告をしてくださった方々、数日前、投稿されている事実に気づきました。
ごめんなさい。こまめにチェックするようにします。
《みんな、お風呂の時間だよ。着替えをもって廊下集合ね》
と、お兄ちゃんの放送。
それに合わせてみんなは身支度を開始。
グロウがいる部屋を見てみようかな。
あんまり男子の部屋をのぞく気にはなれないけど。
「ヒャッホウ! 風呂じゃ風呂じゃ!」
「ずいぶんと古い喜び方だね」
「いいじゃん。グロウが新しすぎるだけだと思うし」
「僕は別に新しさとか気にしていないけど?」
「自覚がないだけですー」
「まてまて、そういうお前も自覚ないだろ!」
「お前もな!」
「いいや、俺はないね。お前があるんだ」
「いや、俺はないね」
「ある!」
「ない!」
「ある!」
「ない!」
基本的に4人部屋で今回は構成されているよ。
もちろん性別はそろえているけどね。
まあ男らしいっちゃ男らしいよね。
お兄ちゃんも含めて結構暴れるからね。
そういう人に限って自覚ないけど。
さて、そうこう話しているうちにみんなが風呂前に集まったみたいだから現場にお返ししますかね。
おにーちゃーんー。
うん? 今誰かに呼ばれた?
―気のせいじゃない?
そうなのかな?
まあいいか。
「みんなと一緒にはいるからと言って長居してのぼせないようにしてね」
「「はーい」」
と、大きな返事。
「それじゃあ行ってらっしゃい! 走らないでね」
そう言った瞬間、みんなが一斉に走り出し、一直線に風呂に向かった。
「男子は元気だね」
女子の方も陽が先導していて、あっちはあっちで男子とは違う元気さがあった。
「そっちも元気だったじゃん」
「男子ほど表には出てないよ」
「女子は表に出さなすぎると思うんですけど?」
「そんなことないよ」
「どうせ恋バナとかしているんでしょ?」
「私に聞かないでよ。私が入るわけじゃないんだから」
「じゃあ誰に聞くの?」
「さあ?」
「『さあ?』じゃないよ」
さてと、カシさんに呼ばれたし行きますかね。
闇?
『はいはい。どうしました?』
ここは頼んだよ。
『了解。気をつけて』
そっちもね。
〖システムメモ―ここが1と2の分岐点です〗
それから約数分、俺と陽は歩いてカシさんに言われた場所まで向かっていた。
ちなみに街をかこっている城壁の外にあるらしく、閉鎖しているこの時間なので身分証を必ず持って行ってと言われた。
ちなみにインベントリに入っている。
俺たちがもらった身分証は貴族でもなかなか手に入らないくらいの身分証らしくほとんどの人を黙らせることができるとか。
そのせいでこの身分証は“Invincibly ID Card”と呼ばれている。
ID Cardは身分証と呼ばないかもしれないがそれは気にしないでおこう。
語呂が良かったり言いやすかったりするんでしょう。
さて、そんな話をしていたら門の前に来た。
「お二人とも止まってもらえますか?」
「はい、どうしました?」
案の定止められたのでカシさんから何も聞いていない陽の代わりに俺が答えた。
「この時間は防犯のために身分証の提示をお願いしております。身分証はお持ちですか?」
「はい。これが二人分です」
「拝見させてもらいます。少しの間お待ちください」
そう言って一度も見ないで城壁の中に入っていった。
すると本棚が倒れたような大きな音がし、慌ててさっきの人が戻ってきた。
「も、申し訳ございませんでした! どうぞお通りください!」
と、深く・・・いや、上半身が下半身についてしまいそうなほど深く頭を下ろしながら言った。
俺は、
「頭をあげてください。気にしていませんよ」
と、そっと言って門を後にした。
「ねぇ、何であんなことになっていたの?」
後々面倒くさくなると嫌なので少しだけひねって説明する。
「あれ? カシさんから聞かなかった? 深夜になると門が閉鎖されるんだって。それで身分証の提示を求められるようになっているんだって」
「それは知っているの! 私が聞きたいのは何であんな態度に急変したのかが聞きたいの!」
「話すと長くなるんだけどあれを見せるとあんな感じになるんだって」
「・・・」
無言でこっちを見つめてきた。
俺は冷汗を隠しながら必死に顔を変えないようにしていた。
「・・・」
「・・・」
「まあいいよ。今度、意地悪してでも聞き出すから」
「ふぅ、よかt...え? 今なんて言った?」
「ひ・み・つ♡」
・・・。
―ドンマイ。
やってしまった。
嗚呼、時間が巻き戻せるなら巻き戻したい。
余計面倒なことになってしまった。
―まあいいんじゃない? 別に悪いことが起きそうでもないし。
はぁ。
こんなことを話しつつも、足を進めて目的地に到着した。
「いらっしゃい、二人とも」
そこには鸞さんが立っていた。
その後ろには白くて大きな建物。
教会だ。
夜遅くだが、結構明るく光っている。
窓から光が駄々漏れだ。
まあ教会だからこれくらいしなきゃならないのかもしれないけど。
「鸞さん、なぜここに私たちを呼んだのですか?」
「中に入ればわかるよ。先は行ってみな」
「あ、はい」
陽が大きな扉を重そうに開けると、結構先まで建物は続いていた。
進んでいくと白い服を身にまとった女性がいた。
「いらっしゃい、二人とも。私はこの教会のマスターを務めている琴平三笠と言います。よろしくね」
「琴平?」
「そう、琴平。実は、私もあっちの世界から来たんだよね」
異世界人てっきり俺たちと鸞さんくらいかと思っていたけど結構いるんだな。
『結構身近でね。一つの国に一人は必ずいるくらい異世界人は居るんだよ。この国は多いけど。まあ、陰たちは純粋な異世界人としては数えられないけどね』
―えー? なんで?
『異世界人っていうのは大半が前の体で来るけど、陰たちは合わさっているという謎の状態でこっちに来たから純粋とは言えないんだよね。純粋じゃないだけで異世界人だけどね』
『私や鸞も純粋とは言えませんよ』
三笠さんはわからないけど鸞さんは不思議な生き方をしているからね。
『不思議な生き方と、ね。陰は僕を馬鹿にしたいの?』
いえ、そんなつもりは一切ございません。
『はは、大丈夫、わかっているよ。僕もおふざけで聞いただけだから』
『そろそろ本題に入りましょう。陽がかわいそうでしょう』
そう言えばそうだね。
「私を一人ぼっちにしてお話? 陰は私を嫌っているの?」
「いやいや、そんなことないって」
「・・・まあ、いいけど」
少し陽が不満そうな表情になった。
あとで埋め合わせしておこう。
「それで、本題というのは?」
「うん、今日二人にここに来てもらったのは少し話してほしい相手がいてね」
「話してほしい相手?」
「そんな人いるんですか?」
「まあ詳しいことはあっちで聞いてもらえればいいから」
「あっち?」
「とりあえず、あそこに座って目を閉じてくれるかな?」
そう言われ、案内されたのは建物の一番奥にある八人は座れそうな椅子だった。
俺と陽はそこに座り、目を閉じた。
「真っ白い何もない空間を想像してね。しっかり想像できていれば会えるから」
言われた通りに自分が白い空間にいることを想像する。間違って創造魔法が発動しないように、想像する。
するとだんだん体が吸い込まれていくような感覚に陥った。
「目を開けていいよ」
知らない人の声がした。
目を開けるとそこは見渡す限り真っ白の謎の空間だった。
でも前の方に家らしき建造物があった。
歩いてそこに向かい、着いた頃に陽と合流した。
「なにかあった?」
「いや、何も。そっちは?」
「私も。この家が見えたから歩いてきたけど...」
目の前には大きすぎる家があった。
豪邸...いや、それ以上の大きさだった。
ドアなどのサイズは人間にぴったり。
次の行動に困っていると、ドアが急に開き、男性が出てきた。
「二人とも、どうぞこちらへ」
警戒しながらも、男性の後をついていく。
階段で三階まで上がり、少し歩くと大きめの両開きドアがあった。
「この先でお待ちです。それでは、私はこの辺で」
と言い、男性はどこかへ歩いて行った。
「開ける?」
「・・・開けちゃおうか」
恐る恐るドアを開けるとそこには、鸞さんと三笠さんとよくわからない男性と女性がいた。
「いらっしゃい、二人とも。よく来たね」
お久しぶりです。
まずはごめんなさい。
本当はもっと早くに更新したかったのですがなかなか時間が取れずにいてたまに書ける時間もあったけどあまり進まず。
なんやかんやしていたらこんなに遅くなってしまいました。
あとなるべく早く更新するために別コースを完成していないときに更新しています。
なので、陽コースをご希望の方はもう少しお待ちください。
あと陽派の方々、もう少しお待ちください。
もう少しすると陽メインになりますので。
あと、Twitter始めました。
@Aya_Syosetu でやってます。
更新予定日はTwitterで少し早めに知ることができるようにする予定です。
「つ」が「tsu」じゃないのは気にしないでください。
長話になってしまいましたが、今後もどうぞよろしくお願いします。




