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24話 ポカーン?

前回のあらすじ:

ついに王都に到着した。そしたらいきなり襲撃された。先行きが心配だ。


お久しぶりです。

もしかするも前回までの感覚を取り戻していない可能性もあるので暖かい目で見守ってください。

「それで君たちはどうやって来たのかな?」

 これは王の声。

 もしかすると“創造魔法で来た”と思っているかも。

「まさか生徒たちを置いて3人で魔法できたとは言わないでしょうね?」

 ある貴族についていた護衛のような人が笑いながら言った。

 確かインシャル家だったかな?

―あってるよ。ギルドとかの管理をしているみたいだね。

 結構勢力強そうな人だな。

『飽きた』

 少しくらい待ってよ、陽。

『だってこんなに緊迫した状況に長い時間居たらそうなっちゃうよ!』

 別に緊迫はしてないけど?

『空気を読んで!』

 確かに緊迫していますねー。(棒)

『棒読みしないで!』

「しっかり生徒は連れてきたぞ。今ここにいないだけでな」

「じゃあ証拠を見せてみろよ! どうせ出せないんだろ?」

「いい加減にしろ! 失礼だろ!」

 カシさんがその護衛を相手にしていたところインシャル家の当主が護衛に向かって怒鳴った。

 一瞬にして空気が凍ったような感じがした。

「すいません。まだ新人なもんで、立場をあまりわかっていないようです」

「いいですよ。証拠を見せればここにいる誰もが納得できますもの」

 陽が急に口を開いた。

「じゃあ今からお見せいたしましょう」

『あとよろしく!』

 そこまで言うなら自分で何とかしてくれませんかね?

『だって私操作とか知らないし、ね?』

 “ね?”じゃないよ。面倒くさいことしないでよ。

『とか言ってできるんでしょ?』

 それはもちろん。

 この部屋はとてつもないくらい縦に長いので乗ってきた列車はすっぽり収まりそうだった。

 こういうのをシンデレラフィットとかいうんだっけ?

―古くない?

 言葉に古いも新しいもないよ。

 真ん中に赤いカーペットが敷いてあり、太陽の明かりが入り込んで綺麗な部屋だ。

―まあ今は17:00なんだけどね。

 雰囲気を壊さないでくれる?

―いいでしょ、別に。

 シスはホント性格悪いよね。

―そんなことないし!

 あーハイハイ。

『喧嘩してないで早く対処してくれます?』

 いったいどの口が言っているんだよ。

 まあいいや。

 真ん中のレッドカーペットからみんなを離してくれる?

『はいさー』

 不思議な返答だな。

「それではみなさん、この赤い絨毯から少し離れてください。あ、王様はそのままで大丈夫です」

 王が座っている椅子は一番前にあるしその手前には小さいけど段差があるから被害は及ばないはずだ。

 その代わり一番臨場感がすごいんだけど。

「皆さん良いですね。それでは生徒たちを呼ばせていただきます」

『陰、お願い!』

「場内進行!」

 “場内進行”とは一般的には駅の手前に設置している信号が青になっているときを指す。

 つまり“駅に進入することができる”という意味。

 そこでこれを列車の呼び出す合言葉にしてみればいいんじゃないかと思いついたのだ。

 日常ではまず言わないからね。

 そしてこの場にいる人全員(カシさんを除く)がポカーンとした顔をしていた。

 まあ何言っているかはじめはわからないよね。

 すると何やら鉄がこすれるような音が迫ってきた。

 時間がたつにつれ大きくなっている。

 何かに気付いたようにこの場にいる全員(俺・陽・カシさんを除く)が開いているドアを見つめた。

 すると何かの光が近づいていた。

 俺は頭だけ後ろに向け列車が来たことを確認し、左手を上に上げた。

 まあただ格好良く見せるためだけの動作なんだけど。

 列車が通る場所に誰もいないことを確認した後、上げた手を前に持っていくと列車がこの部屋に進入し、すべての車両が進入したとき停止した。

「な、なんだこれは・・・?」

 得体のしれないものを目の前にしたかのような表情でそう誰かがつぶやいた。

『あの声はさっき遅れてやってきたサイニズム家だな。サイニズム家は化学や物理などが得意でこの国の機械などの研究を受け持っている。闇からすればいい勝負相手何ではないか?』

『余計なお世話です』

 あ、闇。

『お疲れ、兄さん』

 まさか敵がいるとはね。

『規模が小さかっただけいいじゃん』

 まあそうだけど面倒だよね。

『確かに巻き込まれている側はそうかもしれないけどこちらとしてはとても面白いよ』

 あーはいはい。

「陰殿、これはいったい何なんだ?」

「この国には列車はありますか?」

「ええ、蒸気機関ならありますが」

「ならばそれが強くなったとでも思ってください」

「ですがどこにも蒸気機関ないですよ?」

「ええ、駆動方式は蒸気ではないですから」

「それでは一体何なのですか?」

「魔力です。正確には魔力を電気に変換して動かしています」

「ですが魔力を電気に変換して走れるほどの電力が確保できるのですか?」

 やっぱりこうなるか。

 闇、説明よろしく。

『OK! 任せて』


 この国には高出力を生み出せるモーターや魔力を電力に変換する技術などはすでに持っている。

 魔力を電力に変換する機械の発明も終わって実証実験も済んでいる。

 それではなぜこんなに驚くのか。

 それは技術に問題があった。

 さっき“技術を持っている”とは言ったが“実用できるようになっている”とは言っていない。

 どういうことかというとまだ実用できる段階まで開発が進んでいない。

 効率が極端に悪いのだ。

 わかりやすく言えば兄さんの魔力回復量を毎秒入れてもハンディ扇風機一個しか動かせない電気にしか変換できないのだ。

 さらにいきなり強すぎるモーターを作ってしまったからなのかダウングレードが全く進んでいない。

 これも簡単に言うとハンディ扇風機を回すのに電車のモーターを使っているような状況になっている。

 それでは何もできない。

 発電技術もあまり進んでいない。

 電気の時代にこの国も入っているのにクルマすらないのだ。

 何故ならさっき言ったようにモーターのダウングレートや小型化が全く進んでいないからEV(電気自動車)も作れないしこの国はエンジンがまだ開発されていない。

 よって馬車しか交通手段はないのだ。

 そこに登場したのが蒸気機関だった。

 これはこの国にとって大きな産業革命となっただろう。

 だがそれから技術革新は一切起こっていない。

 なので馬で引っ張ったり人で押したりしていないのに動いているものを見るとこのような反応になってしまうのだ。

 ちなみに他の国はというと現在エンジンの開発は大体の国が完了しており電気も全世代に普及している状況になっている。

 もちろん国によってバラつきはある。

 一番進んでいるのはエンジンを車の駆動に使用せず完全電気走行になっている国もある。

 前いた世界も菜産とかいうクルマメーカーがスーパーエレクトリック-Powerとかいう物を出して話題になっていたな。

 子供のころの話だけど。

 たくさん話したが実は全然研究をしていない国もある。

 それはそれでいいと思う。

 そう言う国があることで自然も守られていくしね。

 何よりそういう国がないとよく見る異世界じゃない!

 まあ自分の行動と言っていることがまったく一致していないんだけど。

 まあいいか。

 ってことで俺の説明はお終い。

 兄さんに返すよ。


 はい。

 こっちも説明が終わったところだったよ。

 説明が終わったくらいに列車のドアが開いた。

 ちなみに他の貴族(王を含む)達はみんなポカーンとしている。

「んっっっんあぁぁぁ!」

 そう言いながら背伸びをしながらアルターが出てきた。

「ここどこですか?」

「アルター! 手伝って!」

 奥からネロ―の声が聞こえてきた。

 アルターが急いでもどり、数十秒するとリサを2人で支えながらやってきた。

「先生、乗り物酔いしちゃったみたいです」

「あ、酔っちゃったの?」

「は、はい。あまり、乗り物に、乗ったことが、なくぅ、ってですね」

「とにかくどこかで休んでな」

「私が面倒を見るよ」

 そう言ってきたのは光だった。

 とりあえずリサを光に預け、全員が降りたことをクラスの学級委員に確認してもらい、列車をインベントリにしまった。皆さんはいったい何時までポカーンとしているのでしょう。

―顔文字であらわしてみてよ。

 顔文字?

 ・・・。

 ( ゜д゜)

 こんな感じ?

―うん。上出来。

 上から目線ですか。

―そんなことないよ?

 あ、はい。

 ポカーンが治り、会話できる状況になるまで30分くらいかかったのは別の話。

おそらく1日後の同じ時間に次が投稿されると思います。

されなかったら察してください。

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