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23話 王都の話

前回のあらすじ:

陽と光と闇が作ってくれたご飯がめちゃくちゃ美味しかった。駅弁より断然いいね。

今回も長いですよ。

―あと10分くらいで王都に着くよ。

 あ、もう着くの?

―もうと言われても出発してから2時間くらい経っているんだよ?

 え?

 俺はずっと周辺の警戒をしていたから気づかなかったよ。

―1回敵が出てきただけなのに警戒しすぎだよ。

 これくらい警戒しておいた方がいいでしょ。

―確かにそれに越したことはないけどさ。

『イン、少しいいか?』

 あ、カシさん。どうしました?

『今王都はどうやら犯罪者警戒時間に入っているらしい』

 犯罪者警戒時間?

―犯罪者を入れないようにするために1日に数時間だけ入場を制限する時間だよ。これがあると(くらい)が高い人しか入れなくなってしまうの。

 じゃあ俺たち入れないの?

『普通はそうなるのだが、入れなくなるのは地上だけだ』

 つまり?

『上空から入ればいい』

 確かにそれなら大丈夫ですね。

『だろう? いい考えだろう』

 いやいやいやいや、どうするんですか!

 やばい人扱いされるかも知れませんよ!

『確かに街中に着陸したらそうなるだろう。だがいきなり王がいる場所に降りるから大丈夫だ』

 それ本当に大丈夫なんですか?

『ダメだったら私が何とかする』

 あ、そういう感じなんですね。

 でもアルター達はどうするんですか?

『降りるのは私とインとヨウだけだ。コウとアンに生徒は何とかしてもらう』

 なるほど。

『そんな話をしている間についてしまうから準備をしよう。2人は合体できるか?』

 シス?

―一応できる状況にはなっているよ。でも分離してからあまり時間がたってないから反動がどのくらいになるかはわからないね。

『まあインなら何とかなるだろう』

―そうだね! (いん)なら何とかなるよ!

 俺を信じすぎじゃないですかね?

―『そんなことはないけど/が?』。

 あ、はい。

―じゃあ今のうちに減速しておこう。

 (よう)

『はいはーい。話は聞いてたよ』

「もう実行する気満々だよね?」

 なんせもう俺の隣に陽がスタンバイしているからだ。

「そ、そんなことはないよ?」

「嘘つけ」

「はい。嘘です、すいませんでした」

 陽は()()()()()()素直でほかの人はあまり素直じゃない。

 なんかね、アイドルにはね、裏の顔が必要とか言っているんだよね。

 ほんとかな?

「さて、くっつきまs、わぁ!」


「あ、あれ?」

(あん)? いつから強制的に合体できるようにした?』

『いやー、緊急時に必要かなと思って作ったんだけど実験が済んでなかったから、ね?』

―マスター、マスターと陰様は闇様によって合わさったのですよ。強制的に。

 あ、なるほどね。

―急いで準備しないと跳び遅れますよ?

 え!? まだ心の準備が!

―マスター! 早く!

 ああもうわかったよ!

―ドア開けるよ。


「目標はあそこだ。見えるか?」

 カシさんが指を指した先にはガラス張りの通路のような場所があった。

 あそこはおそらく王座があるところでしょうね。

『もうあの中には王や王都に在住している貴族の当主がそろっているよ。どうやら俺たちを迎え入れる準備はできているようだね』

「うう、緊張するよ」

「大丈夫だ。王は結構気が緩い」

『それ王って言っていいんですか?』

「しょうがないだろう。それ以外言いようがないのだから」

『そうこう話しているうちに真上だよ』

 そうはいっても遠くない?

『ここの高度は数キロあるからね』

 た、高い!

「行くぞ」

 そう言ってカシさんは列車から飛び降りて言った。

―マスター、行きますよ。

「もうどうにでもなっちゃえ!」

 私は大きくジャンプをして、列車に頭をぶつけながらも飛び降りて行った。

「いったーーーーーい!!!」


「王よ、その英雄殿はいつ到着するのですか?」

「確か今日出発したのではありませんでしたっけ」

「うん。情報によると今日にはつくらしいよ」

「何ですと!? ファステストからは相当な距離があり1ヶ月はかかるのかもしれませんぞ! そんな距離を1日なんて」

「そんなことあり得ないです!」

「まあ僕もあり得ないと信じたいんだけどカシは嘘を言わないタイプだからね。あり得るかもしれない。まあのんびり待ってようよ」

「王様、何かお飲み物をお持ちいたしましょうか?」

「じゃあ紅茶で」

「かしこまりました」

 メイドは気が利くね。


「お待たせしました」

「今日は何の葉?」

「今日は“アッサム”という葉でございます。遠征でとれたということでしたので分けてもらいました。すごくおいしかったですよ」

「あ、確かに美味しいね。いい色だし」

「お口にあったようでうれしいです」

「うん。ありがとう」

 やっぱり紅茶は美味しいな。父が紅茶を飲んでいてそれを分けてもらったのがきっかけだっけ。

 懐かしいね。

 父は見てくれているかな?

 きっと見てくれているd、

「バリン!」

 そんな音とともにガラスの屋根が割れて破片が落ちてきた。

 驚いて紅茶を吹いてしまったよ。

「何事だ!」

 周りにいた当主たちも護身用の剣を取り出したりして戦闘態勢になった。

「まあまて、私は敵ではない。剣を下ろせ」

 うん? 煙で見えないけどこの声はカシ?

「ゲホゲホ。前が見えないよ!」

 この声は誰だ?

 そして煙がおさまってきて誰が落ちてきたのかがわかってきた。

 2人いるようだ。

 1人はカシ。

 そしてもう1人は見たことないけどおそらく英雄でしょう。

 灰色の大きいパーカーを来た少女。

 でも何で1人しかいないんだ?

 情報では4人なんだけど。

 それにこんなに幼いという情報もないし。

「おお! カシ殿! よくおいでくださいました」

 ここにいる当主は6人。


 1.闇魔法(やみまほう)に優れた“ダーク家”。

 2.鍛冶や鉱石採取など金属関係に優れた“ダーラス家”。

 3.剣や槍などの物理攻撃に優れていてこの都市の防衛を監督している“ソーデレス家”。

 4.有名な商人を数多く輩出させている“ザース家”。

 5.王都のギルドや役所の仕事を引っ張ってくれている“インシャル家”。

 6.数多くの魔法師を育成したり王都の教育を引っ張ってくれている“マジケイション家”。


 この6つの家の当主が来ている。

 カシのことは全員知っているが私と同じく英雄のことは居るくらいしか知らない。

「それでそこにいるのは?」

 この言葉を発したのはソーデレス家の当主、ソーデレス・ダーガだね。

「お前たちが連れて来いといった英雄だ。2人しかいないが」

「2人だと? いったい何を言っているんだ? 1人しかいないぞ」

「おかしいのはお前の方だ。いつ姿は2人といった?」

「人というのは1つの身体で1人だ。カシ殿の方がどうかしている」

「落ち着いてくださいよ2人とも」

 なんかあーだこーだ言っているけどダーガが言っているのは正しいと思う。

 1人しかいないのになぜ2人いるといっているの?

 あとダーク・ザーシが何も言わないということは姿を消しているわけでもない。

 よくわからないや。


 陰、怖いよ。

『まあ少し待っていれば何とかなるよ』

 ほんとに?

『カシさんなら大丈夫だって。それにいつかは俺が姿を現さないといけないだろうし。にしてもカシさんは王様に対してもその話し方なのか』

 なんか周りの人も黙っているね。

『もう慣れたんでしょう』


~10分後~

「魔力反応も1つしかないぞ!」

「魔力反応に頼っていたらいつか負けるぞ?」

「なんだと!?」

『うん。大丈夫じゃなさそうだね』

 もうやだ、怖いよ。

「じゃあ証拠を見せてくれるかな? そうすれば納得いくでしょう」

『あ、来た』

「いいだろう。イン、すまないが出てきてくれないか?」

『あれ? 闇と(こう)無しで分離できたっけ?』

―できますよ。自分とシスがいないとですが。

『あ、なるほど。まあいいや。じゃあお願い』

――了解!/了解です。

―で、どうやるんだっけ?

―しっかりしてください、シス。あれをこうやってこれをこうするのですよ。

―思い出した。わかったわかった。じゃあやるよ。

 どうぞ。

『いいよ』

―レッツゴー!


「め、目が見えない!」

 あたりが強い光に覆われて前が見えなくなった。

 そしてその光が止むと姿が変わり2人になった人がいた。

「なん、だと?」

「ほら、言った通りだろう」

「で、ですが人が変わったという可能性も」

「それはないな」

 急に黙っていたザーシさんが口を開いたね。

「光が発しているとき私は魔法で目に入ってくる光を軽減して見えるようにしていたが確かに分離していた。周りから誰かが来た痕跡もない。だからカシが言ったことは正しい」

 ザーシさんがしゃべりだすと空気が凍り付くようなくらい寒くなるから怖いんだけどすごく頼りになる人なんだよね。

「じゃあ自己紹介をしてもらってもいいかな?」

「私じゃなくて本人に言ってくれ」

「俺はいいけど」

「私もいいよ」

「2人は兄妹なの?」

「兄妹ではないが少しさかのぼると血はつながっている」

「うん?」

 なんか兄妹に見えたから言ってみたらよくわからないことを言われたよ?

 え?

「落ち着け、自己紹介ができないだろう」

「ああ、ごめんね」

「俺は陰。なんか創造魔法が使える魔法師兼教師」

「私は陽。同じく創造魔法が使える魔法試験教師だよ」

「なんか改めて自己紹介をするのは違和感があるね」

「すまんな。こいつが何も知らないから」

「だって情報が来ないんだよ! それより後2人いなかった?」

「誰のせいでここにいないかわかっているか?」

「え?」

「お前が生徒を連れて来いとか言ったせいだ。今は見守り役として生徒たちのところにいる」

「あ、なるほどって、どうしたの? カシと陰?」

「カシさん」

「ああ」

 カシと陰が戦闘態勢に入っている。

 僕も当主たちも何で戦闘態勢になっているかわからない。

 すると、王都全体に爆発音が鳴り響いた。

「何だ!?」

 すると、裏からソーデレス家の1人が駆け込んできた。

「皆さん、都市内複数個所で爆発を確認! おそらくテロです!」

「構成は?」

 これに反応したのはザーシさん。

「今のところ不明ですが市民には手を出していません。おそらくこの爆発は動揺が目的、主な目標はここかもしれません」


 俺が戦闘態勢をとったのは敵がいる感覚がしたから。

 さらにレーダーを見ると敵の反応もあったから。

 絶対ここが標的だ。

 包囲されていて脱出はできない。

 今は敵の出方をうかがうしかない。

 っと、来たな。

『陰、敵が何か言うかもしれないから王が交渉しているときには手を出すなよ』

 了解です。

 そしてついに敵が動き始めた。

 敵は正面の扉と左右の窓から攻めてくる。

 窓からはあまり外は確認できないがガラス張りなので簡単に壊れる。

 すると、

「ガン!」

 そんな音とともに扉が大きく開き、テロリストたちが攻めてきた。

 その音を合図として左右の敵部隊もガラスを蹴り破り侵入してきた。

「全員床に伏せろ! 何もしなければ攻撃しない!」

 なんか懐かしいな。

―この状況が?

 いいや、学校のこと。

 『動くな! 手をあげろ!』っておふざけで言われて手をあげたら『動いたな?』とか言って攻撃されるっていう。

―何その理不尽。

 面白かったから良いんだよ。

 実際に攻撃されたわけでもないし。

―ならいいけど。

 そう考えながらも俺は床に体をつけた。

「それで、何の御用で?」

 王様がテロリストの隊長みたいな人にそう告げた。

「ほう? 王様は冷静なんだな」

「国民を受け持っている王ともあろう人がこんなことで冷静さを失ったらそれはいけないだろう」

「なるほどな。それはどうだっていいんだが。俺たちの目標は王を国民の前で公開処刑することだ」

「それが目的ね。じゃあ一応聞いておこうか。なぜ?」

「俺たちはうんざりなんだ。お前にすべてをゆだねるのが。王は居なくなってしまえと思ったんだ。その思いが集って俺たちのグループができたんだ。王を処刑し、俺たちが国を作り直す。そうすればすべての国民が満足になる」

 意外と考えがまとまっているな。

―まあ計画して実行するでしょう。それがたまたま今日だったってだけで。

 俺は運が悪いな。

「すべての国民が満足する国を作れるのか?」

「当たり前だ。俺たちのボスならば可能だ!」

「保証は?」

「保証? そんなものあったって無駄だろう」

 自己中心的な考えだな。

「国民の過半数が私にそう思っているのであれば喜んでこの位を譲ろう。だが今は違う。何故なら過半数の人が私で満足している。そして私は国民が参加できる政治をしているつもりだ。お前たちはそれを無視してこの攻撃を仕掛けている。違うか?」

 おお、王らしくなってきたな。

―これくらいできなきゃ王の位を継げないでしょう。

 それもそうかも。

「・・・がっかりだ。王なら抵抗は何もしないと思ったのだがな」

『陰、傷をつけるくらいにしてくれる? そうしないとおそらくくたびれない。殺しはしないでね』

 了解。少し痛めつけるくらいね。

『そう。それでいい』

「計画変更だ。公開処刑はやめてここで死んでもらおう!」

 男は腰に抱えていた銃を手に持ち、王へ攻撃するしぐさを見せた。

 俺はもちろん行動を開始する。

 シス、刀。

―どうぞー。

 シスにインベントリから刀を鞘から抜いた状態でとってもらい、俺の手元に出してもらった。

 そして【ワープ】を使用し、素早く隊長であろう人の背後に回り込み刀を振った。

 刀は相手の腰より少し上に当たった。

 感覚的にはものすごく痛いけれど傷は浅い。

 カシさんは俺の行動と少し時間をずらして行動開始。

 俺は素早く魔法で周りの敵を殺さない程度に攻撃。

 魔法は風。

 風を刃のようにして攻撃、傷を負わせる。

 そのあとふらついたところで近くへ行き闇魔法を発動。

 失神させその場に倒れさせる。

 それを全員に行う。

 まあ闇魔法だ風魔法だとか言っても結局は創造魔法なんだけど。

 敵の武器は銃で俺を見つけた瞬間に発砲してきたが今は結界を張っているので仮に当たっても大丈夫。

 そもそも加速魔法を使っているので当たりもかすりもしないのだが。

 全員が失神したところでカシさんが俺と同時進行でやっていた拘束も完了。

 こちらの損傷はなしで対処が完了した。

「陽、いつまで床に張り付いているの?」

「え、もう終わったの?」

「うん。終わった」

「早くない?」

「早くしないと何が起こるかわからないからね。自爆されても困るし」

 すると、陽が手を出してきた。

 手を貸してほしいのかな。

「わがままだね」

「いいじゃん。仲間にこうやって手伝ってもらうのは定番でしょ?」

「はぁ」

 陽の手をつかみ少し引っ張ってやった。

「ありがとう」

「どういたしまして」

「あ、あの、陰殿だったかな」

「はい、そうですが」

 話しかけてきたのがいかにも戦士と言わんばかりの装備を着た人が話しかけてきた。

―この人はソーデレス家の人だね。結構強いよ。

「今の攻撃は何だったの? それに早すぎて頭が追い付かなかったのだけれど?」

「ええっとですね。さっきのは・・・」

 この後ここにいる人から質問攻めにされた。

カシさんの場合、陰たちのことを『イン』などとカタカナ表記するのを忘れてしまっているかもしれませんがミスだと思ってください。

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