2話 2つと今の日常
前回までのあらすじ:
二人がくっついちゃった。スキルがチートだった。
あれから二日ぐらいたっただろうか。
すっかり創造魔法も操れるようになり、異世界での生活に慣れてきた二つ。
この体では睡眠やトイレなどが必要ないみたいなので、行動時間がほぼ二十四時間になった。
よし、今日はこれくらいかしらね。
『何してたの?』
ああ、食材の準備よ。いくら創造魔法があるからって料理とか食材準備とかはしたいし言ってしまえば私はそれ以外やることないから。
『まあそれもそうか。それで魔法で動物を出して俺に処理させると?』
いいじゃない、MPの回復速度早いしずっと見てるだけじゃ退屈でしょう?それに魔法は使っていかなきゃもったいないじゃん。無駄にレベル高いしさ。
『でも【チェンジ】は結構つらいんだぞ?連続は使いたくないよ』
【チェンジ】、それは体の動作権をチェンジさせる【固有スキル】。レベルは存在しない。
動作権を持っていない時はその体が向いている方向以外も好きに見れたりするが、感覚はあるのに体は勝手に動くといった不思議な感覚がすることになる。なのでたまに動作権をチェンジして体を動かしておかなければなまってしまう。
前世で普通の人間をやっていたとはいえさすがに長時間動かさないといったことがあると動かしたときにしっかり動かせないことがあるかもしれない。だからといって短時間で複数回行うと魂に疲労が起こるらしくその疲労が体に来た時には数時間ほど動けないらしい。
だがその時に動作権を持っていない人は代わりに魔法を発動させるといったことはできるので、そのせいでケガするといったことは両方休憩していなければすることはないと思う。レーダーもあるしね。
ちなみに魔法はいつでも二人は使えるようになっている。
完成!我ながらいい料理ができたんじゃない。
『お、完成しましたか。いったい何ができたのかね?』
ふふん。今日はカレーだよ!
『あれ?いつカレーを作れる道具を出したっけ?』
いつの間にか創造魔法付属スキルの中に【料理属性】が増えててさ、お試しってことで使ってみたらこうなった。
『へー。な、なるほどね。でも自分で作るのか』
だって個別スキルの中に料理があったんだもん。しかもレベルが最大の50だよ。
『もったいないな』
だから使ってるわけよ。
陽の個別スキルはこうなっている。
「個別スキル(陽)・感情解析Lv. 50 参考欄:陰にしか発動しません
・ 無表情 Lv. 49
・特技取込 Lv. 50 参考欄:陰にしか発動しません
・ 料理 Lv. 50 」
やけに陰にしか効果がないものばっかりなのだがそれは前世が影響しているだろう。いやさすがに影響されすぎではないだろうか。改めて思うよ、何だこのスキルは。
「『いただきます』」
うん!素晴らしい出来だね。でも私ってこんなに料理できたっけ?スキルって恐ろしいね。
『うまいなこれ。味がなんか・・・えっと、なんていうか、ちょうどいい』
ちょっと、何なのその感想は。でもそこが陰らしい気がする。
『あ、そうだ。明日ここ出るよ』
うん?どういうこと?
『このままこの森林にこもっているのもいいけどそろそろ街に行こう。じゃなきゃこの場所の状況がわからない。マップでわかることはあるけど噂とかそういう状況は入ってこないから』
それもそうだね。でもどこに行けばいいの?
『それを今、味を感じながらマップ見て考えてる』
なるべく治安がよさそうな街にしてよ。あと決まったら教えて、私もその町の状況を確認したいから。
『わかった。それより暗くない?焚き火に火をつけてよ』
それもそうだね。
「創造魔法、火属性、フレイム」
イメージ作成、方向指定、イメージ出力。発動。
近くにためておいた木の枝の山にめがけて火の玉が出てきた。火の玉は木の枝に当たり無事着火した。
『別にそれくらいだったら無詠唱でも全然いけるでしょ』
いやいやこれから街に行くのだから準備はしといたほうがいいじゃん。創造魔法は伝説上の魔法かもしれないしさ。
『確かに。あ、そうだ。あれ作ろうかな』
あれ?何なのあれって。
『ちょっと待ってて』
わ、わかった。変なことしないでね。
『創造魔法、無属性、スキル作成モード、スキル名:文字イメージ』
え?スキル作成?
『効果イメージ作成、レベル指定Lv. 50、イメージ出力。クラフト!』
―魔法発動確認。出力イメージ、入力開始。完了。スキル欄選択。
『スキル欄:共有スキル』
今の声はいったい誰?そして何をやっているの?
―選択確認。選択入力完了。出力開始準備完了。使用MP約25%、実行しますか。
『実行セーフティー解除、MP送信。出力開始!』
―MP確認。セーフティー解除確認。出力開始。
ねえ、何なのあれ?
『ああ、あれはスキル作成に出てくる声だよ。正体はわからない。ゲームにいそうな声だけどね』
ふーん、なるほどね。ところで何作ったの?
『【文字イメージ】だね。これがあれば魔法名から連想される規模の魔法を出してくれるスキルだよ。これさえあればイメージ作成の手間がないじゃん』
そうか、それがあれば発動スピードが変わるのね。便利だね。
『便利じゃなきゃ作らないよ。MP相当持ってかれたし』
でも操作に慣れてたね。まさか一回使ったことある?
『お察しの通りですよ。料理属性が急に現れたって言ってたじゃん。
うん、てことは?
『そう、俺が作った』
何で秘密にしてたの?別に言えばよかったじゃん。
『いやー恥ずかしくてね。なかなか言えなかったんだ』
なるほどね。陰らしいね。
『あはは』
―スキル出力完了。
『お、終わったみたいだね』
どれどれ。ほんとだ、しっかりある。
『よし、それはいいとしてご飯食べようよ。俺じゃ食べられないし』
そうだったね。わかった。
『うーん、これとこれどっちがいいかな?』
それは私が魔法で水を出しながら皿を洗っていた時だった。
どれとどれで迷ってるの?
『ああ、【ファステスト】って街と【サリジャン】って街』
早いとサリジャン?ネーミングセンスを疑ってしまうよ。
『それは名前を付けた人が悪いから』
確かに、あとそろそろ【チェンジ】してくれない?町のことみたいよ。
『はいよー』
このスキルは二人が息を合わせないと発動しない発動条件がめちゃくちゃ厳しいスキルでもあるみたい。とは言っても、
「『【チェンジ】』」
『合わせたくなくてもあってしまうからね』
『ふーん、どっちがいいか建物じゃわからないね』
うん、だから迷ってる。そうだ、人口見てくれない?あと割合も。
『わかったわ』
ていうか交換したのはいいけど俺が皿を洗う羽目になっているのか。
『ただで食べさしてあげてるからそれくらいしてよね』
はーい。陽がいいならそれでいいよ。
情報わかった?
『ええ、そっちこそ終わりました?』
終わったよ。インベントリにしまっておくよ。それにしてもインベントリに洗う機能とかないかね。
『そんな機能望んでもないわよ。それに自分でやる方がいいじゃん』
確かにね。で、人口はどうだった?
『それはね』
【インベントリ】、それは名前の通り色々なものを収納することができる【固有スキル】だ。
実は強くし過ぎで収納可能量を無限にしてしまった。さすがに私からの贈り物と言っても強くしすぎちゃったかな。でもあげてしまったから簡単には戻すことはできない。
どうしようかな?修正した方がいいかな?でもこれはしょうがないかな?
ちなみに創造魔法はあげてないからね。
「いったい何を一人てつぶやいているの?まさか姉さんと兄さんのこと考えてるの?」
「あれ?もう今日の訓練は終わったのか?」
「あれぐらいすぐ終わるでしょ」
「私にそんな聞き方はどうかと思うけどな」
「私はお兄ちゃんとお姉ちゃんが良ければいいからどうでもいいなー」
「え!?二人とも終わってるの?早くないかな?きつくしてあるはずだけどな」
「「あれがきついに入るの?」」
「・・・もういいよ、二人はもう十分強くなってるよ」
「それで今の状況はどうなの?私早くお兄ちゃんたちに会いたいよ」
「いま街を決めているところみたいだよ」
「明日にはでると」
「ああ、そのころには転送してあげるから」
「はーい。待っててね、お兄ちゃん♪」
「姉さん変な人と絡まないでね」
この二人が行ったころにはもっとこの世界が崩壊している気がするよ。
頼むから管理が難しくなるようにはしないでね、陰、陽。




