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17-1話 闇の科学技術の結晶

前回のあらすじ:

カシさんじゃなくて鸞さんが無茶ぶりを言ってきた。でも楽しそうだから頑張る。

~3日後の午後~

 う、うーん。

 いつの間にか寝てしまったか。

 早く起きて(あん)の手伝いをしなきゃ。

 今日の最高気温は30℃超えって言ってたから相当大変だと思うし。

 俺は今たぶん木の下にいるから涼しいけど。

 目を開けると上を向いていて目の前に美冬がいた。

「おはよう、(いん)。よく寝れたかな?」

「おは・・・よう?」

 今の体勢は美冬(みふゆ)に膝枕をしてもらっている状況だった。

 俺と美冬が直角線上にいるのではなく一直線上にいた。

 だから美冬の上半身が俺の後ろにあるわけだ。

「俺いつから寝てた?」

「大体1時間前くらいかな」

 1時間も寝てたのか。

 今の作成状況はどうなっているかな?

 俺が立とうとすると美冬は心配そうな表情をした。

「起きてからそんなに立っていないのに作業始めるの?」

 なるほどね。心配するわけだ。

 俺は美冬の頭をなでながら言った。

「そうしないと間に合わなくなるかもしれないから」

「無理だけはしないでね」

「わかった」

 美冬ってこういうときって母性があふれている気がする。

 やっぱり落ち着くな~。


「おーい、今どんな、じょう・・・きょう?」

「あ、兄さん。起きたんだ。おはよう」

 目の前には機械類はまだつけてないと思うけど外観と内装、塗装まですべて組みあがった十両編成の新幹線が2編成あった。

 めっちゃ大きい。やばい。

 語彙力が無くなるぐらいやばい。

「あれ? 俺が起きていた時はまだつなげていないし塗装すらしていない金属板の状態だったよね?」

「確かにそうだったね」

「なのに何でこんな状況に?」

 美冬によると俺は1時間しか寝ていない。

 1時間でここまでできるのか?

「確かに自分でもどうやってここまで出来たかわからない。兄さんが寝て美春(みはる)と美冬が回収しに来てそのあと頑張ろうって思って手を動かしたらこうなっていた」

 塗装は黒色の上に赤・青・黄・緑・紫・白の線が規則正しく格好良く交わっている。これは俺が希望した。びっくりするぐらい希望通り。イメージ図なんて渡していないのによくここまで完璧にできたね。

―それなら私が陰のイメージを絵にして闇のシスに送っておいたよ。

 なんだ、だからこんなに希望通りだったのか。しっかり説明がつく。

「まだ機器類は何も取り付けてないから手伝ってくれる?」

「わ、わかった」

 現在時刻は13時だからできれば19時までには終わらせたいな。

「それは無理だと思う。多分徹夜コース」

「え?」

「何せ十両もあるから大変だし何しろ電気の配線を組まなきゃいけないから相当時間かかると思う」

「それ出来上がる前に体の限界が来るんじゃ?」

「それは大丈夫。いざとなったらここでキャンプできるしおそらく今日は姉さんと(こう)が生徒全員を連れてくるから」

「それもっと疲れるんじゃない?」

「兄さんならできるよ」

 は、はぁ。

 昨日とかは切りが良くなったら切り上げていた。

 でも今日はここまで来たから終わらせたいという闇の強い意志が見られる。

 ・・・よーし! やってやるさ!


16:00

「とりあえずこれで照明はいいかな」

 3時間やってやっと照明?

 これ今日中には終わらなさそう。

『頑張って終わらせる気で行こう』

―頑張れ! 陰!

 あ、はい。頑張ります。


17:00

『これで運転席周辺の機器は完了だね』

 まだこれの方が照明より簡単っていったいどうなっているの?

『俺の技術で一つのケーブルで制御できるようにしておいたからね。しかもシスと連動機能付き』

―私が連動して何ができるの?

『それは使ってからのお楽しみ』


18:00

 これをここにつけてこのケーブルをここにつけて。

 ええっと次のパーツはどれだ?ってつけるやつ間違えた。

 交換しなきゃ。

「せんせー!」

 うん? この声は?

「せんせー! みんなでご飯作ってきました!」

 アルターにグロウ、ほかのみんなまで来てくれた。

 実はまだ全員の名前が覚えてられていない。

 早く覚えなきゃ。

「ありがとうみんな」

「いえいえ。頑張ってくれている先生たちにお手伝いがしたいと思いまして」

「そんなことしなくてもいいのに」

「私たちは先生に魔法を教えてもらっているんです。これくらいのことはさせてください」

「あ、そう?」

「はい!」

「じゃあとりあえずみんなで食べようよ。せっかく作ってもらったんだし」

「いいんですか?」

「たくさんいた方が楽しいから」

「それなら」

 シス、インベントリにでっかいレジャーシート入れてなかったっけ?

―入ってるよー。

 それここに敷いてといて。

―了解。


18:30

「最近魔力量が増えて高難易度の中の弱い魔法が使えるようになったんですよ!」

 上級魔法は一番弱い魔法を発動するだけでもびっくりするぐらいの魔力が持っていかれる。

 だから施行するのすら難しい魔法だ。

 まあ俺たちは創造魔法だし滅茶苦茶燃費もいいから気にしないで連発できるんだけど。

「そういえば進捗はどうなんですか?」

「内装とかはできたからあとは走行に必要な機器を取り付けるだけだよ」

 みんなは設計図が書き終わって作り始めた時に覗いてきたから完成予想図を配ったら学校中に響くぐらいの音量で驚いていた。

 だからもう実物は驚かないのだろう。

「乗ってみていいですか?」

「いいよ」

 返事した瞬間すごい速さでアルターはドアの前まで走っていった。

 まだドアは開けていないのに。

 何をするか察したのかほかのみんなまで走っていった。

 でもグロウだけ残っている。

「どうしたの? 行かないの?」

「あんな大人数居たら迷惑になるかと思って。たった一人で変わるとは思えませんけどしないよりはってことで」

「迷惑じゃないから行っていいんだよ」

「そう言ってくれるなら僕も行ってみます」

 グロウは走っていなかった。別に気にしなくていいか。

 にしてもすごい即答だったね。

―グロウはこういう物好きそうだからね。

「先生、これどうやって開けるんですか?」

 無理やり力で開けようとしないで! 壊れる!

 闇! 早く!

『今まだご飯食べてるから兄さんやっといて。開け方は運転席に行けばわかるから。ちなみに今は遠隔操作できないよ』

 ワープ!

 ええっとどれだ?

『タッチパネルを操作して車掌モードにしてみて』

 あれをこうしてパスワードを入力してメニューに行ってこれを押して次はあれでこうして。

 よし、車掌モードにできた。あった、ドア開閉ボタン!

「みんな、ドア開けるから触らないでね」

 よし、全員離したね。

 ドアオープンっと。

 そしてドアチャイムと同時にドアは開いた。

 かと思ったら途中で止まった。

 タッチパネルに表示されているのは魔力不足。

『そういえば全然充電していなかったや。俺が充電しておくよ』

《魔力充電を確認しました。ドア開閉を再開しますか?》

 はいっと。

 止まっていたドアがまた動き始めてやっとドアが全開になった。

「お邪魔しまーす」


19:00

 やっと片付けが終わった。

 もう遅いからみんなに帰ってもらったのはよかったけどさすがに二人で片づけるのは大変だった。

「お疲れ、陰」

「あ、(よう)

「闇はしっかりお兄ちゃんの役に立ってる?」

「うるさいな、光」

 今度は陽と光が来てくれた。

 二人なら作業しながらでも会話ができるから作業を再開しようかな。


 それで授業の方はどうなの?

『最近はいろんな先生にした方がいいことを教わって頑張っているよ』

 この学校の先生は全員魔法に関しては一流の人たちが集まっているので鍛え方は熟知している。

 まあ俺達にはそれが効かないんだけど。

―別に教えてもらわなくてもできるくらい使いこなしているからいいんじゃない?

 まあね。

 ちなみに一部の先生は俺たちが別世界の住人だったことは知っているけれど生徒は誰も知らない。

 石碑には俺たちの名前はあったものの転生、てんせ・・・転生者? 転移者?

 どっちなのかよくわからないけどそういう事は何も書いていなかったらしい。

『みんなしっかり取り組んでいて成長はすごく早いよ。休み時間は教室がうるさくなるけど』

『それぐらいはしょうがないでしょ。みんないろんな人と話したくなるもん』

 孤独な人はできていない?

『大丈夫。みんな結構魔法の知識は結構持っていてそれがきっかけで話し始まっていてみんな元気に話しているよ』

 それなら安心。

『兄さん、そのケーブルつけるところ逆だよ』

 あ、本当だ。

『陰は会話しながらほかのことやるのが苦手だからね~』

 うるさい、陽も昔はそうだっただろう。

『昔はね。今はしっかりできる』

 俺もできるようになったらいいのにな。

―体私が動かそうか?

 そういう方法もあるのか。でもいいよ。

 こういうのは自分でやりたい。

―はーい。

 少しがっかりしているように感じるのは気のせい?

―き、気のせいだよ、あはは。

 まあそういう事にしてやるか。

『この号車は終わったよ』

 あとどのくらい?

『6号車くらいかな』

 これ今日で終わるのかな?

『だから徹夜コースって言ったじゃん』

 な、なるほど。

 嗚呼、早く終えて美春たちのところに行こう。

「呼んだのだ?」

 あれ? 来てくれたの?

「さっきからずっと木の下にいたけど」

 え?!

「もう、インは私たちのこと気づいていなかったのだ?」

 う、うん。ごめん。

「久しぶりに魔力操作の特訓をしていたからあまり気配を感じなかったかもね」

 そ、そうなんだ。

『兄さん、つけるパーツが違う』

 あ!?

 やっちゃった。固定もほぼしちゃったから外すのが大変。

『やっぱりお兄ちゃんは同時進行苦手だね』

 う、うるさーい!

「陰、ちょっとこっち来て」

 うん? どうしたの、美冬。

「いいから」


 はいはい、どうした?

「ちょっとここに寝っ転がって」

 ここの芝生?

「うん」

 よいしょっと。

「ちょっとの間我慢しててね」

 我慢って?

「【オールヒーリング・プロフェッショナル】」

 なるほど、だから我慢なのか

「うん、そういうこと」

 この魔法は体の倦怠感や怪我などを治す魔法。プロフェッショナルがついている意味はこの魔法にもいろんなレベルが存在するから。

 イージー、ノーマル、スーパー、ハイパー、マスター、ウルトラ、プロフェッショナルと上がっていく。

 体の倦怠感や怪我などを局所的に治す【ヒーリング】も存在する。

 そっちの方が魔力消費や難易度が落ちるのだが局所的になので体全体を治すのには向いていない。

 開発された時期は【ヒーリング】の方が早いって本には書いてあった。よね?

―うん。そう書いてあったよ。それで全身に傷を負った人には使いづらいということで【オールヒーリング】が開発されたんだよ。でも必要魔力が多いからレベルごとに分けてなるべく抑えようってなったみたい。病院にはどういう怪我にどのレベルを使えばいいかのマニュアルがあるらしいよ。

 しっかり使い分けができているってことか。

―そういう事。開発に3年かかったらしいけど。

 それだけ魔法の開発は大変ってことか。

―これが開発されたころは機械はあまり普及していなかった頃だから余計時間がかかったのかもね。

 なるほどね。

「はい、お終い。どう? 疲れ取れた?」

「うん、だいぶ体が楽になったよ」

 疲労も取ってくれるってやっぱりすごいね。

 この魔法には特性がある。自分で自分にかけられないという特性だ。

 俺もこの魔法自体は使えるのだが自分には使えないため使うことができなかった。

 しかも魔力が結構持ってかれる。

 無くなりはしないのだが残りが少なくなる。

 実は今やっている作業にも魔力と使っている。

 なにせ一人では機器を取り付けるためにネジやナットとつけるのが滅茶苦茶大変。

 だからつけようとしている物に【飛行(フライ)】をかけて浮かせながら取り付けている。

 【飛行】の魔力消費は物の重さに比例する。

 取り付ける物はすべて30kgは超えているから魔力消費が案外多い。

 これならまだいい。魔力は無駄にあるから。

 だが問題になってくるのは留めること。

 【飛行】は普通空を飛ぶのにつかわれる。

 だからその場に留めることは想定していない。

 そのため多少の誤差は関係ないということで消費魔力削減のためにその場に留める機能を持たせていない。

 それではどうなるか。自分で位置を調整しながら締めなければいけない。

 これがびっくりするほど難しい。

 恐ろしいほど精神を削ってくる。

 あとでそのところを改善した【飛行】を作ろう。

 てなわけで疲労が蓄積してミスを連発したってわけ。

 ミスは疲労関係ないかもしれないけど。

 でも美冬に治してもらったから体が動くようになった。

 ありがとうね、美冬。

「陰の役に立てたならそれだけでうれしいよ」

 よし、作業を再開しますかね。

システムメモ2を少し変えました

見た人はもう一度見た方がいいと思います

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