16話 まさかの出会い
前回のあらすじ:
アルターが中心となり一斉攻撃を仕掛けてきた。けれど失敗に終わり陽たちに返り討ちにあった。
俺と闇はカシさんに呼ばれたのでカシさんの後をついていっている。
俺たち怒られるのかな?
『どうだろう。怒ってるようには見えないけど』
ていうかここはどこ?
『ここは研究棟だよ。魔法の研究とか校長室とかがある棟』
じゃあ校長室に連れて行かれるのかな?
『説教だけはやめてもらいたい』
「ついたぞ。とりあえず座ってくれ」
案の定、校長室に連れて行かれた。
いったい何が始まるのだろうか。
「とりあえず紅茶でも飲んでくれ。あと説教するつもりはないから安心せい」
「本当ですか?」
「ああ、あれぐらいで怒るようなことはしないよ」
よかった。とりあえず警戒を解けそう。
「じゃあなんで俺たちを?」
「ちょっとお願いしたいことがあってね」
「お願いですか」
「ああ、さっき私が誰かと話をしていただろう」
「はい」
「その要件は王都からの手紙だったんだ」
王都から?
―王都はここから約1500km離れているところにあるよ。
ずいぶん遠いな。
―王都は海に面していてビーチが観光名所の一つになっているの。今はちょうど夏だから気持ちいだろうな~。
1500kmも離れているんだからそう簡単にはいけないでしょ。
―それは確かにそうだけどさ。夏の時にはいきたいな。カシさんからお願いされたり?
それはないでしょ。
―お、フラグかな?
いやまさか。
「それでその手紙にはなんと?」
「“ファステストの英雄4人とその生徒たちとカシに王都にこの夏、王都に訪問することを命ずる”と書いてあったそうだ」
・・・・・は? はぁ?!
『見事なフラグ回収。お疲れ様です』
―さすが陰だね。いや、これこそ陰って感じだね。
いやいやいやおかしいでしょ! なんでこんなにピンポイントに来るのさ!
―『陰/兄さんだから』。
二人で声を合わせなくてもいいんじゃない?
『声は出していない』
そんなことはどうでもいいでしょ!
「あいつは馬鹿なことを言ってくれる。ここから王都まで短くても一か月はかかるというものを。それに大勢での移動となるともっと期間が長くなるだろう」
「夏が終わってしまうじゃないですか」
「そうだ。文句を言おうとしたが連絡手段をすべて使っても尽く応答がなかった」
王都に逆らったらやばいことなんて目に見えている。だけどこれはどうすれば。
「そこで二人に・・・いや、正確には四人だな。四人にある依頼をする」
「依頼とは?」
「高速で大勢が移動できる手段を作成してほしい」
ああ、なるほど。そういう事だったか。
・・・What?
おっと、あまりの驚きに英語が飛び出しちゃった。
「それ本当に言っています?」
「ああ、本気だ」
「えぇ?」
いったい何を作ればいいんだ? 車も速いは速いけど高速って程でもないから。
「例えば新幹線とかだな」
新幹線? ああ、新幹線か。・・・新幹線?!
なぜこの世界の人が新幹線のことを知っている?!
そう思っていたら急に闇が立った。
「そろそろ正体表したらどう、カシさん。いや、八丁 鸞」
八丁? 俺と同じ名字?
「ははは。演技は上手だったと思ったんだけどな。さすがに闇には気づかれちゃうか。陰は気づいていなさそうだけどね」
そういうと視界が一瞬真っ白になった。何かの光か何かに目がやられたのだろう。
光が落ち着いてやっと目を開けれたと思うとそこには20代前半の見た目をしている男性がいた。
カシさんがどこにも見当たらない。周りを見てもレーダーを見てもいない。
「インが覚えていないもしょうがないかな。あったことがないしあまり写真も残っていないと思うし。でも何で闇は知っていたの?」
「俺は初めてあった時に何か懐かしい感じがして解析していたらあなたの情報が出てきたの。光も同じような感じだと思う」
「まさか光にまで見破られているとは。もっと練習しなきゃ」
「もう正体を現したから意味ないでしょ」
「それもそうか」
「まだ前の姿の口癖が治っていないじゃん」
「演技って言っても長時間やらなきゃならないから大変なんだよ」
八丁 鸞。どこかで聞いたことがあるような?
名字が同じだから祖父母とかかな? でも祖父母はそんな名前じゃないはずだし。
曽祖父母もそんな名前じゃなかった。
じゃあ高祖父母かな? 確か高祖父母の名前は母が八丁 藍菜で父が八丁 鸞だった気がする。・・・うん? あ!
「やっと陰も気づいたみたいだね」
「あなたはまさか、高祖父?」
「そう、4人の高祖父の八丁 鸞だよ」
え? 4人?
『俺と姉さんも八丁 鸞が高祖父なんだよ』
そうなの? てことはつまり?
『実は俺と兄さんは血のつながりがあったってことになるね』
―陰を解析してもそんな情報は出なかったけど?
『高祖父だから結構薄まってるんじゃない?』
もう何が何だか分からなくなってきた。
「そろそろしゃべっていいかな?」
「どうぞ」
「僕が八丁 鸞であり君たちの高祖父であるってことまでは理解してもらえたかな。それで本題は高速な乗り物だったね」
「そこで何で新幹線が出てくるの? それに今から線路を引く時間なんてないんじゃないの?」
新幹線は線路の上で走る。当然ながら目的地まで線路が引いている必要がある。
今から引いてもとても時間が足りない。
さらに線路の材料の鉄を作るにしても集めるにしても時間が圧倒的に足りない。
そう考えていたら答えが出てきた。
「線路をひかなければいいん話じゃない?」
・・・。さてと、まずはこの言葉の解読から始めなきゃかな。
「いったい何を言っているんだって顔をしているね、二人とも」
「いや、こんなことを聞いたらすべての人が同じ反応をすると思うよ」
「外国人は意味が理解できないからポカーンってなるんじゃないのかな?」
俺の高祖父ってこんなに屁理屈を言うんだね。
『屁理屈とはなんだ、イン』
この時だけカシの口癖を使うんだね。
―ねえ陰。あの人からの通信をシャットアウトしていいかな?
やめてよ、何か話すかもしれないじゃん。
―むぅ。
か、可愛い。
―え?
「線路をひかないって言い方は悪かったかもしれないけど実際にはそんな感じなんだ」
なんか難しそうな話になりそう。
「魔力は固まってると恐ろしい強度があるんだよ。でも大抵はその強度になるように密集させることができないんだ。僕にもできない。でも陰は魔力の操作に優れていて闇は機械などの電子機器関連に優れている」
「俺魔法の制御は苦手だけど」
「魔力の操作と魔法の制御は別物なんだよ」
へ、へー。そんなのどの本にも書いていなかったぞ。
そもそも魔力操作について書いてある本すらなかったんだけど。
「二人が力を合わせれば夢の空飛ぶ新幹線みたいなのが作れるかもしれないってわけ」
可能なの?
『技術は足りているから大丈夫だと思う。新幹線も2日あればできるだろうし空に線路を引くのも兄さんの力を借りれば可能だと思う』
それパソコンないと設計図書くのもめんどくさいし何より時間かかるんじゃない?
『パソコンはあるし大体の設計図は完成しているからあとはそれらを新幹線向けにカスタマイズすることで作ることはできると思うよ。俺のカスタマイズにも限界があるだろうけど兄さんも手伝ってくれれば現時点では完璧に近いものができるかもしれない』
・・・。
もう言葉が出ないよ。
パソコンあるだけで驚きなのにさ。
「でもこの世界なんだから何かしらの必須装備とかあるんじゃないの?」
「さすが闇だね。そう、その装備が二つあるよ。一つはステルス機能。これはあまり多くの人に見せないためだね。二つ目は武装」
ぶ、武装? また物騒なものを。
―狙った?
狙ってない。決して狙ってない。
「何か武装に条件があるんですか?」
「飛び道具ってことと魔力で動くとぐらいかな。弾が有限だったら困るからね」
また開発がめんどくさそうなものを。
『これは本当に面倒くさい。まだ開発すら始めていないし威力もそこそこにしなきゃいけないしいろんなことが面倒くさい。時間がかかるかも』
―それは私がやっておくよ。闇に頼んでおいたあれもできているころだろうし。
『そうか、兄さんのシスならあれがあればすぐ終わるか』
あれ? ・・・あれ?
「ほかに聞きたいことはあるかな?」
「特にないね。また何かあったらこっちから出向くよ」
「わかった。それじゃあ僕はあの姿に戻りますかね」
戻るってことはまた視界が真っ白になるんだね。
―私、あれ嫌い。
―我慢ですよ、お姉様。
―そんなこと言われても我慢できないものはできないんだもん。
―頑張ってください。
―陰! 助けて!
俺にはどうすることもできないよ。
―陰ならできると思ってたのに!
出来ないものはできないの。ていうかもう終わったよ。
―へ? あ、本当だ。カシさんの姿に戻ってる。
「さて、話もこれくらいだ。解散していいぞ」
それじゃあさっそく作り始めますかね。
「第三運動場をしばらく貸し切り状態にするからそこを使うといいぞ」
それはどうも。
『陰はお礼を言葉として話すようにしなきゃね。僕だからわかるけどほかの人は大抵わからないんだからね』
姿がカシさんの時は通信が鸞の声なんだね。
『どうしても共有できなかったからこうなったんだよ。我慢してね』
わかった。
それじゃあとりあえず陽たちに現状を伝えてから作業に取り掛かりますかね。
『了解、兄さん』
・・・これ本当に間に合うのか?
次回はシステムメモなので本編ではありません
最近魚が急に食べたくなってきました
理由はシステムメモでわかります




