14話 それぞれの朝(闇)
前回のあらすじ:
姉さんが兄さんと一緒にギルドを滅ぼした。やっぱり二人合わせると強いね。
「ご主人様、朝ですよ。起きてください」
んー。もう朝なの? 早くない?
「そういっても朝なんです。起きてください。今日は光様にあれを紹介する日じゃありませんでした?」
あ、そういえばそうだ。なら早く起きなきゃ。
いよっと。あー、朝日がまぶしい。
「おはようございます、ご主人様。今日の気分はどうですか?」
「おはよう、悪くはないよ」
起きたところにはメイド服の頼れるお姉さんみたいな見た目の女性がいた。
この人はシスだ。先日、自分の解析をしていたら実体を生成する機能を発見したらしく、その機能の解析を進めて昨日、ようやく実用できるくらいになったと言われたから朝に見せてほしいと言ったら嬉しそうに承諾してくれた。
「何飲みます?」
「あったかい牛乳で」
「わかりました」
じつはこの世界の本当のメイドはもっと敬語を使っていて、最初シスもそうしていたので少し敬語の・・・なんていったらいいかな? 敬語の・・・うーん。少し私語に寄せてっていたらいいかな。とりあえずそんなとことしてもらった。
敬語だらけだと自分がなんかいやだったからそうしてもらった。
「どうぞ、一緒に食パンも置いておきますね」
「この世界に食パンなんてあったっけ?」
「お姉様が作っていたので分けてもらいました。なんでもお姉様の自信作らしいですよ」
ふーん。兄さんのシスがそう言うなら相当おいしいんだろうな。
「私も少し味見しましたが絶品でしたよ」
それじゃあ俺も食べてみようかな。
「いただきます」
ん!? なんだこれ、超うまい! 手が震えるほどおいしい!
パンのカリッとした音の後に広がるバターの味とパンの味が絶妙な具合で感じてもう言葉にできないくらい美味しい!
「私も驚きました。こんな食パンがあるなんて」
シスの記憶にはそれぞれの前世の記憶が記録されていてこの世界の情報と前世の常識も入っているので普通もわかる。
「これどのくらいで作れたの?」
食べ物の生成は相当難しい。兄さんのシスなら一日で終わるけどほかのシスでは同じ作業でも五日はかかる。それぐらい兄さんのシスは食べ物に関しては早いけどこの味を作るには相当な時間がかかる。
でも長くても十日ぐらいだろうけど。
「詳しい数字はわかりませんが数十日だったそうです」
「数十日!?」
「食パンはこの世界には存在しないため前世の記憶から味を持ってくることしかできなかったそうです。なので普通の食パンの味を調べるのにも相当かかってそこからさらに絶品にする作業が必要だったのでそのくらいの期間を使ったそうです」
それなら納得かな。
「ですがスーパーコンピュータくらいのパソコンがあれば処理をパソコンに任せられるのでパソコンがあれば期間は短くなるそうですよ」
それじゃあ今度普通に使うと明らかに過剰スペックのパソコンを作るかな。そうすればいろんなことにも使えると思うし何より自分で作れるからそれくらいのものを作ってみたいよね!
「私はご主人様が良ければそれでいいですよ」
それじゃあ今度作ろうか。
「わかりました」
とりあえず今はこれを食べて光にこいつを紹介しに行きますかね。
美味しいからもっと食べたいくらいだけど。
「設計図をもらえるか聞いておきましょうか?」
おねがい!
「わかりました」
よし、着替えも済んだし光の部屋に向かいますかね。
にしてもこの教師の服装は少し恥ずかしい気がする。
「行ってらっしゃいませ、ご主人様」
「行ってきまーす」
ええっと、光の部屋はどこだっけ?
―ご主人様、私たちの部屋の右の部屋です。
右? あ、ほんとだ。
「ノックはしなきゃね」
「コンコン」
「はーい」
「闇だよ、入っていい?」
「いいよー」
お邪魔しまーす。あまり私物は見当たらないね。インベントリにしまってるのかな?
「何それ?」
おっと、言う前に食いついてきたか。
「ノートパソコン」
「え?」
「昨日言っていた仕事というのはパソコンを作る仕事だったの」
「ゼロから?」
「ゼロから」
そんなに驚くことなのかな?
あと俺はパソコンを広げる気は無い。この世界を破壊しないようにしなきゃだから。もう開発されているなら別の話だけど。
『ちょっと何言ってるか分からないんですけど。なんでこの世界にパソコンが存在するの?どうやって動くの? この世界にコンセントなんてものは存在しないけど』
なんだ、意外と普通に驚いてるね。光だから違うこと気にしているのかと思ったけど。
いや、コンセントのことも気にしてるから十分違うところ気にしているか。
「全部聞こえてるよ」
「ガチャ」
「あれ? シスも来たの?」
ドアから入ってきたのは俺のシスだった。
俺のシスってなんかおかしいかな? でもこれ以外に言い方がないからね、しょうがない。
「ご主人様だけでは説明が出来なさそうだったので」
「それって心配しているってこと?」
「はい」
俺ってそんなに説明下手だっけな?
―自分では気づかないことも人にはありますよ。
あ、はい。
「こんにちは、お姉ちゃん」
「こんにちは、元気?」
「おかげさまで元気です」
そういえば姉妹だったね。これは俺が設定したのではなくて最初からシスの設定としてあった。変えることはできなくてする気もない。
『呼び方考えなきゃね』
やっぱり光も気づいたか。
俺の意見くらい話しとかなきゃ。
『確かにどうにかしないと紛らわしいね。光のシスは姉さんのシスをお兄様、兄さんのシスをお姉様と呼んでいるて、俺のシスは姉さんと兄さんは同じ呼び方で光のシスのことは・・・なんて呼んでるんだろう? まあそれはとりあえずいいとして問題は姉さんと兄さんのシスだね。今のところあまり呼んでいないからいいけどこれからはたぶん呼ぶ機会が増えてくる。その時までに決めておかなきゃ』
複雑に言ってしまったかもしれない。まあ光なら大丈夫か。
『そこまでみんなのシスのこと知ってるの?』
光は目の付け所が違うな。
『俺のシスは情報収集も得意だから』
『すごいね』
『光のシスも何かそういう得意なことを持ってるはずだよ』
『本人って知ってるの?』
『いや、みんなと比べてみて初めて分かるから多分今はわからないと思う』
実際俺のシスも最初はわからなかった。でも一緒に作業していくのと同時にわかっていった。
「ご主人様、そろそろ説明の続きをした方がいいのでは?」
「ああ、そうだね。このパソコンは魔力で動いているよ。バッテリーもあるから安心してね。バッテリーは魔力をためておくやつ。電気じゃないから気を付けてね。まあ気を付けなくてもいいぐらい容量は大きくしているけど。それに切れてしまってもすぐ俺らなら充電できるだろうけど」
このパソコンは魔力から電力に変換して動かしている。
さすがに魔力で動かすようにするのは俺の魔力技術が足りない。
まてよ、これを応用すればもっといろんなものが作れるかもしれないな。
魔力自動車とか魔力電車とか。無限の可能性があるね。
今度何か作ってみようかな。
自分で作る前に誰かから頼まれる方が可能性高いけど。
「どのくらい持つの?」
「ええっと、どのくらいだっけ?」
「およそ二日間です。性能をフルに使っても一日持ちます」
「それって結構すごくない?」
「前世のいろんな会社の機能をてんこ盛りしたやつだから性能も結構高くて電力消費量も少なくて冷却性能も結構上げているからノートとしては結構すごいやつになったよ。でもデスクトップには劣るけどね。ちなみにデスクトップは作れるけど今はいらないと思うから作ってないよ」
性能を併せ持たせるのは相当大変だった。
いろんな会社がいろんな方法でいろんなものを使っていろんな機能を持たせているから繋ぎ合わせるのが相当苦労した。
つなげるだけならまだ楽だが繋げてもすべての性能がフルに使えるようにするのが難しかった。
性能が、どうでもいいならつなげるだけでいいけど電力消費が無駄に上がってしまって大変なことになる。
電力消費が上がるなら性能も上げた方がいいからここは頑張った。
設計図はもう作ってあるからもうその作業はいらない。
性能をこれよりも高くしようとすると修正が必要になったり回路を修正しなければならないけど。
「そんなに簡単にできることなの?」
「シスもいたからできた感じ。あ、これは俺のやつだから光のは少し待ってて。デザインを聞いてから作りたくて」
「これ使い勝手はどうなの?」
「前世の感覚をなくさないために全然変えてないよ。前と同じように使えるようになっているよ。動作は軽くしたから前よりいい感じになっているといいけど」
「ちょっと使っていい?」
「どうぞ」
いったいどれくらい触るつもりだ?
まだOSしか入れてないから何もできないはずだけど。
「マスター、そろそろやめた方がいいのでは?」
ほら光、メイドからストップの声が入ったよ。
「ありがとう。なんか新鮮だったよ」
「もう質問攻めされたから疲れたよ」
「ごめんごめん」
何個質問されたのかな?
―15個です。
多すぎ。
「なんか変なところあった?」
「いや、特になかったよ」
「それはよかった。デザインのイメージを俺のシスに送っておいて。そしたら作ってあげるから」
「わかった」
「じゃあそろそろ学校に向かいますかね」
「了解」
「それでは私はご主人様に戻りますね」
「私もマスターに戻ります」
「よし、それじゃあレッツゴー!」
「走らなくていいと思うけど」
「いいじゃん!」
「あ、はい」
俺はのんびり後を追っていきますかね。
―時間には遅れないようにして下さね。
もちろん。
最近麦茶じゃなくて緑茶の方が好きになってきました今日この頃です
今回で書き溜めていたのが全て投稿し終えたので次の投稿はまた期間が開きます
あらすじに最初記載していた日時が間違っていました
申し訳ありません




