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14話 それぞれの朝(光)

前回のあらすじ:

お兄ちゃんがギルドを滅ぼした。私はお兄ちゃんと入れれば何でもいいけどね。

「マスター、朝ですよ。起きてください」

「うん? おはよう、シス」

「おはようございます、マスター」

「あれ? もう実体になれるようになったの?」

「はい。おかげさまでこんなに早くできました」

 今日は初めて先生の仕事をやる日。

 起きたらメイド服の女性が立っていた。

 会話で分かると思うけどこの子はシスだね。

 シスから最近解析を始めたと聞いたときは短くても6ヶ月くらい実体になるのにかかると思っていたけど結構早く終わったね。

「ほかのみんなが手伝ってくれたおかげです。感謝しています」

 そっか。だからこんなに早く終わったんだ。

「私はこんなに早くマスターにこの姿を見せられたので幸せです」

 ふふふ。ありがとね。

「いえ、私が礼を言いたいぐらいです」

 私は何もしてないよ?

「いつも魔力をもらっているから解析を行って行けたので」

 そうなの?

「マスターに支障がないようにもらっていましたのであまり感じなかったかもしれませんが」

 確かに全然感じなかったね。

「余分な魔力を使っていたので魔力ゲージにも変化はありませんしね」

 でもそんなに制御できたっけ?

「闇のシスに教えてもらいながらやっていましたから。同じメイドとして情報共有は大事ですから」

 闇もメイドなんだ。思考が良くかぶるね。

「被らなきゃオーバークロックなんて実現できませんでしたから」

 それもそうか。

「ぐるるる」

 あ。

「お腹がすいているんですね。朝ご飯用意してますよ」

 ありがとう。

「メイドとして当然です」

 今もう一回メイドにしてよかったと思ったね。

―そう言ってもらえると照れてしまいます。

 照れても別にいいんだよ。

―恥ずかしいです。


「これは食パン?」

「はい、お姉様からもらったので」

 お姉様というのはおそらくお兄ちゃんのシスのことでしょう。あってる?

―あってますよ。

 それじゃあ食べてみようかな。

「どうぞ」

「いただきます」

 ん! お、美味しい! なにこれすごくおいしい!

「お姉様の自信作ですから。作るのに数十日かかったそうですよ」

「え? お兄ちゃんのシスがそんなにかかるってことは相当難しかったの?」

「そうらしいです。魔力消費量が回復量と同等くらいになったらしいですから」

 例えばお米を作ろうとするとお茶碗一杯くらいのお米は魔力回復量の5%くらいでお兄ちゃんのシスはできてしまうと思うから相当大変だったってことになる。でも一回作ってしまえば作るのは簡単になる機能がシスには備わっているからまた食べようとするときは相当楽になると思う。

「『陰が喜んでくれるなら何でもするわ!』と言って再現に励んでいました。改良もしたらしくこれ以上ない食パンになったと喜んでいましたよ」

「お兄ちゃんの役に立とうとする気持ちがすごいね」

「私だとそこまで出来る技術がありませんから羨ましいです」

 やっぱり一番すごいシスはお兄ちゃんのかな?

「その分野に関してはそうでしょうがマスターの分野では負けません!」

「そんなに気合を入れなくてもいいのに」

「いいえ、マスターの役に立てるようなメイドというのはそれくらいの気持ちがないといけませんから」

「そういうものなの?」

「はい」

「シスがそうしてくれるなら嬉しいけど無理はしないでね」

「努力します」

「頼んだよ?」


「コンコン」

「はーい」

「闇だよ、入っていい?」

「いいよー」

 部屋をノックして来たのは闇だった。闇の手元には変なプレートみたいなものを持っている。

「何それ?」

「ノートパソコン」

「え?」

「昨日言っていた仕事というのはパソコンを作る仕事だったの」

「ゼロから?」

「ゼロから」

 ちょっと何言ってるか分からないんですけど。なんでこの世界にパソコンが存在するの? どうやって動くの? この世界にコンセントなんてものは存在しないけど。

「全部聞こえてるよ」

―光様、私も入ってよろしいでしょうか?

 あ、闇のシス?

―はい。

 どうぞどうぞ。

―それでは失礼します。

「ガチャ」

 さっき話してきたから闇のシスってことはわかるけど服装が同じメイドとは思わなかったよ。

―お姉ちゃんと一緒に作ったメイド服ですから。

 あ、そうなんだ。

―お姉ちゃんのおかげでいい衣装ができました。

「あれ? シスも来たの?」

「ご主人様だけでは説明が出来なさそうだったので」

「それって心配しているってこと?」

「はい」

「こんにちは、お姉ちゃん」

「こんにちは、元気?」

「おかげさまで元気です」

 どうやら私のシスと闇のシスは姉妹みたい。闇のシスが上だって。

 でも呼び方考えなきゃね。

『確かにどうにかしないと紛らわしいね。光のシスは姉さんのシスをお兄様、兄さんのシスをお姉様と呼んでいるて、俺のシスは姉さんと兄さんは同じ呼び方で光のシスのことは・・・なんて呼んでるんだろう? まあそれはとりあえずいいとして問題は姉さんと兄さんのシスだね。今のところあまり呼んでいないからいいけどこれからはたぶん呼ぶ機会が増えてくる。その時までに決めておかなきゃ』

 そこまでみんなのシスのこと知ってるの?

『俺のシスは情報収集も得意だから』

 すごいね。

『光のシスも何かそういう得意なことを持ってるはずだよ』

 本人って知ってるの?

『いや、みんなと比べてみて初めて分かるから多分今はわからないと思う』

 うーん。

「ご主人様、そろそろ説明の続きをした方がいいのでは?」

「ああ、そうだね。このパソコンは魔力で動いているよ。バッテリーもあるから安心してね。バッテリーは魔力をためておくやつ。電気じゃないから気を付けてね。まあ気を付けなくてもいいぐらい容量は大きくしているけど。それに切れてしまってもすぐ俺らなら充電できるだろうけど」

「どのくらい持つの?」

「ええっと、どのくらいだっけ?」

「およそ二日間です。性能をフルに使っても一日持ちます」

「それって結構すごくない?」

「前世のいろんな会社の機能をてんこ盛りしたやつだから性能も結構高くて電力消費量も少なくて冷却性能も結構上げているからノートとしては結構すごいやつになったよ。でもデスクトップには劣るけどね。ちなみにデスクトップは作れるけど今はいらないと思うから作ってないよ」

「そんなに簡単にできることなの?」

「シスもいたからできた感じ。あ、これは俺のやつだから光のは少し待ってて。デザインを聞いてから作りたくて」

「これ使い勝手はどうなの?」

「前世の感覚をなくさないために全然変えてないよ。前と同じように使えるようになっているよ。動作は軽くしたから前よりいい感じになっているといいけど」

「ちょっと使っていい?」

「どうぞ」

 いやーまさかこの世界でパソコンに触れられるとはね。さすが闇って感じかな。


「マスター、そろそろやめた方がいいのでは?」

 おっと、もうこんな時間か。

「ありがとう。なんか新鮮だったよ」

「もう質問攻めされたから疲れたよ」

「ごめんごめん」

「なんか変なところあった?」

「いや、特になかったよ」

「それはよかった。デザインのイメージを俺のシスに送っておいて。そしたら作ってあげるから」

「わかった」

「じゃあそろそろ学校に向かいますかね」

「了解」

「それでは私はご主人様に戻りますね」

「私もマスターに戻ります」

「よし、それじゃあレッツゴー!」

「走らなくていいと思うけど」

「いいじゃん!」

「あ、はい」

作者のあとがき兼今日のひとことみたいになっていますがこれは完全に作者の最近の心境を書いているようなものなので見なくても本編の物語にはついていけます

(私の物語にはついていけなくなりますけど)

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