14話 それぞれの朝(陽)
前回のあらすじ:
ギルドを滅ぼした。明日はついに教師の初日。できる気がしない。
「ピピピピ、ピピピピ」
うーん、もう朝なの?
もう少し寝たいけど遅れちゃうから起きなきゃ。
「おはようございます、マスター」
おはよう、シ、ス?
「どうしたのですか?」
目の前にいたのはエプロンを着けた小学六年生くらいに見える男子がいた。身長は高め。
「だ、誰?」
「自分はシスですよ」
え、いや、え? 何でシスが実体を持っているの? 今まで私の中にいたよね?
―確かにいました。けれど、
「今は外にいますよ」
何で???????
「自分で自分を解析していたらこの機能を発見しまして。でも解析がしっかり終わってないのであまり長くは持ちません。一日一回しか使えませんし。でもマスターの朝のお世話だったら時間は全然足りるので。さあ、朝ご飯を食べましょう。冷めてしまいますよ」
は、はーい。
「最近前の世界の食べ物のレパートリーが少ないと思い、姉さんから食パンを分けてもらいました」
「姉さん?」
「陰様のシスのことです。立場は私が二番目なので」
「闇と光のシスはどっちが上なの?」
「闇様ですね。主の産まれた順に立場が確立されているので」
そういえば私と陰では陰の方が数時間生まれが早くて光と闇は闇の方が早かったっけか。
「そうです。何かほかにわからないことあります?」
「ええっと。シスは今何で動いているの?」
「この体は魔力で動いています。マスターから常時魔力供給をしてもらい動いています。食べ物を食べるとそれを魔力に変換する機能もあるみたいです。今は解析が追い付いていなくて起動はできない状態ですけど」
「ふーん」
「ちなみに他のシスも今実体になっています」
「へー。へー?」
「全員で解析を行っていったのでこんなに早くこの機能を実用段階まで持って行けたんですよ。私一人だったら後数か月必要でした」
「そんなに大変なの?」
「自分を解析するので解析する部分を一時停止しておかなきゃいけなかったんです。その部分の20%止めて解析するという方法を一人で使おうとしていたのですが」
「解析完了まで5倍の時間がかかると」
「はい。そのためほかのシスにも相談したらみんな同じことを思っていたそうなので協力して解析を進めていったらこんなに早く終わりました」
「なるほどね。それにしてもこの食パン美味しいね」
「姉さんの自信作らしいですよ。なんでも陰様の記憶の中から実物を生成するのに数十日近かったとか」
「数十日って早くない?」
「姉様なら普通は数日で終わるんですよ。ですがこの食パンは陰様が食べた中で一番おいしかったものを再現しようとしたらしく、記憶はあるのですが一回しか食べたことがなくて情報を引き出すのに苦戦していました」
食べた瞬間に「カリカリ」といった音が部屋中に広がり、口の中に香ばしい匂いとバターのほんのりした味が口いっぱいに広がって食べ物の誘惑に誘われるぐらい美味しかったからね。
「ちなみにもともと陰様が食べたのとは少し違うらしいです。情報を抜き取り、欠点を姉さんが修正したらしいです。自分はそんな技術は持ちません。決してまねはできないすごい技術です」
「なんでそんなに陰のシスだけ性能がずば抜けているの?」
「得意なことと不得意なことがあるんですよ」
「な、なるほど」
「さあ、そろそろ着替えをして学校に向かいましょう」
「そうね」
ふぁー。また何か大きなことが来そうな予感がするわ。
心の準備をしておきましょう。
この作品はハイファンタジーなのに恋愛要素も自然と入っている気がして最近心配になってきました




