14話 それぞれの朝(全)
前回までのあらすじ:
ギルドをつぶした。今日はついに初めての授業の日。
私の名はファン・ダン・マスタ・アルター。ファン・ダン・マスタは家名だ。
みんなは私のことをアルターと呼んでいる。
今日から魔法学校に通うことになった。
私の家は代々受け継がれている王家で、魔法が中心の貴族らしい。
だがあまり詳しいことは伝えられていない。
私の父も知らないらしい。どこかの当主でそんなことはどうでもいいっていう人がいたらしい。
今まで一緒に遊んでいた子は魔法学校に行く人もいるが全員が普通科に行ってしまい特進科は私しかいない状況になってしまった。
この学校には年齢指定がなくて13歳の私でも入れて大人も入れる学校みたい。
父から貴族らしい話し方で行けと言われているからあまり私語が使えない。
堅苦しい言葉は嫌いなのだがこの家に生まれてしまったので仕方がないと言い聞かせている。
私のクラスの先生は敵の大群からファステストを守ってくれた世間から英雄と言われている4人と情報が全くない2人と言っていた。
しっかりしてくれるかわからないし、まだ実力を信じ切れていない。あのカシさんが負けるといっていた人だけど本当にそうなのか確かめてみたい。今日先生が来たら何かしらの手段で示してもらおうと考えている。
人間の私としてはあこがれの存在でいつか追いついてみたいからいつも頑張っている!
けど貴族の私としては言い方が悪いけど一般人に貴族が負けるといったことは許されない。
カシさんは有名な魔法師の弟子なので例外になっている。
「行ってきます」
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
家ではいつも私専属のメイドがいて両親には特別なことがない限り顔を合わせない。
このあたりでは一番大きい貴族なので忙しいのもわかる。だが一度は合わせることもできるだろう。
そんなことを考えながら今日は学校に向かう。
道は舗装されているが街から距離は結構ある。
この辺りは魔物もいるのでのんびり歩いていると襲われてしまう。
なのでいつも全速力で走るか気配を消す魔法を使うか自分を強化して追いつけない速度で歩くかの三択になる。
今日はのんびり行きたい気分なので気配を消していこう。
これには弱点もある。気配を消しすぎて友達からも私の存在を認識できないんだ。
私は全然一人でもさみしくないので使っているがほかのみんなは頑なに使いたがらない。
「空気よ、風よ、台地よ、我の気配を消し、存在を薄くしろ!【エアーブロード】」
魔力が消費された感覚がしたからおそらく成功しただろう。
さて、時間に遅れない程度にのんびり行きますかね。
ぼ、僕の名前はグロウ・ファルスです。ファルスが家名です。
ファステストに代々続く魔法の杖の専門店の現店長の二番の子供で次男です。
店を継ぐのは僕の兄の予定なので自分はやりたいことに専念できます。
でも周りの人たちは「継げないやつはただの人間の恥だ!」とか言われています。
そんな自分でも魔法学校に入れてくれた両親には感謝です。
でも周りから一時的に昨日の夜追い出されてしまいました。
両親にはここで集合と言われていたのですが、そこに行くまでに急に変な人に絡まれてしまいました。
そこで会ったのが陰様、陽様、光様、美春様と美冬様の5人でした。
私を助けてくれた姿がすごく格好良くてあこがれてしまいました。
特に陽様はあまり戦闘は得意ではないそうですが僕の前に立ち向かってくれて感動しました。
僕も戦闘はあまり得意ではないのでそういう事ができる勇気を得られるために見習っていこうと思います!
「気分はどうだ?」
「ありがとうございます。おかげさまで元気です!」
「それはよかった。家族に話したら学校に必要なものを持ってきてくれたのでここから教室に行くとよいぞ」
「そこまでしてくれたんですか」
「学校長として当然のことだ。生徒たちが幸せに登校できる学校を目指しているからな」
13歳なのにこんなにできる人は見たことがないぐらいカシ様は大人に似ている。
それぐらい成長が早いってことなのかな。
「もうそろそろ時間だ。そろそろ行った方がいいぞ。初日から遅刻は嫌だろう?」
「もうそんな時間なんですか!? あ、ありがとうございました!」
「精一杯勉強するんだぞ!」
ありがとうございます。行ってきます。
「あんなことを言ったがヨウたちがしっかりできる気がしないのだが。まあシスがついているから大丈夫か。俺もしっかりしていかなきゃな。演技力を磨いていって、しっかりカシとしていられるよう頑張っていこう。さて、いつ正体を現そうかな? いつかは必要な日が来るからそれまで待っているか」




