12話 それぞれの夜と不穏な空気(陽)
前回までのあらすじ:
入学式でやらかしてしまったかもしれない。
今回から特別な読み方がない限り読み仮名を書かないようにします
わかりづらくなるかもしれませんがわたっけいただけると嬉しいです
全く、あの人はやってくれたわね。
―マスターは大変ですね。
ホントよ。
カシさんが教師専用の寮を一人一つ部屋を用意してくれたので今はそこでのんびりしている。
一人一つと言っても美春と美冬は陰と同じ部屋だけど。
カシもいるから心配はしなくてよさそう。
あの人のせいで私も戦わなきゃいけないじゃん。
―マスターは補助に回ってみてはどうですか?
確かに、シスは頭いいね。
―マスターの役に立つように心がけていますから。
ありがと。
―いいえ、私の仕事ですから。
もっと気軽にやってもいいのに。
―そうするとミスが出てしまうかもなので。
たまには気軽にやってね、その時は私が言うから。
―マスターがそう言うならそうします。
うん。そういえば何で陰と合わさってないの?
―聞いた話によるとオーバークロックをしたら通常の身体状況が入れ替わるらしいです。
どういうこと?
―合わさっていたのが普通だったら合わさってないのが普通になり、合わさっていないのが普通だったら合わさっているのが普通になるんですよ。
な、なるほど?
―とりあえず今は別々と考えていてください。
わかった。
―忘れているかもしれませんけど光様と闇様に出会ったことで能力が解放されましたよ。
そういえばそんなものもあったね。どんなの?
―陰様の能力は【スキル共有】が、マスターの能力は【詠唱変換】が、それぞれ解放されました。【スキル共有】は陰様が持っているスキル・魔法を許可した人が使える能力で、【詠唱変換】は創造魔法で作った魔法を詠唱に変換できる能力です。
ということはインが持っているスキルは闇とかも使えるってこと?
―はい。
それ強くない? 私の弱くない?
―いいえ。マスターの能力があれば生徒に創造魔法で作った魔法を教えることができますから。
なるほどね。それは使い方をしっかりすれば強いね。
―そうです。うまく使えば最強のクラスができるかもしれません。
これは楽しみだね。
明日からどうしようかな。
―どうしよう、とは?
しっかり教えられる気がしないし教えることが決められていないから全然わからなくてさ。
―なるほど。マスターの好きにすればいいと思いますけど。
その好きにやって実力が伸びるかが心配なの。
―それは自分にもよく分かりませんね。
でしょ。だからどうするかなって。
―試行錯誤してやるか誰かに聞くかですかね。
試行錯誤がいい気もするけど。
―良かったものを探すのに時間がかかります。
うーん。
―ずっと考えているのもいいですが気分転換もするといいかもしれませんよ。
気分転換、たしかにいいかも。でもどうやって?
―魔法を使ってみるのです。
魔法?
―どうですか、マスター。夜の景色は?
いいね、これ。
―喜んで貰えて嬉しいです。
シスから提案があって夜の空を飛んでいる。学校は少し街から離れたところにあって、寮は学校と街の間にある。これからしばらくの間ここに住むから近くの地形を把握するのも兼ねて。
―街では夜市場もやっているみたいで盛り上がっていますね。
うん、上から眺めるだけでも楽しいね。
「うん?何かが空に浮いてるぞ!」
やっべ、透明入れるの忘れてた。
「おーい、英雄様ー!」
そう言って街の人は手を振ってきた。
―前よりはだいぶマシになりましたね。
うん。やっぱりこれぐらいじゃなきゃやって行けないよ。
私はそう思いながら手を振り返した。
少しパトロールしてから帰りますかね。
―私はマスターについて行きますよ。
うんうん、平和だね。
―特に異常はありませんね。
しっかり街の警察もしているみたいだね。
―しっかりしていなければ困りますから。
まあそうだけど。
―マスター、明らかに殺気を立てている人がいます。
え? どこ?
―あそこです。
シスに実体はないので視界に情報が表示される設計になっているらしい。今回のように場所を示す時は視界にその場所が表示される。
確かに殺気が立っていそうな人がいるね。
あれ? なんか男の子を追いかけていない?
―確かに誰かいますね。
全員に解析かけてくれない?
―わかりました。30秒くらいです。
解析終わるまで空から追いかけておきましょうかね。
「おいまて! 俺様から逃げれると思うなよ!」
「一体僕が何をしたって言うんですか!」
「お前の母さんがやらかしたたから代わりにお前を売り物にするんだよ!」
なんかこの世界によくいそうな人達だね。
―解析完了。おっている人達はレベル1〜7で追われている人はレベル3ですが魔力量と魔法技能がずば抜けています。この世界の相場ではおそらく一攫千金になるでしょう。
うーん。魔法の才能があるのね。なんか学校に居そう。
―その通りです。魔法学校に所属しています。それもマスターのクラスです。
なるほど、助けますか。
―魔力隠蔽を恐怖レベルまで解除します。解除すればマスターを見た瞬間恐怖で逃げ出すでしょう。
戦いは嫌いだしそれでいいかな。
「待てー! いい加減諦めろ!」
「許してくださーい!」
「そこまでだよ!」
「あぁん? 誰だ俺に逆らわ、ろうと、するや、つ、わ?」
「た、隊長。こいつはやばいですぜ」
「あなたはまさか! 六英雄の一人、陽様ではないですか!?」
「お、よく知ってるね」
「この街に知らない人はいませんよ!」
「っは! 英雄様でもこの数には勝てないだろう!」
「試してみる?」
あ、言葉の選択間違えたかも。
「その言葉、後悔させてやる!」
「おりゃー!」「ぶっとばせ!」
私戦いは出来ないって!
「吹き飛べ」
「な、なんだ? 急に後ろに飛ばされ、うわー!」
「この攻撃は?!」
「陽はいつまで経ってもトラブルに巻き込まれるよね」
『もう終わりなのだ? つまんないのだ』
『それだけ陰が強いってことだよ』
「陰!」
「やっほー。お待たせ、遅れて申し訳ないね、陽」
「あ、あ、あなたは?!」
「この人が追いかけ回されていた人?」
「は、はい。私、グロウ・ファルスと言います」
「え、えぇっと?なんて呼べばいい?」
「あ、グロウでいいです」
「グロウね、よろしく。俺は陰だ」
「あの英雄の一人の?」
「恥ずかしいけどそう呼ばれているね」
「くっそぅ! おい、よくも俺たちの仲間を!」
「あ、陰様!」
「このやろ!、お、な、なん、だ、からだが、うご、かない?」
「君、魔法防御がカスだね。そんなんでこの人を捕まえようとしていたんだ。でもさっきの攻撃を耐えたから他の人よりはまだマシか」
陰は戦闘になると熱が入るんだよね。
―敵に回したら絶対勝てませんね。
バカ以外回さないよ。
「さーて、どうやって倒そうかな?」
「おーい、お兄ちゃーん、警察に身柄届けておいたよ」
「あれ? もう終わったの?光」
「あれぐらい魔法ですぐ終わるよ。それにお兄ちゃんは私の実力を把握できてないんだよ」
「英雄様がまた増えた!?」
「お兄ちゃん、この人大丈夫?」
―少し驚いているだけですよ、マスター。
「もう僕は、どうしたらいいか、分かりま、せん」
「あ、倒れた」
「おーい、グロウ君、起きてる?」
「倒れているんだから起きてないでしょ」
―脳の処理が追いつかなくて気絶しちゃっただけだね。命に問題は無いよ。
「なら大丈夫そうだね」
「なんだこいつら!?」
「なんだって、知らないの?」
「君たちが言う英雄だよ」
「さて、長引かせるのもなんだし、倒しちゃおっか」
「ちょ、ちょっと、いや、や、やめてください」
「え、いやですけど?」
陰、それを笑顔で言ったら陰が悪者みたいになってるよ。
「っ! ふせて!」
―対象者を設定して強制動作!
「ガキン!」
「陰、一体どうしたの? って何その状況?」
「ほほう、よく防ぎましたね。さすが英雄様です」
そこには剣で攻撃を防いだ陰と謎のスーツ姿の男がいた。
「何者なんだ、お前は」
「私は『ギルド:ほこらの聖地』に所属している、長直属の執事です。以後お見知り置きを」
「ほこらの聖地? なんだそれ?」
「ほこらの聖地はこの街、ファステストで1番勢力が高いと言われている黒系ギルドです! スローガンは、“ほこらは正義”です!」
「黒とは酷い言われ用ですね。私たちはただ銀行を強盗したり万引きしたり誘拐して奴隷にしたりしかしてませんよ」
「「「もろ黒じゃん」」」
「今日は挨拶とこいつを回収しに来ただけなので失礼させていただきます」
「ふん、お前らでも親方には勝てないぞ!」
「あなたは弱すぎです。1ヶ月運動部屋行きです」
「え?」
「それではまた会う日まで」
「あ、まて!」
「ミハ! ミフ!」
「はいなのだ!」
「逃がしませんよ」
「な?!」
暗闇の中から美春と美冬が出てきて二人をすぐにとらえた。
「さすがだね、二人とも」
「インに褒められたのだ!」
「そ、そんなに褒められることはしてない、よ?」
可愛い。
「さて、本部を教えてもらおうか?」
「そ、そんなの簡単に話すわけないじゃないですか!」
「ふーん。なら魔法を使っていいね」
―あれはまだ試作段階だよ。
「実験台にするんだよ。さあ、生きていてくれよ?」
「や、やめ、ぎゃぁぁぁぁ!」
こっちから見たら何も無いけどあっちは大変なことになっているんでしょうね。
―あれは悪夢を見せる魔法ですね。ついでに記憶を引っ張り出すことも出来るので丁度いいかもしれませんね。
怖いこと言ってない?
―事実を述べただけです。
そ、そうですね。
「なるほど、そこか。闇、あそこだって」
『了解。着いたら教えるから』
「さぁ、ギルドを滅ぼしに行くよ。グロウも来る?」
「いや、今気絶してるよ、お兄ちゃん」
「そういえばそうだったね。ここにいても怖いだろうし運びますかね」
「これって私も行かなきゃ行けない?」
「「当たり前だよ、陽/お姉ちゃん」」
「そ、そうですか」
「さあ、戦闘の時間だ!」
もう嫌だよ〜。
―頑張ってください、マスター。
最近付属語を間違えてしまうことが多くなってきてしまいました
ミスがないように頑張ります




