表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/61

12話 それぞれの夜と不穏な空気(陰)

前回までのあらすじ:

入学式でやらかしてしまったかもしれない。

 やっぱり(よる)景色(けしき)綺麗(きれい)だなぁ。

(いん)はこういう景色が()きなの?

 うん、この(まわ)りが(くら)くなっているのと(そら)(ほし)たちが綺麗だからね。

―じゃあ(ひる)(きら)いなの?

 嫌いって(わけ)では()いけど好きではないね。

―なんで?

 昼は(ひと)行動(こうどう)活発化(かっぱつか)するから人混(ひとご)みも出来(でき)やすいんだよ。(おれ)は人混みが嫌いだから好きではないって(かん)

―なるほどね。

 入学式(にゅうがくしき)()わり、夜になったのでカシさんが用意(ようい)してくれた教師(きょうし)専用(せんよう)(りょう)屋根(やね)(うえ)()(ころ)っている。屋根は(なな)めっているので景色を()るのにはちょうどいい。

 ちなみに美春(みはる)美冬(みふゆ)は俺の部屋(へや)ではしゃいでいる。


 そういえばなんで(よう)一緒(いっしょ)になんないのかな?

―オーバークロックが解除(かいじょ)されると普段(ふだん)身体(しんたい)状態(じょうたい)()()わるんだって。

 というと?

―今まで(あわ)わさっているのが普通(ふつう)だったら(はな)れているのが普通になるの。

 なるほどね。意外(いがい)不便(ふべん)かもしれないな。

―陰にとってはそうかもね。


明日(あした)から大丈夫(だいじょうぶ)かな?

 どういうこと?

―100(にん)もいるからしっかり(おし)えられるか()からないしどう教えればいいかも分からないから。

 うーん、(たし)かに平等(びょうどう)に教えられるかは心配(しんぱい)だね。

―この学校(がっこう)には成績(せいせき)存在(そんざい)しないのはいいけど(ねん)数回(すうかい)実技(じつぎ)テストがあるって言ってたじゃん。

 勉強(べんきょう)には影響(えいきょう)ないけど(おな)学年(がくねん)人達(ひとたち)順位(じゅんい)をつけるやつね。

―それで(ちから)()明確(めいかく)になってしまうならなおさらしっかりできるか心配になってくるの。

 どうしたものかな? 俺は黒板(こくばん)で教えるのは得意(とくい)じゃないしな。

 あ、ちょっと()って、入学式(にゅうがくしき)次元(じげん)(ちが)うとか言っちゃったから力をみんなに()せるのが一番先(いちばんさき)になるかな。

―そういえばそんなこと言ってたね。あれ大丈夫だったのかな?

 だめだったらカシさんが何とかしているでしょう。

―もう、人(まか)せなんだから。

 それが俺(りゅう)だよ。

 そういえば(こう)(あん)()ったら開放(かいほう)される能力(のうりょく)がなかったっけ?

―あったね。

 それ結局(けっきょく)どうなったの?

無事(ぶじ)に解放されて、陰の能力は【スキル共有(きょうゆう)】が、(よう)の能力は【詠唱(えいしょう)変換(へんかん)】が、それぞれ解放されたよ。

 ・・・? (くわ)しく説明(せつめい)してくれます?

―【スキル共有】は陰が持っているスキル・魔法(まほう)を違う人が使(つか)えるってやつ。

 それ悪用(あくよう)されない?

一応(いちおう)許可(きょか)した人にしか使わせないようになっているから多分(たぶん)大丈夫だと(おも)う。

 じゃあ【詠唱変換】は?

―【詠唱変換】は、創造(そうぞう)魔法で試行(しこう)した魔法を詠唱に変換出来(でき)る能力。だからそれを使えば【飛行(フライ)】とかが詠唱に変換出来て(たと)えばそれを生徒(せいと)(おし)えれば生徒も【飛行】が使えるようになるってこと。

 俺より陽の(ほう)(つよ)くない?

―陰の能力も結構大事(けっこうだいじ)だよ。創造魔法が光とか闇も使えるようになるってことだから。

 わお、超便利(ちょうべんり)

―だから両方ないよりはあった方が全然いいよ。

 使いこなせるようにしておかなきゃね。


 (ねむ)くなってきてそろそろ(もど)るかとシスと(はな)していて戻ろうとしたとき、(そら)に陽の姿(すがた)があった。

 どうやら分かれているときは眠くなるらしい。いろいろめんどくさい。

 うん? 陽どうしたんだろう?

多分(たぶん)散歩(さんぽ)がてら空を()んでいるんだと思う。

 空を飛ぶのは散歩っていうのか?

散飛行(さんひこう)

 ははは、俺たちにしか(つた)わらなさそうだね。

―今のところ(わたし)たちしか飛べないんだからさ。

 それもそうか。

 にしてもあいつ大丈夫かな?

―心配することある?

 陽は結構(なに)かに()()まれやすいんだよ。

―そんな(こと)()()るの?

 それがあいつは有り得るんだよ。

―それなら何か無いか見ておくよ。

 ありがとう。

―いいえ、どういたしまして。


 明日(あした)は多分俺に最初(さいしょ)授業(じゅぎょう)丸投(まるな)げさせると思うから何やる考えておきましょうかね。

―教えるのは特進科(とくしんか)だから基本(きほん)は教えなくて大丈夫だよ。

 うーん、()いかけっこでもやるかな。

―ただの追いかけっことは言わせないよ?

 もちろん言いませんとも。空でやるかずっと強化(きょうか)魔法をかけるかのどっちかだね。

魔力(まりょく)消費量(しょうひりょう)としては空の方が(おお)いと思うけど一日(いちにち)で普通に使えるまで上達(じょうたつ)するとは(かぎ)らないからね。

 それに消費量が多すぎてすぐ無理(むり)になるかもしれないし。

―じゃあ強化魔法になる?

 そうなるね。

―あ、陰! 陽が何かに巻き込まれそう!

 今日(きょう)(はや)かったな。

『おーい、美春、美冬。一緒(いっしょ)()てくれる?』

『もちろんなのだ!』

『陰が行くところにはどこへでもついて行くよ』

 よーし、それじゃあ行きますかね。

『私も行くよ、お(にい)ちゃん』

『あれ? 光も来るの?』

『まさか()いていくつもりだった?』

睡眠(すいみん)邪魔(じゃま)になるかと思って』

『そんなのどうでもいいよ』

『え? どうでもいいの?』

『そんなこと言ってる(ひま)があったら早く行きなよ、(ねえ)さんに危険(きけん)があるかもしれないんだから』

『闇は行かないの?』

『俺は仕事(しごと)があるから』

『仕事?』

『後で教えるから今は早く()かってくれる?』

『あ、はい』


「よいしょっと。ここの屋根って結構(たか)いね」

「10(かい)()てだもん」

「イン!」

「うん? どうしたの? 美春」

()(つな)ぐのだ!」

「いいよ。美冬も繋ぐ?」

「陰がいいなら繋ぐ」

「ねえ、お兄ちゃーん。おんぶして」

「手が()いてないから無理(むり)

「ちぇ。じゃあ張り付(は つ)いちゃお♪」

「!? ちょっ(おも)い重い!」

「飛ぶんだから関係(かんけい)ないでしょ」

「それはそうだけどさ。・・・しょうがないな。それじゃあ全速力(ぜんそくりょく)で行くよ」

 Let's Go!

―【飛行(フライ)】アクティベート!

「リミッター解除!」

「あわわわわわわわわ」

(はや)いのだー!」

「っ!」

 美冬は手を繋いでいるというか(うで)()きついている状態(じょうたい)になっちゃってるけど大丈夫かな?


 あれから一分で着いたけど状況(じょうきょう)はすごいことになっている。

 何をどうしたら(たたか)いが出来ない人が数人に戦いをしかけているんですかね?

『まあそれがお姉ちゃんだからしょうがないよ』

『私たちは何をすればいいのだ?』

指示(しじ)出すからとりあえず(かく)れてて』

『了解なのだ!』

『了解』

「っは! 英雄(えいゆう)(さま)でもこの数には()てないだろう!」

(ため)してみる?」

 おいおい、喧嘩(けんか)()ってるようにしか聞こえないよ。

「その言葉(ことば)後悔(こうかい)させてやる!」

「おりゃー!」「ぶっとばせ!」

 あーあ、もうこれは見てられないな。

―魔法使う?

 使おうか。しょうがないから。

()き飛べ」

 文字(もじ)イメージならすぐ出来るでしょう。

「な、なんだ?急に後ろに飛ばされ、うわー!」

―いいね、場所と敵にあった攻撃。素晴らしいよ!

 そんなに意識(いしき)していないけど。

『光、気絶(きぜつ)した人を警察(けいさつ)に突き出してきて』

『はーい』

 さて、俺はこっちの後処理(しょり)だな。


「この攻撃は?!」

 この場合はなんていうのが正解(せいかい)なんだろう。もう本音(ほんね)を言っちゃうか。

「陽はいつまで()ってもトラブルに巻き込まれるよね」

『もう終わりなのだ? つまんないのだ!』

『それだけ陰が強いってことだよ』

 いや、敵が(よわ)すぎる気がする。ちょっとした突風(とっぷう)で吹き飛ぶのはさすがに弱すぎる。

「やっほー。お待たせ、(おく)れて(もう)(わけ)ないね、陽」

「あ、あ、あなたは?!」

「この人が追いかけ回されていた人?」

「え、あ、は、はい。私、グロウ・ファルスと言います」

 なんか初めて異世界(いせかい)らしい名前(なまえ)を聞いた気がする。

―ファルスってことは魔法の(つえ)を売っている家庭(かてい)の子だね

 おお、杖があるのか。今度(こんど)()ってみようかな。

「え、えぇっと?なんて呼べばいい?」

「あ、グロウでいいです」

「グロウね、よろしく。俺は陰だ」

「あの英雄の一人の?」

 一人くらい()らない人が欲しいな。もううんざりだよ。

 この街のどこを歩いても「英雄様!」と声をかけられてたちまち人がたくさん集まってくる。

 街で()(もの)もろくにできない。

 今度体格(たいかく)いじって出かけるか。

―あまり使いすぎないようにしてね。(もと)の体の感覚(かんかく)(わす)れると大変(たいへん)なことになるかもしれないから。

「くっそぅ! おい、よくも俺たちの仲間(なかま)を!」

「あ、陰様!」

 このグループの中で一番強そうな人が()()がって自分の武器(ぶき)を俺に向かって()りかぶってきた。

 だが俺が何も対策(たいさく)をしていないとでも思ったか。

「このやろ!、お、な、なん、だ、からだが、うご、かない?」

 動くことはわかっていた。この世界(せかい)脳筋(のうきん)の人は後ろからなら余裕(よゆう)でだれでも勝てると思っているらしい。

 こいつも明らかに脳筋な体をしている。筋肉(きんにく)すごいし武器がでっかい斧だし、魔法適正(てきせい)ゼロだし。武器の名前なんて言うんだっけ?

「君、魔法防御がカスだね。そんなんでこの人を捕まえようとしていたんだ。でもさっきの攻撃を耐えたから他の人よりはまだマシか」

 実はそうでもない。さっきのは魔法で風を起こしたから魔法防御(ぼうぎょ)は関係ない。

「さーて、どうやって倒そうかな?」

「おーい、お兄ちゃーん。警察に身柄(みがら)(とど)けておいたよ」

 へ? あれから5分も経ってないぐらいだよ?

 ここから意外(いがい)距離(きょり)があるのに。

「あれ? もう終わったの? 光」

「あれぐらい魔法ですぐ終わるよ。それにお兄ちゃんは私の実力を把握しきれてないんだよ」

 あ、はい。すいません。

「英雄様がまた()えた!?」

「お兄ちゃん、この人大丈夫?」

「もう僕は、どうしたらいいか、分かりま、せん」

「あ、倒れた」

「おーい、グロウ君、起きてる?」

「倒れているんだから起きてないでしょ」

(のう)処理(しょり)が追いつかなくて気絶しちゃっただけだね。(いのち)問題(もんだい)は無いよ。

「なら大丈夫そうだね」

 ところで命に問題があったらどうしてた?

―私だったら陰の魔力を使って回復(かいふく)させてたね。

 回復までできるとはさすがだね。

―私は万能(ばんのう)だからね。

 それ自分でいう事かな?

―別に自画自賛(じがじさん)してもいいでしょ。

 まあそうだけどさ。

「なんだこいつら!?」

「なんだって、知らないの?」

「君たちが言う英雄だよ」

「さーて、長引(ながび)かせるのもなんだし、倒しちゃおっか」

「ちょ、ちょっと、いや、や、やめてください」

「え、いやですけど?」

―それは完全(かんぜん)悪役(あくやく)のセリフだよ。

 気のせい気のせい。

 うん? なんか魔力を感じる。

―あれは、殺意(さつい)

 殺意? あ、殺意!

「っ! ふせて!」

 (けん)はどこだ!

―腰にあるでしょ! 対象者(たいしょうしゃ)設定(せってい)して強制動作(きょうせいどうさ)

 身体強化!

 ()に合え!

「ガキン!」

 ふ、ふう。間に合った。

「陰、一体(いったい)どうしたの? って何その状況?」

 俺にもわからん。どうしたらこんな接近戦(せっきんせん)になっているんだろう。

「ほほう、よく防ぎましたね。さすが英雄様です」

 スーツ姿の(おとこ)か。体格は普通って感じ。よくこの体格であんなに重い攻撃できるな。

―あれを防いだ陰もそうでしょ。

 それもそうか。

何者(なにもの)なんだ、お前は」

「私は『ギルド:ほこらの聖地(せいち)』に所属(しょぞく)している、(おさ)直属(ちょくぞく)執事(しつじ)です。以後(いご)見知(みし)()きを」

「ほこらの聖地?なんだそれ?」

「ほこらの聖地はこの街、ファステストで1番勢力(せいりょく)が高いと言われている黒系(くろけい)ギルドです! スローガンは、“ほこらは正義(せいぎ)”です!」

 ギルドにスローガンなんてあるんだ。なんか俺だけかもしれないけどダサい気もするし。

―大丈夫。私もダサいって感じたから。

「黒とは(ひど)い言われ(よう)ですね。私たちはただ銀行(ぎんこう)強盗(ごうとう)したり万引(まんび)きしたり誘拐(ゆうかい)して奴隷(どれい)にしたりしかしてませんよ」

「「「もろ黒じゃん」」」

「今日は挨拶(あいさつ)とこいつを回収(かいしゅう)しに来ただけなので失礼(しつれい)させていただきます」

「ふん、お前らでも親方(おやかた)には勝てないぞ!」

「あなたは弱すぎです。1ヶ月(かげつ)運動(うんどう)部屋(べや)行きです」

「え?」

 運動部屋行き。なんか大変そう。

 まあ頑張(がんば)って。

「それではまた会う日まで」

「あ、まて!」

 ()がすかよ!

「ミハ! ミフ!」

「はいなのだ!」

「逃がしませんよ」

「な?!」

 美春と美冬を隠れさせておいて正解だったね。

 もうこのギルド壊していいかな?

「さすがだね、二人とも」

「インに褒められたのだ!」

「そ、そんなに褒められることはしてない、よ?」

 嗚呼(ああ)、この照れてる顔を見ているだけで幸せだ。

「さて、本部(ほんぶ)を教えてもらおうか?」

「そ、そんなの簡単(かんたん)に話すわけないじゃないですか!」

「ふーん。なら魔法を使っていいね」

―あれはまだ試作段階(しさくだんかい)だよ。

実験台(じっけんだい)にするんだよ。さあ、生きていてくれよ?」

 あれは開発(かいはつ)を始めてからまだ三日(みっか)しかたっていない。でも自分は実用(じつよう)段階まで開発できている気がする。まだ改善点(かいぜんてん)があると思うから実験台にする。()ぬことはないはずだ。

「や、やめ、ぎゃぁぁぁぁ!」

 あれ? そんなに(こわ)悪夢(あくむ)を見せるようにしたっけ?加減(かげん)したつもりだったんだけどな。

 今あいつに使った魔法は名前は決めていないが悪夢を見せて記憶(きおく)()()る魔法だ。記憶を抜き取るといっても相手には抜き取られた感覚は一切(いっさい)しない、はず。

「なるほど、そこか。闇、あそこだって」

『了解。着いたら教えるから』

 闇が様子(ようす)を聞いてきたので協力(きょうりょく)要請(ようせい)とカシさんに許可申請(きょかしんせい)もしてもらった。

 闇さえいれば勢力は全然()りると思うので他の人は巻き込んでいない。

「さぁ、ギルドを(ほろ)ぼしに行くよ。グロウも来る?」

「いや、今気絶してるよ、お兄ちゃん」

「そういえばそうだったね。ここにいても怖いだろうし(はこ)びますかね」

「これって私も行かなきゃ行けない?」

「「()たり(まえ)だよ、陽/お姉ちゃん」」

「そ、そうですか」

 戦闘ができなくても補助(ほじょ)は全然できると思うからね。

「さあ、戦闘の時間(じかん)だ!」

 まだ気が早いか。

最近付属語を間違えてしまうことが多くなってきてしまいました

ミスがないように頑張ります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ