9-4話 4つの合成と覚醒(陰《後半》/光《後半》)
前回までのあらすじ:
光コース→古代竜が仲間になった。お兄ちゃんの血を吸った。
陰コース→古代竜を倒した。そしたら倒れた。
9.5話(陰《前半》)ならびに9.625話(光《中盤》)を見てからこの話を見ることを推奨します
「お兄ちゃんの血やっぱり美味しいな。もっと飲んじゃお♪」
ここはどこだって、これ毎回言っている気がするぞ。
でも今回は居心地がいい。地面が柔らかい気がする。
だか気になることもある。
重い。俺はおそらくうつぶせになっているのだが俺の上に何かがある。謎のふくらみもある。
しかも温かい。おそらく誰かが乗っている。考えられるのは一つしかない。
それにさっき聞こえた言葉も気になる。
ちょっと待てよ。今更だけど首元に何かが入っている。
どういうことだ?
それにまだ気になることはある。
魔力ゲージの下には魔力の入出量が表示されるのだがそれが今はなぜか血の入出量になっている。
え?なんで血なんだ?それに詳細に書いてあるってことは傷みたいなのがあってそこから血が出ているとかそんなことが書いてある。
まだ気になることはある。
腕が動かない。こっちも重い。何かが乗っている。
それも両腕に。
こっちも温度を感じる。
絶対誰かの体温でしょ。
だけど何かがおかしい。
眠っているような声がするのはまだいいがその声が幼い。
絶対闇や陽、光ではない。じゃあなんだ?
どうしよう。状況がわからない。
体に力が入らない。なぜだ?
しかも血の流出量は毎秒変わっている。
切り傷ではない量だし。
それにマップもレーダーなどの周囲の状況を確認する手段がなぜかことごとく使えない。
目も開かないし。
ああもう、そろそろムカついてきた。
そうだ、耳を澄ませろ。周囲の音をよく聞け。
まずは左右に幼い寝ていそうな声。
後ろからは市場のようなにぎわっている声。
上には誰かがいる。しかもおそらく俺の血を吸っている。
そして俺に密着している。明らかにこれは女子だ。
そんな感覚がする。
いい加減目を開けなければ。だがどうすればいい。
めんどくさいからもう魔法でいいや。
イメージ出力。
―イメージ確認。イメージを体の動作に変更。
―実行できませんでした。実行タイプを強制動作に変更。強制動作開始。
やっと目が開いた。そして俺の上に乗っていたのはやはり光だった。
「あ、お兄ちゃん。おはよう。目覚めよくなさそうだね」
当たり前だろ。起きたら血を吸われているんだぞ。
なんで体を密着させているんだよ。
それに体が感覚を覚えてしまっている。
俺はそんなに欲求不満がったのか?
「お兄ちゃんに欲求なんてあったの?」
わからないから疑問形なの!
そろそろどいてくれます?
「いやだよ?もっと血を吸いたいから」
え?いやいやいやいや、何を言っていらっしゃる。そんなに血が欲しいの?
「うん。少しの血があればこの体は動けるんだけどお兄ちゃんの血がおいしくてさ」
俺の血ってそんな味するの?
気付いた人もいるだろう。光は吸血鬼だ。
俺もさっき気付いた。
ところで俺の腕の上にいる二人はどちら様で?
「お兄ちゃんが倒した竜だよ」
え?あの竜?何で人型なの?
「それはいいから血、頂戴♪」
え、いや、ちょっとまって、まだ心の準備が!
「大丈夫、痛くないから」
いや、そういう問題じゃなくてだね―
「ハム♪」
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!いや、痛くはないけどさ。
うわぁ。なんか不思議な感覚になってしまう。
なぜだろう。何か気持ちよくなっている気がする。
「イン、入るぞ」
あ、ちょっとカシさん、今はまずい!
「「「あ」」」
ちょっと!光!どうしてくれるの!
「・・・」
カシさん、顔真っ赤ですよ。
「何をしている、イン!」
「いやいや誤解です!」
「うるさい!お前なんぞこうしてやる!」
まってまってカシさん魔法の準備しないで!俺今結界張れる状況じゃないから!
誰か助けて!
「このやろー!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
次の投稿は7/26の19:00です
次は陽と闇コースです




