9-3話 4つの合成と覚醒(光《中盤》)
前回までのあらすじ:
古代竜を倒した。お兄ちゃんを宿に連れて行った。そしたら人の姿をした古代竜がやってきた。
9.5話(光《前半》)を見てからこの話を見ることを推奨します
「それ本当に言ってる?」
「驚く気持ちもわかりますが本当です」
シス。あの別の反応とこの子たちの反応は同じ?
―一致しています。さらに解析ができるようになったためバックグラウンドで解析を行ってたところ、この子たちはあの古代竜二匹と同個体であることが判明しました。
そうでしたか。
「あなたたちの名前は?」
「私たち目覚めたら森の中にいたから名前もないし」
「両親が生きているかすらわからないんだ」
「そう」
なんかかわいそうだね。でもどうしたらいいのかわからない。
「それで何しに来たの?」
「あなたたちの仲間に加えてほしいのだ!」
「仲間?」
「うん、仲間」
この二人は元気な子と落ち着いている子って感じだね。
「私たちはついていく人もいないし生きる目的もないの」
「うん」
「だから強くて優しい人を探していたんだけど、そしたらこの街にすごく強い人がいそうだったの」
「よくわかったね」
「でもその人を出すためには街に入るか攻撃を仕掛けるかしか思いつかなかったの」
すごく物騒な選択肢だね。
「私たちが街に入ると不審に思われてしまうかもしれないから攻撃っていう選択肢を選んだの」
確かにその方がいいかもしれないけど。
「そしたら陰が出てきてすごく格好良かった。だからこの人ならついていけると思ったの」
可愛いから呼び方は許してあげよう!
「そんなことが」
こんなことを言われたら断る気持ちが表れない。
「そういう事なら仲間に加えてあげてもいいよ」
二人が目をキラキラさせた。
カメラがあれば連写しているよ。
「ほんと?!」
「ホントだよ」
「やったー!」
二人がぴょんぴょんしながら喜んでいるね。可愛い!
「「これからよろしくお願いします!」」
「うん、よろしくね」
「疲れたから寝ていい?」
「いいよ、あんな攻撃をしていたら疲れるよね」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
な!?何でお兄ちゃんの腕を抱き枕に!?
ぐぬぬぅ。私だってしたことなのに。
おっとそうだ。カシさんのところに行かなきゃ。
「遅かったね、光」
「しょうがないじゃない、ハプニングがあったんだもん」
「ハプニング?」
「えっとね―」
「はぁ!?竜が仲間に!?」
「これまた面白いことが起きたな」
「カシさん、前例ってあります?」
「いや、聞いたことがないな。そもそも竜は人間から恐れられていたから竜が攻めてきたらもう終わりって感じだ。まあ今回はそれが崩れたがな」
「それで名前がないらしいの」
「それで?」
「名前を決めてほしいんだけど」
「え!?いや、ちょっと、それは」
そうか、闇はネーミングセンスが0だったね。
『ゼロですいませんね!』
はいはい。
「性別は何だ?」
「両方女の子だね」
「双子みたいな感じだったか?」
「いわれてみたらそうかも」
「ふむ」
それから約5分後
「ミハルとミフユでどうだ」
おお!美春と美冬!カシさんは私たちよりセンスがあったのか!
「いいね、それ」
「でもどっちにどっちをつけよう?」
「元気なこと落ち着いている子だっけ」
「うん」
「元気な子をミハルにすればいいんじゃない?」
「それはいいな」
「じゃあ決定で」
「我ながらいい名前だ」
「それでそなたたちは何者なんだ?普通の人とは言わせないぞ」
「それは俺から説明するよ」
「俺たちは別の世界から来た。俺と光は神様に連れてこられた形で兄さ、陰と陽は原因がわかってないが何かしらの出来事があってこっちに来たと推測される」
「神は本当にいたのか」
「俺たちは陰と陽のサポート役としてきたって感じだね」
「それであの力を」
「いや、それが少し違くて。陰と陽はなぜかわからないけど二人が一つとしてこの世界にいたんだ」
「インとヨウ。うん?まてよ。は、まさか!」
「何かあるんですか?」
「ああ。この街だけかもしれないが伝説の碑石にある言葉があってだな」
「陰と陽が混ざり合った時この世の理は破壊され、前とは比べ物にならないぐらい世界は変化するだろう」
「とな。何がどれを指しているかはわからない。そもそもこの言葉がわかったのも最近だったので調査があまり進んでいない」
「てことは」
「ああ、もしかしたらあの二人のことを指しているのかもしれない。これは神様は知っていたのか?」
「神ともなるので知っているかもしれないがすっかり忘れていたっていう可能性もあるんじゃない?」
「わからない。そんなことは言っていなかったから忘れていたのかあえて言わなかったのか」
―マスター。チャットから通知です。
「ちょっとまって」
えっとなになに?
『忘れてた。テヘペロ☆でもそのことには絡んでないよ by神』
おいコラ神様。そんなことを忘れたとか神として失格でしょ。なんか今どきの神だし。
シス、返信をお願い。
―内容はどうしますか?
“いつかあったら覚えておいてね”
―了解。返信完了しました。
「何だったの?」
「神から伝言が来た」
「なに?そなたは神の信託も得られるのか?」
「これは信託って感じでは無いと思うけど」
「それで内容は?」
「忘れてたって。でも伝説には絡んでないって」
「神ってこんな気楽なのか?」
「普通は違うと思うよ」
「はぁ。とりあえず今日はもう遅い。私もここに泊まる。明日になったら呼びに行くのでゆっくり休んでいてくれ」
まったく、よくこんな神でこの世界が成り立つね。
どんな世界なんだよ。
とりあえず今日は寝ようかな。
まだ二人はお兄ちゃんにくっついてるし。
そうだ。お兄ちゃんの血を吸っちゃおうかな。
今まで吸血鬼ってことを隠していたけど。
まさか神になりたいって言ったら本当になるとは思ってもいなかったけどね。
寝ているし少しだけだからばれないよね。
いっただきまーす。
ハム。
うーん!美味しい!
もっと飲もうっと♪
次の投稿は7/25の19:00です
次は闇コースです




