8話 1つと1つの戦闘開始(陽)
前回までのあらすじ:
敵が攻めてきた。どうやら陰と陽を離すらしい。
う、うーん。
ここはどこだろう。金属がすれる音がする。
何か騒がしい声もする。そしてこの床の感触は何だろう。
何か固い感触がする。これはベットではなさそう。
「姉さん、そろそろ起きてよ」
この声は聞いたことがるような。
闇かな?
いいからまずは起きて状況をかくに―
あれ、待てよ。まさか!
「そんなに勢いよく起きなくてもいいんじゃない」
やっぱり。ここは外だね。
分離は成功したのかな?
「うん。したよ」
よかった。これで失敗したら大変だからね。
「とりあえずこれ以降は倒れなくてもしっかりできるようになるはずだから」
それじゃあ安心だね。
「そういえば陰はどこ行ったの?」
さっきから周りに陰と光の姿が見えなかったから心配で。
「先に戦闘に行ったよ。どうやら敵は竜を除いて二手に分かれているみたい。兄さんは自分からメインの方に行ったよ。だから姉さんは俺と一緒にサブの方を討伐するよ」
わかった。
メイン側にいたため、サブに行くのは少し時間がかかった。でも飛んで行ったから早かったけど。
「そういえば私が相手する数はどのくらいいるの?」
これがわかれば心の準備をしやすくなるから聞いておきたかった。
「ざっと7万5千くらいかな。竜じゃない強い者たちがこっちに集まっている感じ。だから決して油断はしないようにね」
わかった。それでどうやって倒せばいいの?
「あの魔物たちはごく微量の魔力を使って行動している。酸素の代わりって思っておくといいよ。そして魔力がなくなればその場で倒れる。無くなってから回復しようとすると通常より三倍近くの時間がなきゃ回復しないんだ。倒れてから死亡判定になるのは約10秒ほど。だから10秒間魔力を0にしておけばいい」
なるほどよくわからん。わかりやすくいってくれます?
「簡単に言えば、十秒間魔力を0にすれば死ぬよってこと」
了解!簡単だね。
「さあ、バトルの始まりだよ」
でもどうやって魔力を吸えばいいの?そもそもこの姿だと兵士たちに敵だと認識させないかな?
「敵として認識されるかはわからないけど、魔力を吸う方法なら知ってるよ。例えばレーザーを発射してそれにあたると魔力を吸われるようにするとか」
それをどうすればいいの?・・・あ。
「姉さんすっかり魔法のこと忘れていたでしょ」
はい、その通りでございます。
「別にいいけどさ。むしろそれが姉さんらしい気がするし」
ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!し・あ・わ・せ・です!
「姉さんいつもそんなこと思ってたんだ」
あ、あっと。えっと。これは。その、あれがあれでですね。
「後でお仕置きだね」
え・・・。それはちょっと。
「まあまた今度だけどね」
「やあ兵士さんたち」
「お前は誰だ!?」
さすがにそれは誰でも驚くでしょ。
『とりあえず姉さんは魔法イメージを作っておいて』
え、何この声。
『簡単に言えば通信だよ。魔力を操って送っているだけ。ちなみに光も出来るよ』
へ、へえ~。
「俺は味方だよ」
「それを証明できるものはないのか」
「うーん。証明とな」
「そうだ。証明してくれたらしっかりと信用してやろう」
「このカードがいいかな」
「これは!」
おっと?急に態度が変わったような。
すると急にさっきまで話していた兵士さんが急に土下座した。
え?え?え!?
「申し訳ございませんでした。神の教え子だとは思ってもいなかったです」
「別にいいよ。誰だって最初はそうさ」
神!?教え子!?
『姉さん落ち着いて。そのことに関しては戦闘が終わったら話すからさ』
ほんとうに?
『もちろん』
むぅ。わかったよ。
『さあそうこうしているうちに敵が迫ってきたよ。誤解されると困るから合図したら撃ってくれる?』
わかった。
嗚呼、一度こんなことをしたかったのよね。弟に指示されることを。
『とりあえず落ち着いて魔法を展開しておいてよ』
そ、そうね。
イメージ出力!
―イメージ確認。魔法展開完了。
こっちはいいよ。
『了解。じゃあ行くよ。あとたぶん姉さん今見えていない状態だと思うの。ちょっと透明化操作権を一時的にこっちに頂戴』
えっと、どうすればいいの?
―システムログ。操作権移行申請確認。許可しますか?
これでやればいいのね。許可!
―許可確認。権利移行完了。
『ありがとう。解除するときには言うから安心して』
はーい♪
「それでは今から攻撃を仕掛けましょう」
「おお教え子殿の攻撃か!」
「いいえ、攻撃をするのは私ではありません。私の姉が攻撃をします」
「教え子殿の姉とな」
「ええ、神の教え子ではありませんが私より確実に強いです」
「そう言うなら私たちは安心できます」
『いくよ、姉さん』
よっしゃ!いつでもいいよ!
「それでは上空をご覧ください」
『透明化、解除』
私の透明化が解除され姿を現した。
「空を飛んでいる、だと」
『攻撃開始!』
あいあいさー!
―魔法確認。展開済み魔法を発動します。
「なんだこの攻撃は!?」
驚いているね。この世界にはこんな魔法がないのか。創造ってすごいね。
『姉さん!一本では足りないよ。もっと攻撃をしなきゃ押し負けちゃうよ』
ええ!?増やすと制御が。
『その問題が出てくるか。いったいどうしたら』
「手伝おうか?」
隣にはいつのまにかよく見たことがある人がいた。
カシさん!
「お願いします。これからこれをまた出しますので制御をお願いしてもいいですか?」
「わかった。とりあえず敵に当てればよかろう」
「ええ。それで充分です!」
魔法コピー!
―了解。コピー開始。完了。
「初めて扱うから少し大変じゃぞ」
陰の言うとうり話し方が不思議な人だね。
「でもこれは強いな。何魔法なんだ?」
これはどうやってごまかそうかな。ごまかさないと大変なことになる。うまいことかわしましょ。
「これは私のおじいさんから受け継いだものでして。あまり話してはいけないものなのです」
「ふむ。ならしょうがないな」
何とかごまかせた。さあ出力を最大にしよう!
『待った姉さん!』
どうしたの急に?
『魔法を吸収する能力を持っている奴が出てきた。これでは無駄うちになってしまう!』
なんですって!?どうやって処理すれば。
『能力がめんどくさいだけで処理は簡単だからしてくるよ』
「あれは誰だ?」
「私の弟です」
「ふむ」
『終わったよ』
ここまで戦闘開始から約1時間。状況はこっちの方が優勢みたいね。でも竜が何をしてくるかはわからない。
「もう殲滅したぞ」
「あれ?もう終わりましたか」
「確かに感覚はそのくらいだが実際は結構経っているぞ」
そう。一時間も経っているみたい。戦いってすごいね。
―警告。膨大なエネルギーを感知。
この反応は陰のいる方から!陰が危ない!
「これは反対側から強い魔力が感じられるな。急いで向かった方がよさそうだ」
「一緒に行きましょう!」
「ああ、いそごう」
「俺は先行ってるね。姉さんはカシさんと一緒にきて」
わかった。気をつけて。
『もちろん』
「あいつは、イン!」
あの姿は間違いなく陰ね。かっこいい。
陰、しっかり守ってくれたんだ。でもこれ以上は大変そう。
『姉さん、あれを使うかもしれないから準備しておいて』
わかった。
「このやろぉぉぉぉぉぉぉ!」
陰が頑張ってる!もうすぐ着くから待っててね。
「二人で頑張ってないで呼んでよ、兄さん」
あ、先に闇が着いたか。むぅ。せっかく最初に着きたかったのに。
じゃあすぐに行けば同着って思ってくれるでしょ!
「もちろん、負けてもらっては困るからね。それに加わったのは俺だけじゃない」
いいバトンパスだね、闇!
闇の背中に手を置いてっと。
「一人で頑張ってないで私も頼ってよね!陰!」
ちょっと恥ずかしいね。こんな言葉言ったことないからね。
「さあこいつを早く倒して寿司を食いに行くわよ!」
あ、口が滑っちゃった。
すると陰の心が何かを言っている。
『は?寿司?』
・・・やってしまった。
「じょ、冗談わよ」
これでどうかな。多少は和らぐといいな。
『今笑える冗談を言わないでくれ』
あ、はい。
そんなことを言っているとカシさんも到着したみたい。じゃあうまいことつないであげなきゃね。
「ごめんごめん。ちなみに私以外にもまだいるよ」
今だよ、カシさん!
「まさかインがこんなにすごいものとは思ってもいなかったぞ」
なんか一人だけ趣旨が違うことを言ってる人がいるけど気のせいかな。
『『気のせいではないね/よ』』
光と闇、両方からつっこまれた。
「だが私はどうやって手伝えばいいのだ?お前たちが強すぎて入る隙間がないのだが」
なんかカシさんがかわいそうに思えてきたよ。
「じゃあ魔力を貸して下さぁぁぁぁぁぁぁい!」
ぐぬぬ、あの竜話しているときに強くしてきたよ。
「ずいぶん空気を読まない竜だね」
「ところでお主はだれじゃ?インと同じ魔力を感じたからさっきは手伝ってあげたが」
そんなに魔力似てます?
「私は陽です」
「ふむ。ヨウというのか」
「そんなこと話していないで手伝ってください!」
カシさん、圧力かなんかで入ってこれないのかな?
「魔力をお主に流せばよかろう」
まさかの少し離れたところから供給して見せたよ、この人。
「がんばれ!」「いけー!」「竜に負けるな!」
街のみんなの声が聞こえてきた。これはやってやるしかないね。
「この街にはいまお主の味方しかおらん。思う存分暴れてくれ!」
それが聞きたかったんだよ!
「「「「【オーバークロック】!」」」」
―同時使用確認。身体合成完了。ブーストクロックオート設定。神の補助確認。レベル上限一時的解除。リミッター完全解除。創造魔法を一時的に強化。強化に伴い魔法名変更。
―魔法名:世界を破壊する破滅創造魔法
―オーバークロックに伴い姿変更。レベル変更。レベル:∞
―すべての準備が完了。【オーバークロック】アクティベイト。
オーバークロック状態の二人を見たものは全員が口をそろえて言う。
「まるで四つの光が合わさったようだ」と
自分はネーミングセンスが皆無です。




