0話 2つの気持ちと合わさる前(陰)
これは「陰」ルートです
「俺はあっちのお店に行きたい!」
『いいや私はあっちのお店がいいわ!』
「前にお前の言うこと聞いてあげたから今回は俺!」
『はぁ?あれは聞いてあげたには入らないでしょ!そもそもそれより後にあなたの話を聞いていますよ!』
「いいやそれこそ聞いたに入りませーん」
「『なぜ俺たち/私たちはこんなことをする羽目になったのだろうか』」
それは約1ヶ月前のことだった。
「行ってきまーす」
と言っても返事は1つもないのだが。
俺の名前は八丁 陰、高校2年生だ。俺には妹がいる。高校1年生で同じ学校に通っている。
同じ学校だが、委員会があるからと言って俺のお弁当と朝ご飯をテーブルの上において、先に家を出てしまう。俺的にはそれで体がもつかが心配だが。
「「あ」」
俺が出てきたのと同時に隣の家から女子が出てきた。あいつは希北 陽。生年月日と学校が同じの幼馴染だ。幼馴染だからって生年月日が同じなのはおかしい所と思う。どうやら2つの家族は仲が良かったらしく、ちょうど同じころに子供ができたから同じ日に生まれるようにしようと言ったのだとか。
もちろん父は反対したらしいが、「できるもんならやってみろ」みたいなノリで許可を出したらしい。俺はいまだに本当にそれだけで許可するのかと信じ切れていないが、真実の確かめようがないので、心の奥底にしまっていくつもりだ。
俺と陽の両親は中学2年のころ、一緒に出かけてその時に交通事故にあった。病院に搬送されたが全員、間に合わなかったそうだ。俺たちは奇跡的に乗っていなかった。
俺はいまだに相手の運転手に恨みを持っている。事故の原因は信号機の故障らしいが注意すれば防げたと思っている。
そんなことをほぼ毎日考えながら登校している。
「ねぇ」
今日はあっちから声をかけてきた。いつもは俺の声かけから会話が始まるが何があったのだろうか?
「今日もまた考えているでしょ?」
どうやら深い意味はなかったらしい。一応安心した。平和が1番だから。
「・・・どうしてわかる」
「毎日といっていいくらいに見ているからわかるよ」
「恥ずかしい気もするけどしょうがない気もするな」
本当は恥ずかしい気持ちが99%ぐらいになっている。顔に出ないように必死にこらえる。
「そんなこと考えてないでもっと明るくいこうよ」
「それができれば苦労はしないよ」
なぜだろう。今日は気分がいい。不思議なこともあるもんだな。
学校につくと今日もうるさい。陽は結構有名なアイドルをやている。本当はこういう時間はあまり近づきたくない。そう考えると登校時間はあいつと話せる意外と貴重な時間なのかもな。そう言ってもチャットアプリの連絡先は知っているから話そうと思えば話せるのだが。やっぱり直接の方が安心する気がする。
そう考えながら特技である影を極限まで薄くして存在感を無にして教室に向かう。日に日にレベルが上がっているかもしれない。
自分の席は1番後ろの窓側だ。夢にも見たような素晴らしい席に座っている。1番前にいても視線が気になるだけで話してくる人もいないが。視線がないだけで結構楽になる。
隣のクラスはいつも騒がしい。聞きたくなくても女子の声がきこえてくる。「アイドルって大変?」「今は何の仕事してるの?」「テレビに出る機会があったら私も出してよ」などなど。たまに男子の声も聞こえる。今日はちょうどその日みたいだ。だがそのころにはたいてい移動教室で教室を出ている。羨ましいものだ。俺もあんなかんじでちやほやされたかったよ。
「ふぅ」
今日の全授業が終わり一息ついたところでつい声に出してしまった。友達が陽しかいないし、あいつと学校内でかかわるとろくなことがない。
そのため学校は苦でしかない。
最近漫画の異世界系にはまっている。いっそのこと異世界に行ってみたいものだ。
部活には所属していない。もしかすると家に帰ってゴロゴロするのが部活なのかもしれない。
帰り道はもちろん1人。陽は部活はしていないが、学校の後はいつもアイドルの仕事をしていて家に帰ってくるのは20:00ごろだとか。だから部活に入っていないのかもしれない。
「ただいま」
朝と同じく誰もいないので声は聞こえない。もうすっかり慣れたものだ。両親が亡くなってもしばらくはおばあちゃんに家にいてもらっていた。けれど俺が高校生になったと同時に自分の家に帰っていった。
『高校生なんだから1人で住む能力はもってるよ。大丈夫。生活費は私が出すから』と言って帰っていった。言っていたように毎月生活費は銀行口座に振り込まれているし、光熱費はおばあちゃん自ら払っている。そのおかげで生活には困っていない。むしろ余っている。どうやら学校の学費補助は知らないらしく、学費も普通の学費が来ているからだ。そのことを言ったら、『自分のことに使いなさい』と言われた。
妹のお願いもありその余ったお金で月に1回程度2人で少し遠くに遊びに行っている。妹に『デートだね♪』と毎回言われている。
この言葉に毎回照れてしまう。
デートの定義ってなんだっけ?
18:00頃、妹が帰ってきた。
「ただいまー」
「おかえり」
そう言うと自分の部屋に行って、バックを置き、着替えをもってお風呂場に向かった。それと同時に俺は夕食のサラダの準備に入る。俺が作る夕食はいつもサラダとご飯を炊くだけだ。俺が作っても美味しい自信はないし何より妹が料理している姿が尊い。それにいつも美味しいものや俺が好きなものを作ってくれる。そのせいで自分は料理がほとんどできないできない。調理実習でやったものや玉子焼きのような簡単なものしかできない。
「「いただきます」」
一緒に夕食を食べ始める。きょうの料理は白米、ハンバーグと味噌汁、あと俺が作ったサラダだ。作ったというのか不思議だが、妹は「盛り付けただけでも立派なお料理だよ!」という。妹がいいならそれでいい。
テレビをつける。最近は「ある議員の不正が発覚した」や「大規模地震の被害予測」など、同じようなニュースばっかりやっている。だがこれが面白い。番組や曜日によってコメンテーターが違うためいろいろな意見を知ることができる。
「またこの話題だね。さすがに飽きちゃうよ」
「確かにね。たまにはポジティブな内容もやってほしいよ」
さっきも言ったように面白いのもある。だが長引くとちょっと気分転換が欲しくなってくる。うそはついていない。
「でも今の時期でポジティブって言っても何があるかな?」
「うーん、確かにそう言われたらそうかもしれない」
「お兄ちゃんの寝顔集とか?」
え?そんなの期待しているの?
「おいおい、さすがにそれは。それに写真とか動画とか持ってないで―」
「ほら、これ」
途中で遮られた。妹の手にはスマホがあった。そこに映し出さてれいたのは―俺の寝顔の写真。
「へ?」
一瞬目を疑ったが何度見ても俺の寝顔。うそだろ?マジで言ってる?
「え?」
声を抑えられないほどびっくりしている。
「お兄ちゃんがまだ寝ているときにこっそり撮ってるんだ、毎日」
え?毎日?毎朝?
「あまりにもかわいいし、朝しか撮れないもん」
俺はあまりに恥ずかしさに下を向いてしまった。おそらく今顔が真っ赤だろう。
「え、えっと、いったいいつごろからとってるの?」
勇気を振り絞って、顔をあげて言った。
「スマホを買ってもらった時からだよ?何かおかい?」
はい?スマホを買ってあげたのが確か3年前の4/16で、いまが・・・あれ?ちょっと待てよ?
「え、3年以上も撮ってるってこと?」
「うん。そうだよ」
「うそでしょ?ほんとに言ってる?」
こんなの認めたくない自分がいた。でも帰ってきた言葉は―
「ほんとだよ?」
「・・・そんなにかわいい?」
「うん、かわいいよ」
「ちょ、ちょっとトイレ行ってくる」
「はーい♪ 」
何かを言っているように聞こえたが必死だったため急ぐのに精一杯だった。いつもは凄く聞こえるのにな。
・・・嗚呼、ギリギリ間に合った。あの状況は早急に離脱するのがいいと思い、とっさにとった行動だったが成功してよかった。
にしてもこれからどうする?まだご飯は全然食べていないからおなかはペコペコだ。まずは落ち着こう。そして落ち着いたら戻ってみよう。おそらくそのころには大丈夫だろう。
「あ、やっと出てきた」
「ごめんごめん、急におなかが痛くなって」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「早く食べなよ、冷めちゃうよ」
「うん、そうだね」
よかった。とりあえずよかった。落ち着いたところで余計おなかが減ってきた。
「ハンバーグおいしいな」
「うん。チーズインハンバーグに挑戦してみたんだよ」
「ほんとだ。中から出てきた」
美味い。おなかが凄くすいているときはやけに美味しく感じる。これってなぜだろう?人間だから?
『次のニュースで―』
「あれ?」
うん?急にどうしたんだ?妹が突然言ったので少しビビってしまったが状況確認を行わなければ。
「どうした?」
「いや、テレビ」
テレビを見るとアナウンサーとスタッフがバタバタしていた。
『えー、失礼いたしました。ここで速報です。突然宇宙に隕石と思われる謎の物体が現れたそうです。原因・詳細はわかっていません。現在専門家が解析・調査を急いでいます。解析結果は最短で1時間後にわかるとのことです。なお隕石が現れる予兆は今の所なかったということです』
バタバタしていた理由はなんと隕石だった。これから何か大きな事がせまっているというのであろうか?
「原因不明って怖いね、お兄ちゃん」
「ああ、物体が突然現れることはまずありえないし、しかもそれが隕石だなんて」
「怖いよお兄ちゃん」
「大丈夫、俺も怖い」
なぜか俺がなさけない気がする。こんな時は俺が怖がらないで妹を安心させるのが兄としての役目な気がするが隕石にはとても勝てない。
「地球に当たるのかな?」
少し体が震えているように見える。元気づけなければ!
「まだ分からない。でも、」
椅子から立ち、妹の隣に行き頭をなでてあげた。少し恥ずかしい。
「今は普通に生活していよう」
「・・・うん、そうだね」
とりあえず今は大丈夫そうだな。自分の席に戻り食べるのを再開した。
あれから少し経ち、お皿を片付けていた。テレビはつけっぱなしだ。あれの情報が気になるからだ。SNSサービスのトイッターでは凄く騒いでいる。その中に気になるアカウントがあった。
陽のアカウントだ。俺と同じようなことを言っている。まさかこいつと思考が被るとはな。恥ずかしい。今日だけで何回恥ずかしくなっているのかな、おれ。
「あれ?おねえちゃんも話してるじゃん」
いつの間にか後ろに妹がいた。陽のことをおねえちゃんと呼んでいる。もはや家族のようなものだから別に気にしていない。陽はおねえちゃんと呼ばれるのがうれしいらしい。
「あー、お兄ちゃんと同じこと言ってるー♪」
「別に同じことを考えるのはおかしなことじゃないでしょ」
「えー、でも意味が完全に一致は全然ないことだよー?」
言われた。言われてしまった。急に恥ずかしくなってきた。やっぱり今日はやけに恥ずかしくなる回数が多い気がする。
「・・・」
何も言えなかった。声が出なかったの方が正しいか。
「まぁ別にいいんだけどさ。ほら、お兄ちゃんも洗うの手伝って!」
「わかった」
うん。俺は幸せだ。
結局今日は詳しいことは何もわからなかった。そして今俺は自分のベッドにいる。
その隣には妹がいる。なにこの状況?確か隕石の件で怖くなって寝れなくなり俺のところに来たんだっけか。心拍数が上がっている気がする。
俺今どんな顔をしているのだろう?
「ひゃ!?」
え? 俺ってこんな声出るの?というかなんで妹は俺に抱き着いているの?
「お兄ちゃん、あったかい」
やばい、いま、おれ、やばい。
「あれ? お兄ちゃん?」
「な、なに?」
「このまま寝ていい?」
!?!?!?!?!?!?!? 今この子なんて言った?
「今なんて言った?」
「だから、このまま抱き着いたまま寝ていいって聞いてるの」
あー俺今心臓がやばい。破裂しそう。答えはもちろん―
「いいよ」
「ありがと♪大好き」
え? えええええええええええ? 今言ったよね?言ってたよね? やばい俺、マジでヤバイ。
「と、とととととりあえずもう寝ようよ」
「うん、おやすみ、お兄ちゃん♪」
やばい、マジで心臓がやばい。とりあえず寝よう。そうだそうしよう。そういったらすぐ寝れるだろう。
おやすみこの世界。
ここまで見てくれてありがとうございます。
この物語は「自分の理想」を小説にした感じになっています。
なので明らかにおかしい所もあるかもしれませんが気にしないでくれるとありがたいです。
陰は明らかにシスコンですね。
頭に浮かんできたものを片っ端から書いていく書き方なので話が面白い形になってしまったり、矛盾してしまったりします。
ですが妹もブラコンのような形になってしまっているのでどっちもどっちかもしれませんね。
妹の名前はあえて出していません。
ですが物語が進んでいくと後々わかるので楽しみにしていてください!
「陰」コースもみていただけると2人の後々大切になってくる【スキル】や性格がわかってきます。
誤字脱字があったらすいません。
それでは別の話で会いましょう。




