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31話目 二度あることは三度あるよね。



時刻はもう夜遅くなり、いろいろあった今日も、あとは寝るだけという所である。

家に帰ってきて、各々がくつろいでいた時だ。

俺には、ひとつ確認しなければならない事があった。


「ベラトリックスさんや、こちらへきなさい。」


リビングの椅子に座り、俺は厳しい態度でベラトリックスを呼ぶ。

目の前の椅子を、目線でしめしベラトリックスを座らせた。

ベラトリックスは、お風呂にも入り変装も解いて元の姿へと戻っている。意外にもフワッとした可愛らしいパシャマを着ていた。


「なぁに?あ、分かった!

ベラのスリーサイズはねぇ~……。」

「チッガーウ!!ああああ新しい魔法の話がしたいんだよ!どんな魔改造したら、あんな魔法が出来るんだ!?」


確かにスリーサイズも気にはなるが、それよりも大事なことが世の中にはあるのだ。

騎士団でリゲルと戦った時のあの魔法……偽之法則(マグニートチェムノター)だったか、その説明をして欲しい。

話が聞こえたのか、ルナも来て俺の横へと座った。


「まず、零史はベラトリックスの速さのタネを知っていますか?」

「そういえば、騎士団でもトップクラスに速いリゲルを圧倒してたな。……瞬間移動とか?」


ピョーンと空間を飛べば、速さなんて関係ない。だけど、『悪魔の子』で『元聖騎士』とはいえ……瞬間移動なんて出来るのだろうか?

俺はベラトリックスに答えを求めるように視線を送る。


「ぶっぶー♡」

「残念ながら違います。」


どうやら瞬間移動では無いようだ。


「瞬間移動を使おうものなら、人間の魔力量では、ひとたまりも無いでしょう。イメージも曖昧ですし。」


確かに、そんな魔法らしい魔法……原理がわからなさすぎてコスパが悪そうだ。俺は魔力もたくさん有るし……使えるのかな?今度ためしてみよう。


「はぁ、もーすんなり教えてくれよー、気になる。」

「ふふふっ、零史は『雷』って見たことあるわよね?」

「当たり前だろう?」

「ベラね、小さい頃から雷が大好きでぇね。毎日想い描いてたら……極々小さい雷ならベラにも魔法で作り出せるって知ったの。」

「それって……。」


俺は身を乗り出した。


「そう、電気の魔法です。体に極小の雷を流して身体機能を強化していました。」


ルナがすんなりと教えてくれる。


「んふっ♡バチバチして気持ちいいわよ。」


ベラトリックスが俺の目の前に片手をだし、近づけた人差し指と親指の間にパチパチと静電気を流した。

驚きだ、既存の魔法属性ではない新魔法をベラトリックスは自力で開発していたという事になる。


「ルナちゃんにねぇ筋肉構造とか教えて貰ったら更に効率良くなったのぉよ♡」

「すごいな!」

「でしょー。」


ベラトリックスの魔法の秘密もスゴイが、ルナの説明を飲み込んで、さらに効率化までしてしまったとは……天才かよ。

そして、話は本題へとうつる。


「ベラトリックスは電気魔法が使えるという事で、私は零史の知識にある『磁力』の再現が出来るのでは?と話を持ちかけました。」

「そーなのぉ!()き寄せる力なんて素敵じゃない♡」


何か漢字がおかしかった気がするぞ?

つまり、ベラトリックスは磁力でリゲルの剣を引き寄せたと言う事か。


「原理は私が教えました、イメージも引き寄せるという点で、零史のブラックホールを参考に出来ました。」

「なるほど、だから俺の能力と見た目が似てたのか。」


俺の『引力』とは違うが、ベラトリックスは大満足なようである。

磁力をどう曲解したのか分からないが、俺のブラックホールが感情もエネルギー変換できるように。

ベラトリックスの『磁力』は、本来の性能プラス……文字通り『()』き寄せ、隷属させる事が出来るようだ。

だから、リゲルの剣はまるで心を持ったかのように持ち主へと牙を剥いたのだそうだ。


(魔法って、何でもありかよ!)


魔法と科学のハイブリットって、もの凄い威力を発揮するのではないだろうか。

俺は二人の話を聞きながら、背筋を冷やした。


「まさか、ベラトリックスまで魔改造されてるなんて……。まぁ、いいんだけどさ。」


俺たちは命を狙われているのだ、自衛の為の能力は高めておきたい。


「だけど、ちゃんと俺にも言っといてくれよ。危ない知識だってたくさんあるんだからな!」

「……すみません、零史。」


ルナはちょっとしょんぼりしてしまった。心なしか瞳もウルウルして、上目遣いに俺を見ている。


「うっ……!いや、いいんだよ。ルナは俺たちの事を思ってやってくれてるんだし。むしろ助かってるというか……だから、ね?」


俺とルナはほぼ同時に誕生したとは言え、いかんせん見た目が幼いルナに、そんな顔をされると強気にはでられない。

ルナがコロッと表情を明るくした。


「零史なら、そー言ってくれると信じていました!先日アルタイルとも色々実験をしましたし、近々成果をお見せできるかと!これからも、もっともっと頑張りますね!」


満面の笑みで、胸を張っている。


「ちょっと待て!!アルタイルと実験??」


素手に魔改造3号の予感がする。もう手遅れかもしれない。

全くもって油断のならない兄弟である。ルナは自重する気はさらさら無いようで、目をランランと輝かせていた。


(良いよ!!もー何があったって、俺がどーにかしてやんよー!)


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