第2話:冒険者ギルド
異世界に来てそうそうに盗賊に襲われた俺は、SCの冒険者ギルド受付嬢のベルさんに助けられた。
今はベルさんと共にSCに向かっているところだ。
「――へー、そうなんですか」
道中、天使なベルさんは会話に応じてくれた。俺のウィットに富んだ会話術もノリにノッてきたところで、何故ギルドの受付嬢をしている彼女が、森に続く街道なんかにいたのか。気になって尋ねてみると、
「(うーん、やっぱり聞き取りづらいわね……なんかひとりで盛り上がってるっぽいけど)ああ、それはね――」
彼女の説明によると、元々彼女は凄腕の冒険者だったらしいのだ。そして、引退するときにその腕と知識を買われ、受付嬢になったらしい。
それで、腕が落ちないように、時々オフのときに森で魔物を狩っているのだ。
「へ~、元冒険者の受付嬢ですかー。かっk「あ、門が見えたわよ」
愉快な会話を遮るようにして、SCの門が現れた。はぁ、もうちょっとお話したかった……
「SCに入るには身分証が必要よ。一応聞くけど、持ってる?」
「いえ、無くしてしまったので、冒険者登録しようかなと」
「冒険者になるの?商人ギルドもあるわよ」
「今回のことで、商人はもう懲りました。それに、ベルさんの魔法を見て気付かされました。やはり男たるもの、戦ってなんぼだと。俺の中の、日本男児の血が騒ぐのです。魔法を使えと!日本なめんなファンタジーと!!」
それに、冒険者になればベルさんと会えるし、いいとこも見せられるしね!
「ふうん。ま、止めはしないけどね。それじゃ、最初にギルドに行きましょ」
門兵にその旨を伝え、俺はSCに足を踏み入れた。
異世界に来て初めての街。そこは、記憶にある中世ヨーロッパのような石畳の街並みだった。
「ここが冒険者ギルドですか……」
思ったよりデカい建物だな……
「さ、入って」
西部劇に出てくるようなスイングドアを押し中に入る。酒場が併設されて、受付カウンターがあり、いかにもギルドな造りだ。中にいる者は、こちらをギロリと睨む者、全く気にしない者、酒を飲み騒ぐ者、様々だ。
「お、なんだベルちゃん。新しい男かぁ?」
冒険者と思しきいかついが絡んでくる。クソっ!俺のベルちゃんに気安く話かけやがって!
「そんなわけないでしょ。彼が新しく冒険者に登録したいっていうから連れてきたのよ」
「こいつが冒険者だぁ?いかにも貧弱そうな見た目だなあ。魔法使いか?」
お前の体で試してみるか?そう言おうとしたその時
「おいギールやめておけ。……ったく、ウチのが悪かったな、少年。冒険者になりたいんだろ?ようこそ、冒険者ギルドSC支部へ。俺はアンガス。ベルの上司だ」
ザン○エフのようないかついモヒカンが、ギールと言うらしいチンピラを追い払う。こいつがベルさんの上司だと?言っちゃ悪いが、世紀末の噛ませにしか見えない。
「ありがとうございます。アンガスさん。俺はマサキといいます。街道で盗賊に襲われているところをベルさんに助けてもらい、身分証の発行のために冒険者登録をしに来ました。魔法使い志望です。魔力には自信があるんですよ」
「(滑舌が……)ほう、そうだったのか。ベル、マキと一緒に後で話を聞かせてもらうぞ」
俺の名前はマサキなんだが……まあ、こっちの人間には発音しにくいのだろう。……決して滑舌のせいではない。決して!
自己紹介も終わったところで、冒険者登録のための手続きを行う。受付はベルさんがやってくれた。文字も問題なく書けた。よかった。
「六万 マサキ。23歳男性、出身地は東方ね。じゃ、次は魔力特性の確認を行うから、この水晶に手をかざして」
来た。一大イベント、魔力測定!俺には神から授かりし膨大な魔力ある。この場の全員の度肝を抜いてやるぜ!
「――刮目せよ!!」
水晶に手をかざす。すると、おびただしい量の光が、水晶から溢れ出した!
「な、なんて魔力量なの!」
光の強さは魔力量に比例する。突如溢れ出したとてつもない光に、ギルド内にいた人間達が驚いている。フフフ、驚愕するがいい!この俺の魔力に!!
「適正属性は……あれ?ん~~……ギリギリ、火?」
適正属性は色で判別される。どうやら俺の適性は火のようだ。闇がないのは残念だが、まあいいだろう。
パキッ!
その時、水晶にヒビが入った。そして――
パリィィン!!
水晶が、砕け散った。俺の魔力に耐えられなかったようだ。
「ああっ!?」
ベルさんが叫ぶ。
「すごい魔力量だな。マキ!水晶を割っちまうなんて、聞いたこと無いぜ!いやぁ、期待のルーキーの誕生だ!!」
「フッ、まあ当然の結果ですよ。アンガスさん。言ったでしょう?魔力には自信があるって」
うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!ギルド全体で雄叫びが上がる。
期待の新星の誕生に、宴会が始まったのだ。強いものは歓迎される。分かりやすくてとてもいい。よっしゃ、飲み明かすぜ!
周囲が宴会騒ぎで盛り上がっている中、ベルだけが、微妙な顔をしていた。
「(確かに魔力量はとてつもないけど、適正属性はほぼ透明だった……。あれじゃあ、まともに魔法が使えないのでは……?他の人は色までは見てなかったみたいだし、どうしよう……)」
適正属性が無い。それでは、いくら魔力があろうと無用の長物。周囲が歓びに満ちている中、ベルはこのことを言い出せなかった……。
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