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プロローグ:テクノブレイクから始まる異世界転生

プロローグは少しはっちゃけてます。

「…………ここは、どこだ……?」


 音もなく、光もない。何も認識できない。そんな"無"の空間に、俺は漂っていた。


「――気が付いたかの?」


 突如、音が生まれた。そして、目の前にニヤついたじいさんが現れた。


「……誰だ?」


「お?意外と冷静じゃな。それとも、覚えておらんのか?」


 覚えてるって、何をだ?


「何を言っているんだ?俺は、確か……――」




 ――そう、俺は確か、高級風俗店にいたはずだ。こんなニヤついた爺の顔を見に来たわけじゃない。


 俺は23歳で童貞だった。生まれてこの方、全く女っ気のない人生だった。それどころか、滑舌が悪いせいで円滑なコミュニケーションが難しく、同性の友達さえ少なかった。聞き取れないせいで話が一瞬ストップしてしまうのだ。冷静に考えて、このままではお先真っ暗。灰色の人生。行く先は30歳童貞、魔法使いだ。



 そ れ は イ ヤ だ !!


 

 30で童貞なんて、そんなやつに生きている価値があるのか!?いや、無い!!


 さらば灰色の人生!待ってろバラ色の人生!!そう思って俺は6万円で高級風俗へ行ったのだ。




「そうだ、俺は高級風俗へ行ったはず……なんでこんなところにいるんだ?!」


「どうやら思い出してきたようじゃの。しかし肝心なところが抜けておるの~……しょうがない、ワシが説明してやろう。……くくっ、傑作じゃぞ」


 そうしてじいさんの説明が始まった。


 

 説明によると、目の前の爺さんは神様で、どうやら俺は死んだようだ。しかもテクノブレイクで。初の風俗、初の女体、童貞の俺はノリにノッて、天上へと果てたようなのだ。だが、童貞を卒業できたのだ。死んだとはいえ、本望だろう。ビバ!バラ色の人生!!……死んでるけど。


「しかも笑えるのが、本番前に果ててもうて童貞卒業できておらんというwww」


 え?

 チョット待って


「え、今なんて?」


「じゃから、お主は初めておなごとまともに話をして舞い上がった挙げ句、キスのひとつもまともにできず、手を握られただけでテクノブレイクしてしまったということじゃよ(爆)!おお童貞よ、果ててしまうとは情けないwwww」


 おお……ふ。生前俺よ、そこまでシャイ・ボーイだったとは……情けなさすぎるぜorz

 

「しかも、6万てw6万かけてテクノブレイクってwハーッハッハッハ!!!」


「って!いつまで笑ってるんですか!!やめて!!!ちょっ、やめてください!!!!!(泣)」


「でも、死んでしまったなら魔法使いは回避じゃな!グッジョブ!(爆)」


「ああああぁぁああああぁああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」


 俺はついに耐えきれなくなり、その場に泣き崩れた。




「さて、一通り笑わせてもらったところで、なぜお主がここにいるのか、それを伝えなければならん」


 神様、もといクソジジイが唐突に語りだす。


「ワシは永い時を生き、長らく暇をしておった。そして、なにか面白いものでもないかな~と下界を眺めていたところ、お主がおったのじゃ。いや~、実に愉快じゃった。最高のエンターテインメントじゃった」


 なんか言ってるぞこいつ。俺の人生をかけた、一世一代の行動にエンターテインメントって。エンターテインメントって(怒)


「こんなに笑ったのはいつぶりか。ワシはお主に礼がしたいのじゃ」


 お、なんだこの流れ。知ってるぞこれ。なんか望みを叶えてもらって転生するパターンだろ!


「金を」


「ん?なんじゃ?」


「お礼がしたいならお金でお願いします。それから生き返らせてください」


 お金があれば何でもできるし、風俗にも行けちゃうしね♪


「おぉうそうじゃのう。なけなしの6万円も使ってしもうたしのう~笑」


 ック!若干思考を読まれている!///


「よし!分かった!ならば金をやろう!そして生き返らせてやろう!"剣と魔法"の世界に!!」


 ……ん?おい待て。後半おかしいぞ?


「金だけじゃアレじゃな。一般知識と膨大な魔力も付与してやろう。それと名前も変えよう。六万(むつま) マサキ。……フフッ。よし!これで立派な魔法使いじゃな!よかったのう!念願の魔法使いじゃぞ!(爆)」


 悪戯が成功したような嫌らしい笑みを浮かべながらクソジジイがほざく。


「ちょ、それが言いたかっただけですよね?!剣と魔法ってどういうことですか!!ねえ!!」


「ええいゴチャゴチャうるさいわい!お主滑舌悪くて理解するのに一瞬冷静になってしまうわ!せっかく愉快な気分でおるのに。男に二言はなし!お主は23歳にして魔法使い!そういうことじゃ!……ップ!」


「笑ってないで話を聞いてくださいよ!それと何気に古傷エグるのやめてもらえます!?」


 俺の抗議の声も虚しく、視界が徐々に白くなっていき……



――気づいたときには、俺はどこかの街道の真ん中に立っていた。



 全裸で。

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