片想いだけじゃダメですか。
普通の恋愛ストーリーです。
異世界に行ったりしないのであしからず。
俺の初恋は中学生の時だったか。まだその初恋相手を好きでいるんだがな。友人には諦めろって言われるけど、ぶっちゃけ諦めたくないわ。相手は俺のこと嫌ってないっぽいし。嫌ってないけど、相手は二次元に夢中なんだよな…。
俺だって二次元好きだよ、そりゃあ。二次元にしかないロマンが詰まってるから。けど、恋するのは三次元だわ流石に。相手も多分二次元に恋するってのはないと思うが。…あってほしくくないけど。
そんな二次元好きな彼女を振り向かせる方法を考えてるわけだが、なかなか上手くいかないんだなこれが。
話し掛けてみるけど、別にいつもと変わらない対応だし。少しちょっかいとか掛けてみるけど、これまたいつもと変わらない反応だし。
彼女はいつも絵描いてるから、俺も割り込んで描いたりしてるんだよ。彼女の描く絵は独特すぎて笑える。その絵をいじれば彼女も一緒になって笑ってくれる。これ、俺のこと嫌ってない証拠だろ。
こんなことしてるけど、しつこくならない程度にちゃんとやってる。しつこいと嫌われるからな。
けど俺は彼女とずっと一緒に居たいわけだよ。マジでどうすりゃいいんだよ。彼女鈍感過ぎんだろ。
「おはよう、ルナ」
「ん?おはよう」
俺の好きな子の名前、ルナ。可愛いな、名前。
ちなみに今俺は高1なわけだ。一緒の高校に行けた奇跡な。この奇跡を逃さず彼女をゲットしたいところ。
俺の名前はタツミ。普通だな。
…挨拶したところで会話が続くわけでもないが、1日1回声を聞けるだけでも嬉しいわ。
「ようタッツー。相変わらずルナに好かれないな」
「うるせー」
タッツーは俺のあだ名。あだ名で呼んできたのは俺の幼馴染みである、ルキ。
こいつの名前、悔しいことにルナと名前似てるんだよな。羨ましい。
ルキに恋の相談しちゃってるんだが、こいつにいつも諦めろ言われるんだわ。
そんだけアピールして振り向いてくれないなら、脈なんてねーだろって。んなわけあるかボケって言ってやってるけどな。その言葉を覆してやるわ。
そうそう、ルナとは残念ながら同じクラスになれなかった。ただ、バスは一緒なんだが、降りるタイミングが違うから、学校で会うタイミングもバラバラになるわけ。今こうして教室の前で挨拶することだってある。
「いつ告るの?」
「唐突すぎね?」
「中1?くらいから好きだろ?そろそろ告白してもいいだろ」
「誰だっけ?脈ねぇから諦めろ言った奴は」
「んなもん関係ない」
都合の良いことしか受け付けない困った奴。
でも、告白してもいい頃だとは思う。ずっと片想いも何か辛いもんがある。
言わないで振られるより、言って振られた方がいいってやつか。
そんな勇気あればとっくにしてるっつーの。
「それにさ、お前結構ズバズバ言えるからさ、告白もチョロイもんかと思って」
「あのねぇ…」
中学ん時は結構クラスの中でも人気があった方だと俺は思うよ?顔も何かかっこいいってちらほら聞いてたし。俺はブサイクだと思ってる。
そんな俺が地味系女子を好きになって、皆に驚かれたことあったわ。こういう恋愛事ってすぐ皆に広まるからな、恐ろしい。
「言えたら今頃片想いなんてしてない......ことないわ」
振られた時の事考えると、まだ好きでいる可能性は十分にあるな。
「告れ、告ってすっきりしろ」
「無理」
好きな人の前だったら緊張する。
告白と挨拶は違うからな。
何も進展することなく月日が流れ、あっという間に10月だ。クラス全体も馴染んできたであろう時期か。遅いもんだな。
「あ…」
今廊下にいる。その数m先にルナの姿が。話し掛けたい。
「あれルナだぞタッツー」
「知ってる」
「行かないの?」
「うん、朝会ったし」
「もしかしたらさ、相手はお前に話し掛けてほしかったりするかもよ?」
「何言って…」
ルナに限ってんなことはねぇだろ。ルナはどちらかと言うと話し掛けられたくない方だと思うが。それを知っていながら話し掛けてる俺は何だって話だが。
「恋にそんなに臆病だとは思わなかったわ~。俺みたく当たって砕けろ」
「砕けたくないんだってば」
告白して振られたくないのは誰もが思うことだろう。今俺は振られる自信しかないから、余計告白したくない。答えは目に見えてるから。
「とにかく、無理ですね」
「そうですかそうですかぁ」
「俺だけの物にしたいんだけどなぁ」
口だけ言ったって何も変わらねぇよな。ルキみたく堂々と砕けに行くのもある意味かっこいいわ。躊躇わないのは認める。
1日が経つのがこんなに早いとは。いつの間にか放課後を迎えてたわ。今はバス停でバス待ってるけど。
ちょっと好きな相手に振り向いてもらう方法とか調べちゃってるけど、自分のやり方で振り向かせられれば一番いいんだよな。
携帯をいじってると、俺の隣に誰かが止まる。横目で見てみると、見覚えのある髪型が。
ルナだ。
俺のことに気付いてないのかもししれないな。気付いてたら声くらい掛ける…こともないかもしれない。ルナは自分から声を掛けることないし。ここは俺から掛けるしかないのか…。
「コホン、ル…」
「タッツー…」
「ふぇ?」
今ルナが言ったのか?そう思ったら変な声が出てしまった。
「今、こっち見てたよね」
「いや…」
「自分もさりげなく横目で見てみたら、タツミもこちら見てた」
「うぉ…」
バレてたかクソ。尋常じゃないくらい恥ずかしすぎる。
多分、俺今すごい顔赤いと思うわ。
会話が詰まってしまった。何か繋げたいところだが…。
「タツミ今彼女いそうな見た目してる」
「はい?」
ありもしないことを言ってきた。ルナがそんなこと言ってくるとは。
「彼女いそうな見た目」
「見た目かい…」
彼女いそうな見た目。どゆこと。
でも、彼女いそうって聞くってことは、何か不満とかあったり?だとしたら嬉しすぎるけど。
「いないよ。片想い中だから」
「そうなんだ…」
俺は微かに見えた気がする。今ルナは少し微笑んだ気がした。多分気のせいだろうけど。いや、絶対気のせい。
「あ、バス来た」
「本当だ」
今までで一番緊張した一時だったかもしれない。
俺は今この時、少しでも脈があるんじゃないかって思えた。相手から話し掛けてくれたし、彼女いそうとか聞いてきたし、いないって言った時少し微笑んだし。
微笑んだのは妄想が過ぎたな、すまんすまん。
俺は次の日も、またその次の日も、ルナに会うのが楽しみになってきた。
今度こそは告白したいな。
感想でもなんでもどんとこいです。
依頼があれば連載も可能ですし(´∀`)